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墨田区地域振興部商工担当 すみだ中小企業センター 導入事例

Dimension

コンピュータ上の3次元データを、自動的に立体造形するシステム。ABS樹脂を造形材として使用し、その特性を活かしてさまざまな機能テストにも対応します。
コンパクトな筐体でオフィス環境でも利用できる60dB以下の静寂性を備え、デザイナーや設計者がネットワークプリンタを利用する感覚で、3次元モデルをデスクサイドでも出力できる3Dプリンターです。

Dimension

東京でまち工場といえば、大田区が有名である。
だが、もう1つ東京にはまち工場のメッカがある。墨田区だ。工場数は東京23区内で2番目に多く、面積当たりの工場数は最大規模。工場の密集度が最も高い区である。その墨田区のまち工場は、今厳しい風にさらされている。
東南アジアや中国などの安い潤沢な労働力をもつアジア諸国との価格競争、そして、後継者問題。
大企業が好景気に湧く中、墨田区のまち工場はいまだ苦況の最中にある。
「墨田区地域振興部商工担当すみだ中小企業センター」。
中小企業支援を目的に設立された墨田区の施設は、この状況を打破すべくある作戦に打って出た。
「これで墨田区のまち工場が変わるきっかけになれば」まち工場復興。墨田区が、動く。

「設計・加工・測定」の限界

両国、錦糸町といった町に代表される墨田区。近年は駅前に大規模なショッピングセンターができるなど再開発の波が押し寄せ、華やいだ雰囲気が加わっているが、一歩町の裏に足を踏み入れると風景は一変する。
下町風情が今も残る町並みの中に、小さなまち工場がひしめいている。同区内の工場数は約4,000。まち工場で有名な大田区は約5,000だが、墨田区の面積は大田区の4分の1。その密集度は大田区をはるかに凌ぐ。
「そもそもの始まりは明治時代にまで遡ります。河川に囲まれ恵まれた立地条件などから、石けん、紡績、精密工業などが盛んになり、大正時代には玩具製造、 ゴム工業などが興り輸出も盛んにおこなわれました。ハイテク産業やマイクロエレクトロニクス産業が主流な大田区に対し、日用消費財が多いのが墨田区のまち 工場の特徴です。また、工場の8割が従業員数9人以下の小規模企業です」(石井館長)
だが、その日本を代表する都市型工場地帯でも、ここ6、7年の間で1,000社近くものまち工場が姿を消し、年々減少の一途をたどっている。
その大きな要因の1つに、中国や東南アジアなどアジア各国からの安価な製品の流入がある。日用品や雑貨類を主力としている墨田区のまち工場はその影響をま ともに受けている。「下請型」という受注形態がほとんどなため、中国や東南アジアへの生産拠点移転による空洞化の影響は大きい。そして後継者不足。
こうした状況に対し、墨田区はかなり早い時期から産業振興に取り組んできた。その代表的な施設が『すみだ中小企業センター』である。
「このセンターは1986年に開設されましたが、その目的は『工業振興』です。経営相談はもちろん、受発注の取引相談もおこなっています」
そして、同センターが積極的に取り組んでいるのが技術相談・支援である。総勢12名の技術相談員による数々の講習を実施。建物内にはいくつもの工作用機械が置かれ、相談員がマンツーマンで指導する。
「中でも力を入れてきたのがCADです。12年前に『CADセンター』をつくり、測定機も用意することで、設計・加工・測定が一通りできることを目ざしま した。それにより、大企業が要求するレベルのものをかなりの精度でつくることができます。ところが時代の変遷とともにそれだけでは限界が出てきたので す」(石井館長)


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求められる「試作開発型」への転換

なぜ、設計から測定までだけでは限界なのか。
「生産拠点の海外移転などで空洞化が進んでいる中、『下請型』の受注形態では将来先細りになるのは目に見えています。そうした状況から抜け出すには“プラ スα”がなくてはならない。それは試作開発型への業態転換、つまり仕事を待つのではなく、まち工場が自分たちで商品を開発し“仕事をつくる力”を身に付け ることが欠かせないのです」(石井館長)
同センターには、NCフライス盤やマシニングセンタなどの機械が置かれている。しかし、試作開発型への業態転換を図るとなると、これまでにない新たな設備が必要だった。
「たとえば、ある工場がCADでモデリングしたとしても、それを“形”として手に取れなければ何の検証もできず、開発においては机上の空論でしかありませ ん。工作機械で加工するとしても、操作が複雑で時間もかかるようでは試作するのが面倒になってしまいます。手軽に簡単に素早く試作品が手にできるツールが 必要でした。光造形機は近隣の公設試験場にあり、設備投資が重複してしまうため、それ以外の機械はないか探していたのです。その中で目をつけたのが3Dプ リンタです」(清水相談員)
同センターでは3年ほど前から3Dプリンターの導入を検討。現場のニーズと予算の関係などからタイミングを見計らっていたが、2005年秋、ついに導入を前向きに検討することになる。
「候補のひとつとして挙がったものがDimensionです。Dimensionは造形モデルの材料が強度のあるABS樹脂なので、ある程度までなら機能 試験が可能になります。さらに操作性もよくだれにでも使えそうだなと感じました」(清水相談員)
同センターでは現場の声を聞くために、Dimensionのデモをおこなうことを決定、それを告知した。すると、予想外の反響が得られた。
「当初は20~30人ほど集まればいいと思っていたのですが、ふたを開けてみたら倍の50人集まりました。急遽広い会場に変更したほどです」(清水相談員)
そして2005年11月18日、同センター1階の技術指導室にてデモがおこなわれることになる。


