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航空・宇宙分野 3Dプリンター活用事例

HAKUTO 様


HAKUTO
チームリーダー 株式会社ispace 代表取締役 袴田 武史 氏
株式会社アールディエス
(月面探査機のエクステリアデザイン、筺体設計、筺体製作担当)

日本初!民間月面探査機の挑戦
‒3Dプリンター製ホイールが月面を走る?!‒

民間宇宙開発の発展に向けた挑戦

2016年 X DAY。月のLacus Mortis(死の湖)でローバー(月面探査機)による月面探査レースが開催される。優勝候補は日本から唯一参加したHAKUTO(ハクト)チームの Moonraker。ライバルは米国のAstrobotic(アストロボティック)チームのAndy。その様子は、現地から映像配信され、世界中の人々が世紀のレースの目撃者となる。
HAKUTOは、民間による月面無人探査を競い合うコンテストGoogleLunar XPRIZE(略称GLXP)に参加している。優勝賞金2,000万ドル(約20億円)、賞金総額は3000万ドル(約30億円)に及ぶ。「賞金に目が向きがちですが、GLXPを運営するXプライズ財団も私たちも民間宇宙開発に向けたイノベーションを加速するためのきっかけとして賞金レースを位置付けています」とHAKUTOのチームリーダー 袴田武史氏は話す。
GLXPのルールは大きく3つある。1つめは、月面に着陸して500m走行すること。2つめは、月面の静止画と動画をHDカメラで撮影し地球に送信すること。3つめは、上記2点を民間資金で2017年末までに達成すること。参加者には技術力だけでなく資金調達の課題も重くのしかかってくる。当初参加していた30チームのうちすでに半数近くが脱落した。
HAKUTOは、通常50億円から100億円はかかるプロジェクト予算を10億円以下に抑えている。「自前でランダーを持たずAstroboticチームに相乗りさせてもらい、さらに民生品・汎用品の有効活用など徹底的にコスト削減を図っています」優勝候補の一角であるHAKUTOの強みは優れた技術力だ。ローバーの開発を担う東北大学の吉田和哉教授は、超小型衛星「雷神」などのプロジェクトに関わってきた。Moonrakerには長年にわたってローバーの研究を行ってきた吉田教授の知見が活かされている。
Moonrakerは、重さが8kg、さらにダイエットして4kgを目指している。ブルドーザーのように力強い推進力を生み出す強靭な足と360度見渡せる目を持つ。その姿は機能的で美しい。「基本コンセプトは、『よりシンプルに、よりカッコ良く』です。部品数を減らし可動部分を極力少なくすることで、壊れるリスクを低減しています。また、民間宇宙開発の啓蒙のために、多くの人の心を惹きつけるデザインの追求にも力を入れています」
ローバー開発の難しさは、地球上ではなく月面上で動かなければならないことにある。「仮説を立てて試験を行い、検証と改善を積み重ねていくしかありません。私たちだけでなくすべてのチームが同じ条件ですから腕の見せどころです」





高強度と耐熱性が求められるホイールを3Dプリンターで造形

月面は、レゴリスと呼ばれるパウダー状の砂で覆われており非常にスリップしやすい。月面に見立てたフィールド走行試験が、静岡県の中田島砂丘で行われた。JAXAなども月面探査車の実験を行った実績のある場所だ。
Moonrakerのホイールには、複数のグラウザ(薄いひれ)がついており、砂をしっかりとかきこみ前進する。大きな力が加わるため高い強度が求められるホイールは、3Dプリンターで造形されている。従来は、アルミで切削加工してつくっていたが、作成に多くの時間とコストがかかっていたという。
「アルミでつくると一か月間もかかるところを、3Dプリンターなら数日間に短縮できることから設計にかける時間を長くとることができます。また、切削ではなくFDM(熱溶融積層法)で造形することにより複雑な形状もつくれるなど、設計の自由度が高いのも大きなメリットです。設計段階で様々なチャレンジが行えるため完成度も高まります。切削加工に比べコストも抑えられます」
Moonrakerのホイールの実材料には、航空宇宙や自動車、軍事用途などで利用が進むULTEM(ウルテム)9085樹脂を採用。高強度かつ極めて高い耐熱性は、振動試験や熱真空試験で実証された。振動試験では、ロケット打ち上げ時の14Grsmの振動環境を再現した中で実験し、正常に動くことを確認した。また、月面の昼は100℃以上、夜は-150℃以下の厳しい環境だ。加えて大気中とは異なる伝熱特性となるため、真空装置を用いて熱真空環境下で実験を実施。「ULTEM9085樹脂でつくったホイールは、100℃以上でも環境耐性があることが確認できました」
ULTEM9085製のホイールを造形したのは、HAKUTOのオフィシャルパートナーであるアールディエスだ。CFRP(Carbon FiberReinforced Plastics)成形のエキスパートである同社は、月面探査機のエクステリアデザイン、筺体の設計および製作を担当。また、丸紅情報システムズから導入した3Dプリンター Stratasys Fortus400mcによる試作品、または実使用部品の製作も行っている。
*ULTEMは、SABICイノベーティブプラスチック社(SABIC Innovative PlasticsIPBV)の商標です



ミッション達成はゴールではなくスタート

2015年1月、宇宙空間でも機能する性能があることを認める「Google Lunar XPRIZE中間賞」のモビリティサブシステム部門をHAKUTOは受賞。現在、設計は実際に月面でミッションを達成するフライトモデルづくりに入っている。「ホイールのグラウザの数の最適化や軽量化のための肉抜き、デザインの見直しなどを検討しています。3Dプリンターによりアイデアを短時間でかたちにできるため、検証し改善していくサイクルを早く回せます。ギリギリまで理想を求めて粘れる。最後の頑張りがミッション達成を引き寄せます」2015年6月、丸紅情報システムズはHAKUTOとテクノロジーパートナー契約を締結。3Dプリンターと3Dスキャナを活用した技術支援を行っていく。「今回だけでなく今後の宇宙開発を見据えたとき、3Dプリンターの活用は欠かせないものになるでしょう」
HAKUTOにはLacus Mortis付近に存在する縦孔を探査するというオリジナルミッションがある。縦孔の中はまだ誰も見たことがない。Moonrakerをアンカーにしてテザー(細いロープ)を命綱に重さ約1kg、2輪タイプのローバーTetris(テトリス)が100mから200mの深い縦孔を降りていく。
Expand our planet. Expand our future.(宇宙における我々の生活圏を拡張し未来を広げていく)。HAKUTOを運営しているispace社にとってミッション達成はゴールではなくスタートに過ぎない。




【株式会社アールディエスについて】
デザインからクレイモデル、CFRP成形、3Dプリンティング、精密5軸機械加工、塗装までインハウスで一貫したものづくりを行っている。近年はロボット、医療福祉機器など事業の幅を拡大。2013年度グッドデザインにて、ドライカーボン松葉杖が金賞/経済産業大臣賞を受賞。2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けてチェアスキー開発などでも同社の活躍が期待されている。

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