3D CADの実習で最初に使うことを考えたのは、紫外線硬化樹脂※によるラピッドプロトタイピングシステムだったんです。ところが、よくよく調べてみると、メンテナンスがたいへんだったり素手で扱えなかったりと、学生の実習で使うにはあまり適していないと思いました。
その次に検討したのが、石膏の粉末を結合させるという方法。ボックスに入れた石膏の粉を、プリンタのヘッドノズルから噴出する液で固めて積層していくので、サポート材が不要という利点があります。しかしこれにも、いくつかの問題がありました。取り出してから乾燥させるのに時間がかかり、補強するために含浸剤というものを塗らなくてはなりません。けっこう手間と時間がかかるんですね。石膏による積層造形は含侵剤が脆性材料なので、たとえば試作品への組み込みなどを考えると、強度的にはかなり問題だったのです。
一方、同じ条件の下で石膏と比べると、ABS樹脂は強度面でかなり有利です。特別な排水設備なども不要なので普通の教室に設置できますし、素材はただのプラスチックですから素手でもなんの問題もありません。学生の実習用途にはDimensionのような3Dプリンタは非常に向いていると言えますね。
3D CADといっても実際のところ、画面に表示されたものはどうしても2次元になってしまいます。ぐるぐると回して立体的に見ることはできても、あくまでも架空のものにすぎないんですね。実際に造形して手に取ってみると、頭の中でイメージしていたものとだいぶ変わってくるということは珍しくありません。機能面や手触りなどは、実際に手にして初めてわかることがけっこう多いんです。その顕著な例として、一枚歯の歯車を製作したこともあります。理論上は可能ということでよく引き合いに出される歯車なのですが、画面の中だけではどうしてもわかりにくいところがある。しかし、これを実際に造形してみると、どのように動くかは一目瞭然なんですね。そうしたことも含めて、3D CADのデータを実物に出力するとどうなるか、ということを学生が実感できることは、実践的なスキルを身につける上で非常に有意義なことだと考えます。