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ポストコロナの3Dプリンティングはどうなる?掲載日:2023/04/04

4月になり、新年度となりました。海外も国内も、コロナ禍の前に戻るというより、これからの新しい社会、生活、経済、働き方を新たに作る最初の年度になると思います。その「ポストコロナ」の中で3Dプリンティングがどうなるかについて考えてみると…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

新年度が始まりました

4月になり、新年度となりました。海外も国内も、コロナ禍の前に戻るというより、これからの新しい社会、生活、経済、働き方を新たに作る最初の年度になると思います。4月最初のコラムでは昨年同様、弊社丸紅情報システムズ株式会社本社ビル近くの桜の写真から始めたいと思います。

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今年は全国的にソメイヨシノの開花が記録的に早いようで、正直に言えば4月1週では遅いので3月末に撮影した写真です。また、右の花は桜の近くの別の樹ですが、正しい名前がわからなかったので、花のアップ写真を「Google Lens」という画像からの検索機能を使うと、ヤマモモが最も近いと出てきました。このような画像から検索は、それを多くの人が使うほど人工知能(AI)が機械学習することでより正確な検索結果が出る仕組みだと思いますので、ポストコロナでより多くの人が外に出かけ、写真を撮り、検索することが加速度的に増えていくことで、ますます検索結果が正確になるのではと思っています。


ポストコロナの3Dプリンティング

3Dプリンティングの世界でも海外、国内とも「ポストコロナ」の時代に移ってきています。特に海外では、コロナ禍の間に中断、縮小、オンライン化していたイベントがコロナ前と同じ会場集合だけ、規模的にも同じかそれ以上で開催され始めているようです。一つの例は、コロナ前は筆者も毎年参加し、このコラムでもご紹介してきました、アメリカ シカゴで3月19~24日まで開催された2023 AMUG (Additive Manufacturing Users Group) Conferenceです。今回は残念ながら行けませんでしたが、様々な海外ネットニュースからその様子を知ることが出来ました。そのひとつを参考までに以下に紹介します。

https://3dprint.com/298861/2023-amug-conference-showcases-maturity-of-3d-printing-industry/ (英文のみ)

コロナ禍で減っていた参加者も2,000名を超え、内650名が初めての参加だったそうです。また基調講演では、クレイアニメーションの世界的製作会社で、Stratasys PolyJetフルカラープリンターでキャラクターを作り多くの映画作品制作公開をされてきたLAIKA Studios の Rob Ducey 氏と、コロラド大学アンシュッツ メディカル キャンパスの Nicholas Jacobson 氏は2019年のAMUGで知り合い、その結果医療に使われる精巧な3Dプリントモデルを作られた成果を発表されたようです。このように、ポストコロナでは以前より「実際に会って話す機会」の価値や重要性がますます共通認識となり、加えて組織、地域、国境も超えた「協働開発」や「協働生産」がクラウドベースのデータ共有、コミュニケーション、CADなどのツールにより、ますます増えるとともに、3Dプリンティングも試作、実験、初期生産、オンデマンド生産などにこれまで以上に使われることになると考えています。

一方で、ポストコロナとはいえ、また同じような、もしくは全く別の感染拡大や災害がいつ起きてもおかしくないという共通認識から、新しい製品開発をする、または生産技術や生産プロセスを開発する場合にも、サプライチェーンや物流の停滞や急変を想定し、コロナ前の延長線とは違う発想や設定が必要になることが考えられ、この中でも3Dプリンティングが適する案件が出てくると思います。

海外の例ではありますが、アメリカ デトロイトにあるTriTech Titanium Parts LLC社は、これまでチタン合金による部品をセラミック型による鋳造で製造してきましたが、最近DesktopMetal社のバインダージェッティング方式 量産製造用金属3Dプリンターシステム「Production P-1」を導入し、チタン64合金の市販粉末を使って型、鋳造を使わない部品製造技術を開発し、使い始めています。

