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2019年の3Dプリンティングはどうなるか?掲載日:2019/01/08

新しい年が始まりました。昨年も1月最初の投稿で書きましたが、2019年の3Dプリンティングがどうなるか、勝手な予想をしたいと思います。日本は年号も変わり、2020年という節目に向けて何かと変わることが多い年になりそうですが、3Dプリンティングはどうなるかというと...

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

新年あけましておめでとうございます!

今年最初の投稿ですので、遅ればせながらご挨拶申し上げます。本コラムをお読みいただいている皆様、新年あけましておめでとうございます。本年も宜しくお願い申し上げます。

年末年始はどのようにお過ごしでしたでしょうか?筆者の住む横浜は晴天の日が多く、外を出歩くことが多かったのですが、おかげさまで穏やかに新年を迎えることが出来ました。また初めて寄席の正月公演に行き落語で笑ってきましたが、いろいろと大変なことがあっても笑うことで乗り越えたり、良い方に進んだりすることは、人の知恵として昔も今も変わらないとあらためて思いました。

さて、今年は5月には年号が変わり、また2020年という節目の年に向けて変わることが多い年になりそうで、先を見通すのがますます難しくなっていますが、2019年の3Dプリンティングはどのようになるか、半分は期待を込めて勝手な予想をしてみたいと思います。

2019年の3Dプリンティングはどうなる?

昨年末に大手市場調査会社がプレスリリースで3Dプリンター市場の調査結果を発表されていましたが、世界的には市場は右肩上がりで成長していくものの、全世界における日本市場規模の比率は下がるという内容でした。

これは日本の市場が縮小するという意味ではなく、日本の成長以上に海外の成長が大きくなると解釈していますが、年末年始の間にも、海外からは様々な新しい動きのニュースがありました。

・BMW 社 M850i Night Sky に複数の3Dプリント製部品採用

ニュース例

http://www.3ders.org/articles/20190104-bmw-m850i-night-sky-is-a-one-off-customized-with-meteorites-and-3d-printed-parts.html

以前より3Dプリンティングを最も研究し、積極的に活用していることで知られるドイツのBMW社は、カスタムメイド車を作る部門によるプロジェクトとして1台だけM850i Night Skyを製作し、それに複数の3Dプリント製パーツを採用したそうです。

毎年見られる三大流星群として知られる「しぶんぎ座流星群」は今年も1月3-4日に日本でも見られたそうですが、過去に何度か大気圏で燃え尽きず地球上に落ちた隕石があり、それに含まれる鉄を材料の一部として使い、インテリアのパネル、ドアミラーパネル、エアインテーク、またディスクブレーキキャリパーを3Dプリンティングにより作ったとのこと。また表面の模様はウィドマンシュテッテン構造(人工では出来ず隕石に含まれる鉄の結晶構造)を模したテクスチャ(シボ)になっています。

販売される車ではないとはいえ、他社にない独特なアイデアと、それを具現化するために3Dプリンティングを活用し、加えて他の工法では難しい材料を使うことで新しい価値を提供するという姿勢は、3Dプリンティング活用の可能性とヒントとして参考にすべきと考えます。

・Johnson & Johnson 社 3Dプリント製カスタムメイドフェイスマスクをCESで発表

ニュース例

https://www.fabbaloo.com/blog/2019/1/4/a-next-gen-face-mask-shows-that-ces-2019-is-more-for-the-3d-printed-than-the-3d-printer

こちらも3Dプリンティング活用に積極的なことで有名なJohnson & Johnson社は、毎年1月にアメリカで開催される国際的な家電見本市「CES」にて、3Dプリンティングで作られるカスタムメイドの美容フェイスマスクNeutrogena MaskiDを発表するとのことで、日本から行かれてご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

