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3Dプリンターの「時間」と比較のポイントは?掲載日:2018/10/01

3Dプリンターの性能を表す数字はたくさん公表されていますが、3Dプリンターを使うと仕事を速く進められると宣伝されたり理解されたりしている割には「時間」について広く公表されている数字が少ないのではないでしょうか。それには訳があり、「あいまいなものさし」「人と機械の仕事時間」がキーワードですが…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリングソリューション技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

時間の「あいまいなものさし」とは?

本題の前にお知らせです。

10月3日(水)~5日(金)まで関西 設計・製造ソリューション展(DMS関西)が開催され、弊社もブース出展し、筆者も3日間参加予定ですので、ご来場の際はぜひお立ち寄りください。詳しくはこちらをご覧ください。

早いもので今年も残すところ3か月となります。先日テレビで見たのですが、人が歳を取るとどうして1年が早く過ぎると感じるか?の理由が、「子供に比べてときめきを感じなくなるから」とのことでした。人それぞれなのですが、ぼーっと生きずに、1年が1年と感じられるよう反省しつつ、今回は時間についての話題です。

さて、3Dプリンターについて知りたい情報は、ものづくりの3要素である「品質」「コスト」「時間」が多いのは当たり前ですが、「価格」は金額として、「品質」は「積層厚」や「材料強度」などで販売側からも広く多く発信されていて、数字としても明らかで比較もしやすいと思います。

ところが「時間」はどうでしょう?「モノを作るのにどのぐらい時間がかかるのか?」とか「速い3Dプリンターはどれか?」「ほかの工法と比べて3Dプリンターは速いのか?」などについて数字で発信されている情報を見つけるのは難しいのではないでしょうか?

その理由の一つが、時間や速さを測る「ものさし」があいまいだからと考えています。もちろん単位としての時間は同じですが、「どこからどこまで、どの条件で測るのか」の統一規格がなく、またそれによって差が大きく、正しい比較も出来ないためだと考えています。

例えば測りやすい時間として「3Dプリンターをスタートさせて終わるまでの時間=A」があり、メーカーがそれを公開していることもありますが、実際にはこれだけでモノが出来ないことはお分かりの方も多いはずです。本来「目的形状3Dデータがあり、3Dプリント用データを作り始める時が開始で、目的のモノを手にしたところを終了とした時間=B」とすべきで、多くの場合当然A<Bですが、ケースによってはA<<Bのこともあり、B部分が実際の時間や速度を大きく左右します。

例えば造形後取り出しまでの冷却待機時間、造形前のサポート設計と造形後の除去(粉や未硬化樹脂含む)、2次加熱・紫外線照射時間なども含まれます。

この「どこからどこまで」を正しく決めないと比較も生産能力予測も正しくできません。

ある人はA、ある人はBを「時間」としてしまうのが「あいまいなものさし」の原因の一つです。

「造形条件」もあいまい?

もう一つの時間の「あいまいなものさし」の原因は前述の時間Aに関わる「造形条件」です。同じ3Dデータ、3Dプリンター、材料で作る場合でも造形条件によって大きく変わります。

例として時間に大きく関わる条件の一つが積層厚です。Stratasys F370でABS樹脂、充填密度最大(ソリッド)で下記のレンチを造形する場合、

積層厚が最小0.13mmと最大0.33mmで造形時間はこのくらい違います。

この他に、もちろん造形向き(Z高さ)、充填密度の違い、1回の造形で何個同時に作るかでも時間に差が出ることは言うまでもありません。

「造形条件」を正しく決めずに時間の数字だけが独り歩きしてしまうのが「あいまい」の原因の一つです。

「人と機械の時間」とは?

もう一つの「人と機械の仕事時間」について説明します。

例えば、3Dプリンターが動く「機械の仕事時間」が3時間かかるモノ作る場合、それを午前中スタートすると、午後出来上がるまで待つとすれば「人の仕事時間」も3時間経過することになります。

一方、人の仕事時間が終わる終業時にスタートすると、翌朝の始業時に出来ていることになり、「人の仕事時間」は全く使われないことになります。しかし、もし造形が途中で失敗したり、材料が足りなくなり途中で止まったりすると、翌朝に再造形しなければならず、結局「人の仕事時間」が3時間経過してことになります。

つまり、3Dプリンターでも、「機械の仕事時間」は同じでも、造形の安定性、長時間運転安定性が高く、人が働かない夜間や休日を出来るだけ使えるプリンターの方が、実質の「人の仕事時間」を短くできることがお分かりいただけるのではないでしょうか?

同じく、3Dプリンターと他の製造法の時間を比較する場合も、人が時間と手を使い機械を動かして作る製造法では「人の仕事時間」でしか作ることが出来ず、またそのあいだ人は別の仕事はできませんが、3Dプリンターでは「人の仕事時間」を短く、または使わず作れることから、「実質仕事の進む時間」を比較すると結果は変わってきます。例えば型成形の場合、「機械の仕事時間」だけの比較では3Dプリンターの方が遅いですが、型設計、型加工の「人の仕事時間」があって初めて成形できるので、それが不要なことが「3Dプリンターが速い」理由なのはご承知のとおりです。

このように「あいまいなものさし」と「人と機械の仕事時間」を説明して理解していただいた上でないと、数字だけ出しても正しく伝わらないことが、「時間」の情報が少ない原因の一つと考えられます。もちろん聞く側、答える側がものさしを正しく決めた上であれば時間が正確な数字として得られ、比較もできます。

3Dプリンターの時間については、過去に当コラムの第3、4回目に取り上げています。ご興味とお時間があればこちらもご覧ください。

3Dプリンティングの「時間」

3Dプリンティングの「時間」その2

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