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全日本学生フォーミュラ大会で3Dプリンティングはどう使われた?掲載日:2018/09/19

2018年9月4~8日まで第16回全日本学生フォーミュラ大会が開催されました。これは国内だけでなくアジア各地や欧州の大学、専門学校などのチームが1年かけて自ら作ったレーシングカーによる競技です。その中で3Dプリンティングがどう使われたかというと…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリングソリューション技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

全日本学生フォーミュラ大会とは?

本題の前にアメリカからのニュースをご紹介します。

昨年11月にこちらのコラムでご紹介しましたが、アメリカの8歳の女の子Hailey Dawsonちゃんは、ポーランド症候群と呼ばれる先天性欠陥により義手を必要とします。そこでネバダ大学ラスベガス校(UNLV)がStratasys Fortusを使い、従来より安価で便利なカスタムメイド義手を開発製造し、その良さを義手を必要とする方に知ってもらうことを目指して、お母さんを中心に、Haileyちゃんが大好きなアメリカプロ野球MLBの全30球団の始球式で義手でボールを投げることを目標に活動を始め、そして現地時間9月16日、大谷翔平選手も所属するロサンジェルス エンジェルスで30球団目となる始球式を務め、ついに目標を達成したそうです。そのニュースは以下をご覧ください。

https://www.3ders.org/articles/20180917-hailey-dawson-8-year-old-with-3d-printed-hand-throws-1st-pitch-at-all-30-mlb-parks.html

義手が出来たことで「夢」が出来、それに多くの人が共感協力して実現したことをHaileyちゃんが体験し、これからの生き方にも義手の普及にもプラスになるであろうことが大事な点ですが、3Dプリンティングがきっかけの一つであったことは間違いなく、「人を動かしたり変えたりできる可能性」が3Dプリンティングの価値の一つであることを改めて知ることが出来たニュースでした。

さて今回の本題も、日本の若い人たちの力を3Dプリンティングが少し後押しした話題です。

このコラムでも昨年こちらで取り上げましたが、今年も「第16回 全日本 学生フォーミュラ大会 -ものづくり・デザインコンペティション-」(主催:公益社団法人自動車技術会、場所:静岡県 小笠山総合運動公園)が2018年9月4日~8日 に開催されました。日本だけでなく、アジア各国、オーストリアの大学、短大、高等専門学校、専門学校のチームが1年かけて自ら作ったレーシングカー(ガソリンエンジンまたは電気モーター)により、単に速さだけでなく、安全性、設計、コストやプレゼンも含め、総合的な審査による総得点で順位を決める競技です。

大会ホームページはこちらをご覧ください。

筆者も2013年から毎年参加しており、この時期は年により天候がかなり違いますが、今年は大型の台風により競技日程が変わったのに加え、特に最終日は朝から夕方まで、晴れたり突然大雨になったりを繰り返す天気となりました。どうなるか心配しましたが、どうにか最後まで競技が行われました。

今年は大阪大学が総合優勝を獲得し、昨年優勝の京都工芸繊維大学が2位でした。3位には、電気自動車部門優勝でもある名古屋大学が昨年総合4位から順位を上げ、いよいよ電気自動車が総合優勝にも近づいてきた感じでした。

タイミングにより晴れて乾いた路面の時やかなり深い水たまりの時に走ることになり、チームにより明暗が分かれた様ですが、やはり総合的な実力のあるチームが好成績を収めた印象でした。

協賛したチームの結果は?