ここではどのようなプリンターでどのように作るかまでの情報はありませんが、スマートフォンの専用アプリから顔写真を撮影し、それを基に額や頬など6つのエリアに分けたカスタムメイドのフェイスマスクをセルロースや海藻を原料とした水性ゲル材料で3Dプリントし、マスクにはエリアごとの肌に最適な成分が含まれ(これもアプリの質問に答えることで個々に選ばれる)、普通のパックのように使う使い捨てのマスクとのことです。

確かに顔はそれぞれ違うだけでなく、場所によって肌も違う訳ですから、マスクの形も適する成分も異なって当然で、その方が効果もありそうです。値段は「他の化粧品と同等」とのことですが、お金には代えられない「美容と健康」を提供する商品に3Dプリンティングとマスカスタマイズを組み合わせることは、ビジネスとしても成り立ちやすいと考えられ、また他の作り方では作りにくい材料と形状で1点ものを作るのはある意味「王道」とも言える使い方で、こちらも大いに参考になります。

2019年はDfAMの普及で3Dプリンティングの活用が増える!

前述のように海外では3Dプリンティングに関するニュースがますます多く発信され、それらは今後を予測する参考になります。そこで、筆者が展示会やニュースから得た情報を総合して、2019年の3Dプリンティングがどうなるかを予測したいと思います。

・DfAMが普及して3Dプリンティングによる実用品製造が増える

DfAMとは、Design for Additive Manufacturingの頭文字をとった略語で、3Dプリンティングで作ることを前提にし、最適な設計をすること、またはその手法のことを指します。でもこれは最近できた考え方ではなく、昔から必要であることは提唱され、既に多く使われてきた手法ですが、特に最近海外でDfAMという用語が広まっています。世の中に情報が広まる時は「キーワード」が重要なのですが、DfAMもその一つかと思います。また、特に今年は、DfAMのためのシミュレーション、設計ソフトウエアが増えることも予測しており、これによりDfAMが急速に普及し、それによる様々な実用品や治工具の製造が増えると考えています。

・材料種類と後加工の製品が増え、生産能力が増える

昨年もそうでしたし、予測というより確実に起こることですが、今年も更に金属、樹脂含む有機だけでなく、セラミックやガラスなどの無機の新しい材料、またそれらの機能性複合材料が市場に出てくると同時に、医療、歯科分野でも用途毎に適した装置や材料が出てくることで活用が広がるでしょう。またこれまで「人の手」で行われてきた後加工(サポート除去含む)が省力、省人化できる製品がこれまで以上に出てくることにより、3Dプリンティングによる実用品製品が増えると考えます。加えて生産能力が低いことが3Dプリンティングの欠点とされていますが、それを増やせる画期的な工法や装置も世の中に出てくると見ています。

日本では残念ながら入ってきたり発信される情報が圧倒的に少ないのですが、むしろ海外からは日本市場への注目は高まっており、良い意味で外圧が高まり情報は増えていくと考えています。

その一例として、昨年までは国内主催者により開催された「3Dプリンティング」展示会が、今年は株式会社JTBコミュニケーションデザインと、イギリスRapid News Publications ltdの共催で、「TCT Japan 2019」として2019年1月30日(水)~2月1日(金)に東京ビッグサイトで開催されることになりました。

https://www.tctjapan.jp/index.html

弊社丸紅情報システムズ株式会社もブース出展しますが、セミナーでも海外講演者による市場動向や、国内先進ユーザーによる活用事例紹介も増え、より多くの情報が発信され、2019年の動向を知ることが出来る展示会となりそうですので、ご来場されることをお勧めします。

今年も皆様にとって自然と笑えることが一つでも多く起こることを願って止みませんが、そうでないときも「笑ってみる」ことの効果は昔から伝えられ、科学的にも研究、証明されることも聞いたことがあります。無理に笑うのもなかなか簡単ではありませんが、寄席の額にあった「笑門来福」で変化の多い今年を乗り切っていきたいと思っています。。

今年もご愛読の程宜しくお願い致します。

 

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