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4Dプリンティングが拡げる大きな可能性とは?掲載日:2018/10/17

2018年10月11日に「4D and Functional Printing 2018」というカンファレンスが初めて開催され、筆者も参加しました。「4D=4次元」プリンティングとは3Dプリンティングを超える様々な可能性があることが分かりました。それは何かというと…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリングソリューション技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

4D Printingとは?

皆さんもそうかと思いますが、「3Dプリンター」という言葉を普段特に深く考えることなく使っていて、「3D=3次元=立体」と解釈していますが、正直に申し上げて筆者も3次元とは何かをよくわかっていませんし、説明も出来ません。もちろん次元とは数学や幾何学の中であることを表すのに必要で、その中で決められた定義ははっきりしていますが、その他にもいろいろな定義や解釈の仕方があって、とてもぼんやりした言葉でもあるように思えます。

実際「3Dプリンター」と呼ばれるものも、多くは平面状のものを積み上げるので、なんとなく2.5次元の方がイメージは近い気もしますし、そもそも紙のプリンターを2Dプリンターとは呼ばないので、まだ広く知られていなかった頃に「3Dプリンターです」と申し上げても「よくわからん」というお応えを頂くことがよくありました。

最近ではそういうことも少なくなりましたが、一方で、形状記憶素材などによって、ある入力により時間と共に形が変わるようなものを3Dプリンターの原理で作る装置を「4Dプリンター」と呼んで研究発表されたりもしています。ただ「4つ目のDとは何か?」は3D以上にいろいろな定義や解釈があり、4次元といえば筆者がまず思いつくアニメのネコ型ロボットのポケットの4次元とはどう違うのかなど、考えてもよくわからない「次元」です。

そのような中、下記のカンファレンスが初めて開催され、筆者も参加してきました。

「4D and Functional Printing 2018」

主催:4DFP 2018 大会実行委員長:田中浩也様(慶應義塾大学)、副実行委員長:藤井雅彦様(富士ゼロックス株式会社)
開催日:2018年10月11日
場所:慶応大学三田キャンパス

概要は こちらのホームページをご参照ください。

個人的な感想ですが、3Dプリンティング応用の大きな可能性を見て感じることが出来た、これまでにない素晴らしいカンファレンスでした。加えて、「4Dプリンティング」とは、3Dプリンターを立体のカタチを作る装置と考え、そこに留まらず、その立体物から何か新しい「価値=4番目のD」を生み出すところまで含んだ「仕掛けや仕組み」を4Dプリンティングと考え、特に次元とは何かに拘らなくても良いということが分かり、筆者のモヤモヤが少しすっきりしました。

 

講演は幅広く、奥深く、未来が拡がる内容でした!

カンファレンスではホールでの公演と、会場でのテーブルブース展示・説明があり、全てはとても書ききれないのですが、特に印象に残り、皆さんにもぜひお伝えしたいことだけ以下に示します。(講師敬称略)

基調講演:「デジタルネイチャー」 落合 陽一 (筑波大学)

多くの方が既にご存知かと思いますが、近年世界的に活躍が注目され、多くの著書も出されている方で、講演開始時間に到着され、ご講演後すぐに次の場所へ向かわれるご多忙さでしたが、ご自身のことを「波屋」と仰っていたのが印象的で、確かにホログラムなど「波」を使った研究や作品が多いのですが、それらが社会や科学技術、芸術に「波」を起こし、それらが干渉増幅して広がって、またそれに反応して発想を広げられる落合さんご自身が「波」だと思いました。

ご講演の中で印象に残ったことは、ものづくりはこれからコンピュータと人がそれぞれ得意なことを分担して行うようになり、プロセスが自然化する
(筆者注:例としてイルカの通信機能を挙げておられましたが、動物や自然界には人が作れる以上の優れたものが多数あり、そのようなものを設計したり解析したり、素材を開発したりするには高度なコンピューティングが必要で、そこはコンピュータに、コンピュータでは出来ない「形作る」ことは人が行うことで、「自然の成り立ち」に近づいていくと解釈しています。間違えていればご指摘ください。)
ということや、作る-使う-捨てるではなく、使うと共に変わっていくモノを「かっこよく治す」という人為の自然退廃の中での「手入れ」が美しく、興味があるとのことでした。

