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ドイツ「formnext」展示会から見えてきたことは? (1)掲載日:2017/12/06

3Dプリンティングに携わる仕事の中で出会う、様々な3Dプリンティングの「?」や「!」ついてお伝えするコラムです。

ドイツ フランクフルトで毎年1回開催される、3Dプリンティング関連商品の大きな展示会「formnext(フォームネクスト)」。今年は11月14日から4日間開催され、筆者も出張調査してきました。そこで見えてきた、特に欧州の3Dプリンティング事情とは…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

展示会「formnext」とは?

「formnext」とは、3Dプリンティング(AM、アディティブマニュファクチャリングとも呼ぶ)をテーマにした、国際商業展示会(展示ブースと講演主体のカンファレンス併催)で、2015年より毎年1回、11月中旬にドイツの商業中心都市フランクフルトにあるフランクフルメッセにて開催されます。

formnext公式ホームページ

https://www.mesago.de/en/formnext/For_visitors/Welcome/index.htm

2014年以前は、同じ場所で金型や機械加工をテーマにした大型展示会「Euromold(ユーロモールド)」の中の1つの3Dプリンティングゾーンでしたが、年々出展ブース数や出展面積が増え、その後別の3Dプリンティング専門展示会としてformnextが出来たという経緯があります。

ご承知の通り、3Dプリンター産業はアメリカとドイツ中心のヨーロッパの2大地域にメーカーもユーザーも多く、世界をリードしてきたこともあり、欧州メーカーに限らず、主要なプリンター、材料、サービス会社がformnextで新製品を発表することが多く、今回も488団体もの出展者があり、まだまだ成長中ですが、毎回大勢の来場者で大変活気のある展示会になっています。その展示会で見て感じたことを2回にわたりお伝えしたいと思います。

今回のformnextで感じたことは?

今回のformnextをみて、全体に3つのことを感じました。

1.ドイツを中心とした欧州と北米だけでなく、中国・韓国含め、業務用3Dプリンティング産業は着実に成長を続け、ものづくりの一つとして定着している。ただし、個人用低価格3Dプリンターの乱立は沈静化の兆し。

2.金属、樹脂とも、プリンターと材料、設計や解析のソフトウエアの研究開発はさらに活発化し、種類多様化が進んでいる。それは「何でもできる」汎用機ではなく「必要なモノを作る」多様なニーズに合わせた特徴あるものが多い。

3.3Dプリンティングで実用品を作るDDMの事例に新しい設計手法(トポロジー最適化、ラティスや微細複雑形状、シミュレーションの活用)が多く使われ、定着してきている。

3つのことは、どれも日本でも起きつつあるもののまだ少なく、数年後に日本で起きる可能性があることを目にした感じでした。

Stratasysのブースで見たものは?

弊社が正規販売代理店となっているStratasys社も毎回ホール中央に大きなブースを置いて展示しています。今年は昨年以上に大きいブースで、人の出入りがしやすいオープンな感じのブースでした。

正面の壁には、今年6月の設計製造ソリューション展Stratasysブースでも公開展示されました、開発技術デモンストレーション用プリンター(市販未定)のCB3Dが実働展示されていました。

その他、活用事例展示として、FDMゾーンでは、欧米で活用が広がっているCFRP(炭素繊維樹脂複合材料シート積層)成形用の型を高耐熱樹脂ULTEMで造形した例や、

同じくCFRPで複雑形状のパイプ状部品を1ピースで作るための溶解コア専用樹脂材料ST-130のサンプル

また、炭素短繊維を混ぜた高剛性樹脂Nylon12CFと、トポロジー・形状最適化設計によるドローン機体

大量生産工程で必要な品質検査用固定治具を樹脂FDMにより最適設計、軽量化した例

などが展示されていました。

Polyjetゾーンでは、一人乗り電動2輪車の胴体をトポロジー・形状最適化設計とFDMによる直接製造した過程で、コンピュータによる強度解析をカラーで表現したデータから、J750フルカラープリンターで立体化しかモデルを作った例や、

開発中材料(発売時期未定)の先行展示モデルとして、J750フルカラープリンターでより鮮やかな発色が可能になる硬質材料による自動車のリアコンビネーションランプのモックアップサンプル

同じく飲料ボトルや化粧品のデザイン評価用モックアップサンプル

などが展示され、注目を集めていました。

Desktop Metal社のブースで見たものは?

今年5月にアメリカで新発表され、今後Stratasys代理店経由で市販される計画が報道されて日本でも話題となった金属3DプリンターメーカーのDesktop Metal社が初めてブース出展しました。

今回開催前から注目度の高かったブースだけあって、ずっと来場者で混雑していました。

特に今回は、バインダージェット方式による多量生産向け製品「Production System」の試作実機と造形サンプルが初めて展示されたことが注目を集めました。

発売はまだ先で、公開されていない情報も多いのですが、造形品(写真左は外周を切削仕上げ加工されていましたが)は表面も予想より滑らかで、微細形状の再現性も高いようでした。

先に発表済みのFDM方式デスクトップタイプ「Studio System」も含め日本での発売はまだ未定ですが、ご興味がある方は弊社までお問い合わせください。

 

その他注目した展示については次回に。

ドイツを含む欧州の3Dプリンティング産業の特長として金属3Dプリンターのメーカーが多く、研究や活用が進んでいることから、金属関連の展示が昨年以上に多く、新製品発表をしたメーカーも多かったのですが、金属3Dプリンターは実用品量産化を実現するための大型化、工程自動省力化を目指した機種が目立ちました。

次回は、冒頭に書きました「感じたこと」の3つ目の「新しい設計手法」についての展示を中心にお伝えしたいと思います。

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