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ドイツ「formnext」展示会から見えてきたことは? (2)掲載日:2017/12/20

3Dプリンティングに携わる仕事の中で出会う、様々な3Dプリンティングの「?」や「!」ついてお伝えするコラムです。

ドイツ フランクフルトで毎年1回開催される、3Dプリンティング関連商品の大きな展示会「formnext(フォームネクスト)」。今年は11月14日から4日間開催され、筆者も出張調査してきました。そこで見えてきた、特に欧州の3Dプリンティング事情とは…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリングソリューション技術副部長。Stratasys プロフェッショナル向け3Dプリンターの新しい使い方を開発提案する業務を主に担当。3Dプリンティングで日本のものづくりに役立つ何かを探し続ける日々。

展示会「formnext」とは?

「formnext」とは、3Dプリンティング(AM、アディティブマニュファクチャリングとも呼ぶ)をテーマにした、国際商業展示会(展示ブースと講演主体のカンファレンス併催)で、2015年より毎年1回、11月中旬にドイツの商業中心都市フランクフルトにあるフランクフルメッセにて開催されます。

formnext 公式ホームページ

https://www.mesago.de/en/formnext/For_visitors/Welcome/index.htm

今回は前回の1回目に続き、筆者が実際に見て注目した展示についてお伝え致します。

新しい設計手法と3Dプリンティング

前回のコラムで、今回のformnextから全体に3つのことを感じたと書きました。

1.ドイツを中心とした欧州と北米だけでなく、中国・韓国含め、業務用3Dプリンティング産業は着実に成長を続け、ものづくりの一つとして定着している。ただし、個人用低価格3Dプリンターの乱立は沈静化の兆し。

2.金属、樹脂とも、プリンターと材料、設計や解析のソフトウエアの研究開発はさらに活発化し、種類多様化が進んでいる。それは「何でもできる」汎用機ではなく「必要なモノを作る」多様なニーズに合わせた特徴あるものが多い。

3.3Dプリンティングで実用品を作るDDMの事例に新しい設計手法(トポロジー最適化、ラティスや微細複雑形状、シミュレーションの活用)が多く使われ、定着してきている。

特に3番目の「新しい設計手法」を使った展示品が今回は非常に多く、印象に残りましたので、ご紹介したいと思います。

 

トポロジー+形状最適化の活用

 

シミュレーションによる最適化設計については本コラムでも以前お伝えしましたが、コンピュータによる応力ひずみや振動、熱、流れなどのシミュレーションを元に、設計する部品の最適なトポロジー(カタチの性質。穴がいくつあるかなど)や形状を計算、またはそれを元に人が手を加えて3次元設計を行う手法として、歴史的には長く使われてきましたが、「理論上の最適形状」は型成形や切削など加工に使うためのCADデータへの変換・作成が難しく、また形状的に作れない、または作りにくくなることがあり、使われる範囲は限定されていました。

一方、3Dプリンティングで実用する部品を設計する前提では、ソフトウエアが作る適形状3次元データからほぼ直接加工出来たりすることに加え、比較的高価な3Dプリンティング材料を必要最小限にする、造形時間を減らす、造形中のひずみを少なくするなどのメリットが加わり、このような新しい設計手法と3Dプリンティングを組み合わせることは効果的であることが理解され定着しつつあるとみられ、金属、樹脂共に以下のようなサンプルが多数展示されていました。

特に下の古い自動車に後付けするフロントインナーフレームは、アルミ合金の3Dプリント品を溶接でしたそうですが、トポロジー最適だけでなく、中空構造シェル構造や中空内部のラティス構造、シェル外側の補強リブなどを複合的に使い、剛性や衝突吸収など部位ごとに違う性能を持たせるため様々な設計手法を使っていました。

工業部品ではありませんが、軟質樹脂で作られたドレスやハイヒール、アクセサリー、繊維強化樹脂による自転車フレームなども、これまでとは違う設計の考え方、ソフトウエアを使いこなす人増えていることがわかります。

 

ロボットや生産機械部品も多数展示

また、3Dプリンティングで作ると軽量化、高機能化が図りやすいのが、生産や移送に使われるアームロボットや自動機械のグリッパなどの先端部品で、その例も数多くみられました。

このように、トポロジー最適など特殊な手法でなくても、「求める働き」に最適な基本形状、部品構成、材料特性の考え方を大きく変えることができるのが3Dプリンティングの価値と言えます。特に樹脂の軽さ、柔軟さを活かす使い方は今後ますます増えていくと考えています。

日本はドイツのようになるのか?

2回にわたりお伝えしましたが、ドイツを含む欧米、実は中国、韓国、シンガポールなどの東南アジアでも、3Dプリンティング産業は装置、材料、ソフトウエア、学術研究、教育のどれもがますます活性化し、DDM(3Dプリンティングによる実用品生産)の活用実現拡大に向けて先を争うように進んでいることが感じられましたが、日本は現状「遅れている」ように見え、これから今日のドイツに追いつくような方向に向かうのでしょうか?

筆者は技術的に日本が「遅れている」とは考えていませんし、公表はされていなくても各所で3Dプリンティングの活用は広がっていると思います。一方で、日本はドイツと違い、欧米の新技術や製品がすぐに日本で浸透普及することはなく、同じようにはならないと思いますが、読み間違えてはいけないのは、ドイツも3Dプリンティングを単なる「速い、安い」のための従来工法の置き換えとしてではなく、これまでにない設計や開発方法で、ものづくりとサプライチェーンを大きく変えるための「道具」として使おうとしていることから、日本でも「ものづくりを変える」という動きの拡がりがなければ、3Dプリンティングも欧米のような状況にはならないのではと考えています。

「つくる」部分だけの変革だけではなく、欧米中心に広がっている新商品や新サービスを開発する方法論(リーンスタートアップなど)があり、ユーザーが体験したことがないことをます実体験出来る「プロトタイプ」を出来るだけ早く作り、そこからのフィードバックを得て問題点を素早く改良するサイクルを回すという考えで、これを実現する道具として3Dプリンティングへのニーズが高まっていると考えられます。日本でもこのような開発方法が拡がると、3Dプリンティングのニーズも高まると思います。

今年のコラムも今回で最後となりました。来年も3Dプリンティングはますます変わっていき、「?」と「!」がたくさん起こると思いますので、できるかぎりわかりやすくお伝えしていこうと思っています。

本年のご愛読誠にありがとうございました。

来年も引き続き宜しくお願い致します。

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