落合さんの研究室でもMakerBotを使い、カメラの手振れを簡単に防ぐ道具をすぐに作って使う例や、廃校を使ったアート作品の部品を作った例を紹介され、それは「道具というカタチを作る=3D」+「それを使って撮った映像が後で価値を生む=追加のD」=4Dということを示唆されたのだと解釈しています。

 

「物理量を表現するAdditive Manufacturingとボクセルファイル形式FAVの今後の活用について」山崎 淳 (東京大学)

このご講演は、弊社の活用事例でもこちらでご紹介しておりました、Stratasys フルカラーポリジェット3Dプリンター J750で空間に分布する電子雲、銀河、気流を物理量を透明樹脂の中に立体物で見える化する手法を研究開発された事例で、テーブルブースでも造形品を展示され、多くの方が実際に手に取って、ご覧になっていました。

これらは、今現在はJ750が入力できるSTLやVRMLというポリゴンデータをプログラムにより作る手法ですが、今後は後述のボクセルデータを活用すれば(写真左下の丸いモデルはJ750によるボクセルデータからのプリントサンプル)、もっと多様な可視化をより容易に出来るようななることが期待されます。モデルは3Dですが、ここから見えるのは、普通人が見えない次元(大きさや時間を止めたある瞬間)を見えるようにすること=4Dと言えると考えています。

「バイオ3Dプリンタによる臓器再生医療の現状とこれから」中山 功一 (佐賀大学)

このご講演内容は、恥ずかしながら全く存じ上げず、しかし最も今回印象に残り、正に4Dプリンティングの価値を表された内容だと感じました。

ご研究と成果についてはすでに公表されているこちらのウエブサイトをご参照ください。

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20160608-OYTET50038/

剣山状の台座に団子にした細胞を1個ずつ刺し重ねていくのを、人の手では速く多量に出来ないので、中山先生ご自身がプログラミングから自習、カメラ画像で針先端位置を認識しながら自動で刺していくロボットを開発されたとのことで(これを3Dプリンターと呼ぶかどうかの議論は別にして)、世界で他に例がない、100%細胞だけで出来た移植用血管や心筋シートを作られたのは素晴らしい成果で、今後実用化されることを大いに期待したいと思います。

講演中の動画で、心筋細胞の団子が剣山に刺されたときは個々にバラバラの周期で拍動していたのに、培養により細胞同士がつながっていくと、だんだん全体が同じ周期で拍動していくようになるのを拝見した時は、生命の不思議と感動を覚えました。

 

4Dプリンティングの広く深い今後の可能性

その他にも、

「マテリアル駆動インタラクションとファブリケーション」筧 康明 (東京大学)

「平坦なパターンの自己折り可能性」舘 知宏 (東京大学)

「3Dゲルプリンターで挑戦するやわらかものづくり革命」古川 英光 (山形大学)

など、いま世界的にも最先端を走り注目されている先生方のご講演や、テーブルブース展示でも、コンピューティングによる構造設計と3Dプリンターにより、ある狙った変形方向には小さい荷重で変形し、その他の方向には変形しにくいモノや

微細形状と、それらの面に計算された色を配色してフルカラー3Dプリントすることで、見る角度で色が変わって見える不思議な視覚感覚を生み出すボールなど

いろいろな4Dプリンティングの応用の可能性を知ることが出来た展示があり、多くの刺激を頂きました。

全てではありませんが、これらのような4Dプリンティングを実現するのに有効なツールの一つとして、富士ゼロックスと慶應義塾大学SFC研究所(本カンファレンス実行委員長 慶応大学教授 田中先生)が開発されたボクセルベースのデータフォーマット「FAV」の最新情報のご講演もありました。

FAVについては下記をご参照ください。

https://www.fujixerox.co.jp/company/technical/communication/3d/fav.html

最新バージョン1.1の仕様書も上記ウエブページ内ダウンロードできるようになったとのことです。

また、本カンファレンスは来年以降も継続開催される予定で、次回は技術だけでなく応用社会領域やビジネスモデル実装事例も含めたいとのことです。また詳しい発表があればこちらのコラムでもご案内していきます。

どの4Dプリンティングも今日明日すぐに社会やビジネスに役立つものではありませんが、「3Dプリンティングでカタチにすることだけ」を超える考え方、材料物質による可能性が大きいことが少しでもお伝え出来たとすれば幸いです。皆さんの中で4Dプリンティングの実現、応用で、パートナーをお探しなど、必要があれば弊社にもぜひご相談ください。

 

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