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3次元造形機で見えた“CADの先にあるもの”

そこは熱気に包まれていた。
作業中に抜け出してきた作業着姿の人、営業回りの途中に寄ったスーツ姿の人など、経営者、現場担当者などが熱心に3Dプリンターを見つめている。
「ふつう、こういう場で工場のみなさんが発言することはほとんどありません。『質問はありますか?』と言っても遠慮し、終わったあと個々に質問されること が多いのです。ところがこの日は質疑応答の場面で、どんどん質問が来る。デモが終わったあとも質問が続き、なかなか止みませんでした」(清水相談員)
なぜこれほどまでに注目を集めたのか。清水相談員はこう語る。
「『3次元造形機がほしい』というニーズは確かにありました。でもそれ以前に『CADを学んでも、そのあとどうしていいかわからない』という声が多かった のです。それが3Dプリンターを目にしたことで、形の検証はもちろん、組付け確認や機能確認もできることがわかった。つまり“CADの先にあるもの”が見え たわけです。中には『3Dプリンターを使うためにCADを覚えたい』という方もいました」
そして、同センターがもっとも期待していた意識改革も生まれてきた。
「私たちが『これからは商品を自社で開発しないと生き残れませんよ』とハッパをかけても、なかなかその具体的なイメージを持つことが難しかった。ところが 3Dプリンターを見てやる気になり、『試作開発』という目標を明確に掲げた企業が増えた。これは我々にとってとても大きな収穫でした」(石井館長)
同センターはデモ終了後にアンケートをおこなった。すると想像通り、ほとんどの企業が「ぜひ使ってみたい」と回答する。
そして遂に導入が正式に決定することになる。


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かつての勢い、再び

2006年4月下旬、すみだ中小企業センターに真新しいDimensionが納入された。
「実はDimensionの他にもう1台、粉末式の3Dプリンターも同時に導入しました。カタログで比較するとDimensionのほうが造形時間がかるた め心配していましたが、準備の時間や造形後の乾燥時間、メンテナンスの時間など、トータルの時間で考えると実際に差は感じられませんでした。」(清水相談 員)
Dimensionが設置されたのは同センター1階の技術指導室。ここはテニスコートほどの広さがあり、最初は奥のスペースに設置したが、しばらくしてレイアウトの変更の際に15mほど手前まで移動させた。
「どの工作機械でもいえることですが、一度設置してしまうと模様替えをするのが非常に大変です。ところがDimensionは移動が楽でパソコンのプリン タと同じ感覚で設置できる。今回レイアウトを変えたときは、15mほどの距離を移動するのに2人1組で30分もかかりませんでした。仮に別の階に移動する ことになっても、エレベーターを使えば簡単にできるはずです」(清水相談員)
現在、技術相談員たちはDimensionの習熟とテストにとりかかっており、一般公開されるのは2006年秋の予定だ。
「試作開発型への転換ということでDimensionを導入しましたが、まずは改善提案でいいと思っています。『こういう改善をしたらもっと効率よくなる のではないか』『デザインがよくなってもっと売りやすくなりますよ』といったことをどんどん提案していってほしいなと思います。そうすることで受注が増え るのはもちろん、これまでの下請けの関係から対等なパートナーシップが築けるようなります。それだけでも大きな進歩です」(石井館長)
「我々はこの施設を使い続けてもらうことが目的ではありません。相談員の間では『卒業』といっていますが、ここで技術を学んでもらい、やがて自社で導入し て一人立ちしていく。そうしてどんどん企業が生まれ変わっていくことが理想だと考えています」(清水相談員)
ここに同センターの1つの成功体験がある。プレス金型の業界で使う「ワイヤーカット放電加工機」という工作機械を墨田区に根付かせたのである。同センター の指導が功を奏し今でこそ墨田区内のどのプレス金型の企業にもあるまでに普及したが、20年前は、ワイヤーカット放電加工機を知る者は少数派だった。
「CADを使う企業にとって3Dプリンターを使うことが当たり前になれば、試作開発型の企業へとステップアップをめざす多くの企業に貢献するはずです」(清水相談員)
現在約4,000ある墨田区内のまち工場は、30年近く前は9,000以上もあった。同区の人口は現在約23万人だが、ピーク時には32万人を超えていた。
「墨田区のまち工場を活気づかせて、かつての勢いを取り戻すことができれば」
下請型から試作開発型へ。
墨田区の挑戦に終わりはない。


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