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科学技術研究と3Dプリンティングの関係は?掲載日:2018/02/13

3Dプリンティングに携わる仕事の中で出会う、様々な3Dプリンティングの「?」や「!」ついてお伝えするコラムです。

年度末が近づく中、大学での研究発表会が多く開かれる時期かと思います。その中で参加させていただいた発表会から見えてきた、科学技術研究と3Dプリンティングの関係は…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリングソリューション技術副部長。Stratasys プロフェッショナル向け3Dプリンターの新しい使い方を開発提案する業務を主に担当。3Dプリンティングで日本のものづくりに役立つ何かを探し続ける日々。

大学の研究発表会に参加してきました

今年の冬は全国的に寒く、雪も多くなり、日常生活や通勤、仕事でも、いつも以上にご苦労が多かった方々も多いと思います。また学校、職場でもインフルエンザにかかる方も多いようで、まだしばらく油断できない状況が続くようです。

いろいろな天候、自然災害、伝染病、また高齢化に見られるような社会問題は、人の長い歴史の中で多くの発明や努力による科学技術の発展で、解決、予防、軽減されてきましたが、それでもまた新しい問題や予測できない自然現象が起こり、それを解決改善する技術が生まれるという繰り返しは、これからも続くことになると思います。

ちょうどこの時期は、学校が年度末に近いこともあり、各地で研究発表会が開かれていることと思いますが、縁あって筆者が2校の研究発表会に参加させていただく機会がありました。そこで拝見した科学技術研究の中で、3Dプリンティンが様々な役割を果たしていたので、それらをご紹介したいと思います。

神奈川大学 高野研究室の研究発表会

以前このコラムでもこちらでご紹介いたしましたが、神奈川大学 高野准教授の研究室では、超小型人工衛星を安価に多数打ち上げることが出来る小型ロケットの研究をされており、実際に打ち上げ実験をしたロケットの機体部品や燃料にまでFDM方式uPrintによるABS樹脂の実用部品を多く活用されています。

今回の研究発表会では、打ち上げ実験を通じて成功して分かったこと、失敗したことの原因とその改善についての研究成果が多く発表されましたが、ロケットを計画通り飛ばすには、様々な空気から受ける力、生じる振動、熱などに耐える必要があり、また理論やシミュレーションでは予測できない現象にも対応できる性能が求められ、かつ軽さ、低コスト、安全性も両立するという難題を克服しなければならないことがよくわかりました。

特に高野研究室では液体燃料、固体燃料の良いところを併せ持つハイブリッドエンジンの研究が特色の一つで、様々な要求を満たす方法の一つとして、3Dプリンターでなければ作ることが難しい穴形状により、決められた大きさで、必要な燃焼時間、推力が得られる方法を考案され、その改良のため様々な形状の燃料を3Dプリンターで作り、実験されています。また、飛行姿勢を安定させるフィンを取り付ける部品やロケット先端のフェアリングなども、設計形状を繰り返し改善され、十分打ち上げに耐える部品を作られています。

ロケット打ち上げの瞬間(神奈川大学 高野准教授ご提供)

これまでの高額で長期の開発と大型のロケットを必要とする大型人工衛星とは別に、民生部品を流用し、機能を絞った超小型人工衛星を多数打ち上げることで、気象や自然の計測、通信の改善などで災害や社会問題を解決改善し、同時にビジネスにもつなげる動きが活発化しており、その打ち上げにはこのような小型ロケットが必要で、今後も3Dプリンターが衛星やロケットの研究開発に果たす役割はますます大きくなると考えています。

 

産業技術大学院大学 研究発表会

こちらも以前こちらでご紹介しましたが、昨年開催された「学生EVデザインコンテスト」で入賞された、産業技術大学院大学の研究発表を拝聴しました。

この研究では、大都市近郊の地域で、自宅から約1マイル(1.6㎞)の範囲の人の移動が、特に高齢者の方々にとって難しくなることで起こる「ラストワンマイル」問題を解決する方法として、2030年に実現が想定される自動運転、走行中自動充電などを活用した新しい交通手段についての研究でした。

デザインコンテストの終了後、詳しく伺ったところ、その交通手段に使われる電気自動車のデザインを3次元CADCGソフトウエアで行われたとのことで、そのような「作る」目的でなく「見せる」目的で作られた色情報付きの3次元データから、ミニチュアフルカラーモデルをフルカラープリンタStratasysJ750で作ることが出来るかどうかを学生の方と一緒に研究実験することにしました。何回かのテストの末、最適なデータ変換方法を見つけ、それを3Dプリントできるようにデータ修正、編集を行い、3Dプリントすることが出来ました。それを研究発表会の展示ブースでも展示していただきました。

このクルマには、両側面にドアがあり、乗車中の方が外から見えないように曇りガラスになったり、そこに広告が映せるような窓があり、J750でその曇りガラスを表現するため、本体とは別に透明樹脂VeroClearで造形、サンドペーパーでの研磨後にマット調のラッカースプレー塗装で作りました。

産業技術大学院大学は、社会人のスキルアップ教育を特色とされていることもあり、その他の研究も、人との共生や人同士のコミュニケーション、心の健康など、様々な社会的問題を改善解決し、なおかつビジネスにつながるテーマが多くみられました。その中で、ロボットの筐体など、3Dプリンティングが活用されていた例がいくつかありました。

 特に参考となる例としては、手で握ることでコミュニケーションにつながるデバイスを作るのに、赤ちゃんの肌のような触感になる柔らかい市販の新素材を使うため、内部に電子機器を入れるための複雑形状を空洞を作らなければならず、そのために学生は無償で使えるFusion360 で上下型と中子を設計、FDMプリンターで造形し、2液混合反応硬化樹脂を流し込んで固めた後に、型を割り、中子を取り出すことで目的のものが作れたそうです。

このように、従来研究者自身が作ることが難しかったものを比較的容易に作ることができ、研究成果を現物で試しては改良するサイクルを多く回せることは、科学技術研究には有効で、これも3Dプリンティングの大きな利点です。

3Dプリンティングは科学技術研究開発のかけがえのない「黒子」

もちろん科学技術だけでなく、生物医療、建築土木など様々な分野の研究開発で、3Dプリンティングはこれまでも多く使われており、これからますます使われていくことはまり違いありませんが、表に出るほんの一部に過ぎません。しかし、あくまで3Dプリンティングは主役よりも、陰で研究開発を支え、かつ他に変えることが出来ない「黒子」の役割が適しており、それでよいのだと思います。

弊社が販売するStratasysプリンターでも、今後もかけがえのない黒子としてより広く使っていただけるようなプリンター、材料開発が次々と行われていますので、ご期待ください。

また、2月14日(水)~16日(金)まで東京ビッグサイトで開催されます「3Dprinting展」に弊社もブース出展します。ご都合が合えばぜひご来場ください。

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