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なぜ3Dプリンティングは「RFLP」開発に役立つ?掲載日:2021/11/04

すり合わせ開発の方法として知られ、実際に使われている「RFLP」は、特に日本では十分に広まっていなかったり、うまくいかなかったりすることもあるようです。革新性や独創性の高い商品開発には特にR=要求整理/要件定義が重要で、その後のF→L→Pでも3Dプリンティングが役立ちますが、なぜかというと...

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

「メカトロテックジャパン2021」展示会に行きました

前回のコラムでお知らせしましたが、2021年10月20日(水) ~23日(土)に名古屋で開催された「メカトロテックジャパン2021」に短い時間でしたが行って見てきました。久しぶりのオフライン展示会でしたが、思っていたより多くの方が来場されていました。

弊社丸紅情報システムズ株式会社もブース出展し、今回は少し前にこちらのコラムでご紹介しました、Stratasys OriginOneプリンターの実機とサンプルを初展示しました。

 

 

高い生産性や表面・形状品質に関心を持っていただく方が多く、今後新しい情報が入り次第こちらのコラムでもお伝えしていこうと思いますが、詳しく知りたいかたはこちらのサイトをご覧いただき、サンプルが見たいなどのお問い合わせはこちらのサイトからお願いします。

またロボットのゾーンでは、エンドエフェクター部品に樹脂3Dプリンティングを使われている展示が複数あり、特にStratasys Fortusを試作だけでなくロボット開発に必要な用具製造に使われ、また自動車製造などで使われる、手で持つ3Dプリント製治工具を設計から製作まで受託される事業を行われているトライエンジニアリング株式会社様(事例紹介はこちら)は、アームロボットで柔らかいシーラーテープを複雑形状部品に自動で貼り付ける新開発製品の実演展示を行われ、白い安全保護カバーや各種ガイド実用部品をFortusで製造されていました。

サーキットの高低差も再現した立体模型の上にテープを1周貼り付ける実演で、もちろんこの模型もFortusで作られていました。

「RFLP」とは?なぜ3Dプリンティングが役に立つ?

先日仕事である方と話したときに話題に上ったのですが、すり合わせ開発の進め方として知られ、使われている「RFLP(R:要求→F:機能→L:論理→P:物理」と、関連する「V字プロセス」ですが、革新性や独創性の高い商品開発には特に最初に行うR=要求整理/要件定義は言うまでも無く最も重要です。3Dプリンティングでの実使用部品製造が成立、成功しているこれまでの事例を見ても、RとFがこれまでの前例や常識にとらわれないものだったであろうと想像できる場合が多くあるように思います。

そこで、RFLPモデルの開発を行う際、3Dプリンティングが役立つ2つのポイントがあると考えます。

①要求や機能を十分に満たす形状やサプライチェーンが3Dプリンティングであれば実現する場合

②RFLPを進める際、設定や検証を1D/3D-CAEだけでなく「3Dプリンティングによる現物」を併用することで成立性や使用、製造における潜在問題点を早期発見対策ができ、かつ関係者間で共通認識を持って進めることが有効な場合

前回のコラムでご紹介したミシュラン社エアレスタイヤ「UPTIS」でも、①パンクしないこと(パンクによるタイヤ廃棄を減らすも含む) ②「コネクテッド」にすること ③2050年までに100%サステナブル原料にすること ④タイヤのトレッド(溝)が摩耗で溝が浅くなっても交換廃棄せず、外周に積層でトレッドを修復すること がRとして定義され、それをFからL→Pに進めるにあたり、Fを満たす理想に近い形状や製造・サプライチェーンが型成形や除去加工では難しく、3Dプリンティングが適していたから採用されたと推察します。

一方、RFLPを進めるツールとして1D-CAE、3D-CAEが有用ですが、おそらくFが前例からかけ離れている、独創的である、製品システムが複雑であるほどすべての関係者が同じ認識を共有したり、「現実に成り立つのか」を早い段階で検証するのに、3Dデータだけでは不十分で、「現物評価」を併せて使う効果は高く、そこで「現物化」しやすい3Dプリンティングが有用になると思います。

先日個人として参加したオンラインイベント Fabcafe様主催「Discovery Hackathon Meetup Vol.2 業界最前線を走るゲストが語る、ものづくり・エンジニアリングの世界」の中で、クリエイティブコミュニケーター/デザイナーの根津孝太さんが、「ものづくりとは関係する人たちとのコミュニケーションをデザインすること」という主旨のことを仰っていたのがとても印象に残りました。例えば一般によくあるデザイナー、設計エンジニア、製造エンジニアの間での意見衝突も、「現物」を使って認識共有や意見交換をすることで、不要な誤解による衝突が避けられたり、とRとFを関係者が同じように理解し、それを実現するというベクトルが合えば、大きな熱量が生まれ、開発が成功することはあると思いますので、特に日本でもっと多くのRFLP型開発が行われるために、機能や形状が完璧でなくても、3Dプリンティングによる現物評価が使われるべきと考えています。

特に前述の産業用ロボットによる自動化システムを開発する場合も、毎回異なるR=要求に対しRFLP型開発が行われていると思いますが、CAEやモーションシミュレーションも進化しているものの、限られた工期の中で十分な機能や安全評価を行うには3Dプリンティング含めたやはり現物評価が重要と伺っています。加えて、最近急速に需要が高まっている「協働ロボット」も、人が触れる可能性がある部品のカバーや、シャープエッジを丸くした実用部品にも3Dプリンティングは有用です。

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