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テーマ部門
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自由デザイン部門 最優秀賞 |
3次元CADによって引き上げられる生徒の制作能力この作品をデザインした長野県箕輪進修高等学校の小池将史君は、3年生の課題研究としてこのコンテストに取り組んだ。1週間で3つの案を考え制作したという。小池君を指導している飯島健二教員は、「発想力で勝負した作品」だったと振り返る。「彼は自分のペンのように3次元CADを扱うことができます。そのため、アイデアを練る作業に多くの時間を当てることができました。CADを動かした時間は、15分程度だったと記憶しています」 会場に訪れていた複数の高校の先生に話を聞くと、3次元CADを使うことのメリットの1つとして、製図時間の短縮を挙げる声が多かった。 「手描きによる2次元の製図で平面図、立面図、断面図を描かせても、生徒は自分が描いているものをイメージできていないケースが多々あります。しかし、3次元CADで製図をすると、リアルタイムに形状を見ることができます。そのため、最終形状が理解しやすく、製図に付随する知識の修得もスムーズに進みます」(テーマ部門 最優秀賞 群馬県立伊勢崎工業高等学校 久保田満教員) 3次元CADによって生徒の製図能力が引き出された例を、教育現場にいる先生たちは頻繁に目の当たりにしているという。今回のコンテストの自由デザイン部門で優秀賞を取った埼玉県立川越工業高等学校の池田なな子さんはその好例で、3次元CADを始めてからわずか2ヶ月での応募だったという。 数年前に比べて、工業系高校におけるCADの必要性は急速に高まっている。前述の理由のほかに、企業が3次元CADの操作能力を持った人材を求めることが多くなっているからだ。会場に訪れていた高校は、CAD設備や授業を整備している学校や、これからさらに充実させようと積極的に取り組むところがほとんどだった。 ものづくりに興味を持たせ中高生の理系離れを防ぐためにも、3次元CADを用いるのは有効な手段だと長坂教授は語る。 「NC加工を教えている教師の方などは、生徒を惹きつけるのに苦労しているというのをよく耳にします。図面を作成し、それをもとに削り出すという工程は、最終的なカタチを成形するという完成形に到達するまでの過程がどうしても長くなります。また、2次元図面から3次元の立体を想像することが困難な生徒も多く、途中で疲れてしまうのです。その点3次元CADは、作業過程においても終始、立体を確認できるので完成形をイメージしながら進めることが生徒でも容易に行えます。ただし、3次元CADではあくまでも画面上でのバーチャルなカタチなので、最終的に実際の立体に触れるところまでは行きません。今回のコンテストでは『3次元CADを利用して簡単に実際の立体を作れる』ということを、高校生や教師の方に見てもらうことができました。これは、教育的に大きな意義があったと思っています」 |
3Dプリンタでデータからモデルへさらに製品サンプルへとリアル化3Dプリンタでデータを造形する目的の1つは、実物をより理解しやすくするためだ。イメージを高校生に明示すると、学習意欲の維持と向上につながっていく。それは授賞式の作品紹介ブースでも証明されていた。当日の会場でもっとも人を集めていたのは、自由デザイン部門の最優秀作品が展示されていた場所だった。作品は愛知県立起工業高等学校の近藤衣理子さんがデザインした電動式爪やすり。特長は卵形をしたボディのフォルムで、どの角度からでも手にフィットするようにとの工夫がなされている。 この作品展示に人々が高い関心を寄せたのは、実際に可動するようになっているモデルが展示されていたからだ。これは長坂研究室の学生たちが、応募作品として送られてきた外観データと仕様書をもとに内部構造をイマジネーションして制作したという。動力機をセットする台や止め具、組み立てられるように分割したボディなど、各種パーツを製品化したらどうなるかをテーマに設計された。やすりやパッキン、モーターなどを除いた、ほとんどの部品が3Dプリンタで造形されている。 電源を入れるとブルブルブルとやすり部分を小刻みに振動させる姿に、手に取った人は一様に驚きの声を上げていた。近藤さんを指導している清水浩行教員は、製品化された作品を見て次のように感想を述べた。 「デザイン学習の本意と目的を生徒へ明確に伝える手段として、生徒が手掛けた作品を実際に動かすということは、非常に有効だと感じました」 高校生を対象とした応募作品を実際に造形するCADコンテストは過去、類をみない。生徒を引率してきた先生からは「このようなコンテストはこれまでなかったので、とてもありがたかった」との感想も聞かれた。「考えたデザインがカタチになるのだぞ」という叱咤激励は、高校生にはとても効果があるそうだ。 今回のコンテストを終えて、長坂教授は大きな手応えを得たという。参加した高校の先生たちと触れて、教育に熱心な先生は多いと再認できたことも次回以降への励みになった。ただし、改善しなければいけない点も見つかったと語る。 「画面上では面と面がきちんと接合しているように見えても、実際のデータ上では宙に浮いてしまっているなど、そのままのデータでは3Dプリンタで造形できない作品も多数ありました。展示作品のほとんどは研究室の学生等(SolidWorks認定試験合格者)がデータを修正して対応しています。高校生のCAD技術の底上げをしたいと感じました。一方で、3次元CADと3Dプリンタを使って造形できないものはほとんどないので、自由デザイン部門では、建築や人型ロボットなど、作品のバリエーションを増やしていけるようにしたいですね。次回は、今回以上に実用的でありながら夢のある作品が多く集まってほしいと考えています」 長坂教授は、研究室の学生等による高校への出張学習会や、大学に高校生を集めて行う3次元CAD講習会を増やすことで、高校生の3次元CADのスキルアップに貢献したいと語る。既に、来年に予定している第2回に向け、協賛企業や高校などに対して働きかけを始めたという。コンテストを成長させて「高校生の一大イベントにしたい」と語る長坂教授。その動機は、多くの人々にものづくりの楽しさを知ってほしいという思いにほかならない。 |
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