弊社丸紅情報システムズは、2011年から、その年にチームから申し込みがあり、条件があったチームに対し、実用部品に対する設計支援と、割引価格での3Dプリンターによる製作で協賛支援してきました。

特に設計支援は筆者が担当してきましたので、今年協賛支援したチームがどのように3Dプリンティングによる実用部品を活用されたかと、競技の結果を順にお伝えします。

東海大学 Tokai Formula Club
全競技完走、総合8位で昨年26位、目標10位以内を見事達成されました。


昨年同様吸気サージタンク(以下写真赤枠 Stratasys F900 ASA樹脂造形+溶剤による表面気密化処理+チームにて塗装)と インジェクターブランチパイプ(以下写真黄枠 Stratasys Fortus450mc Nylon12CF樹脂造形)を採用されました。


テスト走行から大会まで、これらの部品は問題なく働き、筆者と一緒に作り上げてこられた2018年度エンジン班リーダー鈴木 遼様(以下写真左、右は筆者)からも、

 「3Dプリンターでの製作により吸気抵抗の少ない形状に設計でき、また樹脂を材料とすることで 軽量で高効率な吸気系パーツにすることができました。」

とのお礼のメールを頂きました。

今年も弊社ロゴを目立つフロントウイングに貼っていただきました。

今回は、CFRP(カーボン)モノコックやエアロパーツも自分たちで制作されたとのことでしたが、デザインも品質も良く、大変努力された跡が見られました。筆者は最後のエンデュランスレースを拝見でき、完走され、涙を流して抱き合って喜ぶチームの皆さんの姿に、目頭が熱くなりました…

<帝京大学 帝京フォーミュラプロジェクト>
全競技完走で総合37位。昨年73位から大きく躍進され、ジャンプアップ賞第2位を受賞されました。

今回初めて3Dプリンティングによるサージタンク制作に挑戦され、吸気サージタンク(以下写真赤枠 Stratasys F900 ASA樹脂造形+溶剤による表面気密化処理+チームにて塗装、以下写真赤枠)を採用されました。

このタンクの左側には、ルール上必須のリストリクタと呼ばれる、空気の吸入量を規制する部品も一体化されており、車検、機能上も問題なかったそうです。

こちらでも弊社ロゴを車体に貼っていただきました。

実用部品を3Dプリンティングで作るポイントは?

今回協賛した2チームの樹脂3Dプリンティングによる部品について、成功されたのには共通したポイントがあります。

①まず3Dプリンティングについて知る

過去にも「3Dプリンターだから何でも安く簡単にできる」と思いこまれて、設計をされてからお問い合わせいただいたケースがありましたが、弊社ではまずショウルームにお越しいただくなど、3Dプリンターの原理から樹脂の種類や特性を理解していただくことから始めています。その上で、3Dプリンティングで作るのに適した部品、基本構造を話し合って決めることで、設計工数や期間を短く出来、効果の高い部品を作ることにつながります。

②コンピュータ解析を使い最適形状を設計する

特に吸気部品では空気の流れを最適にすることが重要ですが、これは経験や頭で考えるだけではなかなか難しく、コンピュータによる流体解析で内部形状を最適化し、その形状を基に部品としての設計を行うことが重要です。特にFortusで作る場合、サポート材を溶かすことが出来ることを活かし、複雑内部形状があっても一体で作ることができる利点を生かした構造を提案することが多いです。

③3Dプリンティングの長所短所を反映して設計する

例えば東海大学のサージタンク外側にリブが見えますが、これもただつけているのではなく、タンク全体の肉厚を薄くしても、内圧変化による変形が少なくなるよう、構造解析結果から効果の高い位置にリブを付けています。3Dプリンティングでは形状の制約が少ない長所を生かし、また樹脂の剛性が足りないところは形状設計で補うことで、実用に十分耐える部品を作ることができます。

これらのポイントはフォーミュラカーの部品だけでなく、多くの実機能部品を3Dプリンティングで作る「DDM(ダイレクト デジタル マニュファクチャリング」にも共通する大事なことですので、参考にしていただければと思います。

また来年も、新発売された耐薬品、耐油性の高いAntero800NAを含む多種の樹脂を含め、様々な樹脂を活用し、チームの皆さんと共にチャレンジしながら協賛支援していきたいのですが、残念ながらいろ制約もありますので、早く申し込まれ、条件が合ったチームから4チーム程度までの協賛になるかと思います。ご興味があるチームの皆さんは、早めにお問い合わせ頂けますようお願い致します。

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