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医療分野 3Dプリンター活用事例

イクシー株式会社 様


イクシー株式会社
CTO/Co-founder 山浦 博志 氏

腕時計やスニーカーのように楽しめる
ローコストでデザイン性の高い義手を

Stratasys FORTUS用のASA樹脂(黒色)で造形されたhackberry

気軽に選べる義手を作りたい

若い3人が、義手業界を変えようとしている。
義手にはいくつかのタイプがある。その中の一つに「筋電義手」と呼ばれ、腕の筋肉の電気信号を介して直感的に操作できる能動用義手があるが、日本国内での普及率はわずか1%でしかない。その最大の理由が価格だ。その価格は、約150万円以上と自動車並みの価格のため、購入に踏み切れない人が多いのだ。この現状をなんとかすべく立ち上がったのが、別々の大手電機メーカーで働いていた3人だ。その1人が山浦博志氏である。
「価格はもちろんですが、これまでの筋電義手はユーザ自身で修理やカスタマイズができず、デザインの選択肢も少ないのが現状でした。そこで我々は、腕時計やスニーカーのようにデザインも楽しめるようにしたいという思いから、プライベートプロジェクトを立ち上げました」
コストを下げるために、3人は三つのことを実践する。一つは、従来の筋電解析用の専用コンピュータではなく、スマートフォンで筋電を読み取るようにすること。二つ目は、指1本につき一つのモーターにすることでモーター数を減らすこと。そして、三つ目が3Dプリンターで製造することだ。結果、材料費を約3万円にまで落とすことに成功する。また、デザインも色、テクスチャ、材質などをユーザの好みに合わせてアレンジできるようにした。
最初に作った「handi(ii ハンディー)」というコンセプトモデルは、優れた機能と高いデザイン性が評判を呼び、「JAMES DYSON AWARD 2013 国際準優勝」を受賞。その義手の量産化のため、2014年10月、前述の3人によってイクシー株式会社が設立される。そして、handiiiはさらに進化を遂げることになる。



ユーザの声とオープンソース化でさらなる進化を

2014年、あるコミュニティーが設立される。上肢に障害をもつ人たち同士が、義肢装具、幻肢痛、保険制度などについてお互いに情報交換できる「MissionArm Japan」という当事者主体のコミュニティーだ。この筋電義手開発にイクシー社も協力。handiiiをベースに改良を加えていき、ユーザの声を数多く取り入れた実用モデル「hackberry」が完成する。
ちなみに、hackberryとはニレ科の枝の多い樹木で、改良(hack)することで楽しみ方の枝葉が広がりユーザの手に届き実(berry)を結ぶという思いが込められている。
3人は、hackberryをさらに進化させるべく1つの方法を思いつく。オープンソース化である。世界中の有志に参加してもらうことで、インターネットを通じて自由な開発を促そうと考えたのだ。専用ウエブサイトで基本設計情報を公開し、多くの参加者によってさらなる改良、カスタマイズが行われることになった。女性でも取り付けやすいように小型化され、手首も柔軟に動かせるように変更された。ネジや軸以外は樹脂用3Dプリンターで製造できるように設計も変更された。
そして、こうしたイクシーの活動に共感した企業が現れる。丸紅情報システムズだ。3DプリンターのDDMの実現に向けた支援の一環として、hackberryの部品形状の改良を提案。さらに、「部品の耐久性向上のために、対紫外線劣化の少ない樹脂にしたい」というイクシーの要望を受け、Stratasys FORTUS用のASA樹脂(黒色)で全部品を造形。組み立てたものを2015年6月の「第27回設計・製造ソリューション展」で展示公開し、宣伝に協力した。
「気軽な選択肢」をコンセプトにしているイクシー。メガネや洋服のように、「今日は黄色」「明日は青」と義手を気軽に付け変えられる未来をつくるべく、若い3人は日々奮闘している。



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