TriTech Titanium Parts LLC社ホームページ

https://tritechtitanium.com/technologies/3d-printing/

現状の鋳造工程や経営者による「Production P-1」を導入した背景の説明、実際の作業などを紹介した動画

プリンター庫内を不活性ガスで置換でして酸素濃度を下げることでチタン合金のような酸化反応性が高い金属粉が使え、粉末投入圧粉からバインダージェッティング硬化まで複合ヘッドで1回の移動で1層を加工できる高速高解像度プリントを特長とし、また必要金属粉量も少なく、未硬化粉末再利用率も高く、高価な金属でも廃棄量が少ない「Production P-1」は、このように既存ビジネスと技術をベースにしながら新しい生産プロセスとビジネスを加え、ポストコロナの新たな需要、市場変化へのチャレンジに適したシステムです。また動画内でもコメントがあるとおり、P-1を単にプリンターの性能で選んだのではなく、プリント後の加熱脱脂焼結の収縮変形シミュレーションと補正形状生成が出来る「Live Sinter」という、よく検討の際に見落とされがちなソフトウエア技術があったことも参考になる点だと思います。

国内でも似た動きがあり、下記の弊社丸紅情報システムズ株式会社ホームページの最新ユーザー事例からご紹介します。

国内初! 5台のOriginOneによる「Origin One 3Dプリントサービス」実用部品、デザイン性の高い自社製品を生産 多品種小ロットのものづくりビジネスを切り拓く

名古屋の株式会社プレミアムパーツ様は、高精度な切削加工を実現する高速同時5軸マシニングセンターで高度な金属部品加工を主の事業とされていますが、2022年11月、同社は実用部品の生産向けに、国内初 5台のOrigin oneによる「Origin One 3Dプリントサービス」を開始されました。その後早速大手自動車メーカー向け生産ラインの製造を手掛けるメーカーから、ナイロン樹脂を使った切削加工の依頼を受け、それをOrigin oneで製造することで、切削加工で起こりうる反りや歪もなく、短期で製造納品されたそうです。またこれまでは難しかった、デザイン会社である株式会社ブルーデザイン様とコラボレーションし、ブランド戦略の展開の挑戦を始められています。このように、コストコロナの変化を見越し、既存事業に3Dプリンティングを組み入れた新ビジネスを作る例は、他の企業の皆さんにも参考になると思います。

このようなポストコロナに向けた新しい動きはこれからも増えてくると考えています。


名古屋「次世代3Dプリンタ展」に出展します

新年度最初の3Dプリンティング関連展示会になると思いますが、下記の通り名古屋「次世代3Dプリンタ展」に弊社丸紅情報システムズ株式会社はブース出展し、筆者も3日間参加する予定です。まだどうなるかはわかりませんが、制限のない展示会は久しぶりだと思いますので、ぜひご来場ください。

開催日時: 2023年4月12日(水) ~ 14日(金) 10:00 ~ 17:00
会場  : ポート3メッセなごや号館
【次世代3Dプリンタ展】    ブース番号:26-19 (Stratasys Desktop Metal 3Dプリンター展示)
【設計・製造ソリューション展】ブース番号:23-33 (3Dスキャナ^など展示)

丸紅情報システムズからの e招待券(電子版招待券) は下記サイトから印刷してご使用ください。入場時にお名刺1枚が必要です。

【設計・製造ソリューション展】(外部サイトが開きます)

先日筆者があるお客様から伺って、驚いたことがありました。そのお客様は、「2つの3Dプリンターシステムのどちらが良いか、参考としてチャットGPTに聞いてみた」とのことでした。筆者も英文で入力して試してみましたが、「それぞれこれとこれの特徴があって、使う目的によりどちらが良いかは異なる」と、思ったより「まともな」答えが返ってきた一方、出来る材料や性能で全く実際と異なる解説を答えてきたりもしましたので、まだまだ信頼できるものではないと思います。やはりもうしばらくは展示会などで正確な情報を得て検討されることをお勧めします。

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