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トップ > 限りないアイデア > 青森職業能力開発短期大学校

コンピュータ上の3次元データを、自動的に立体造形するシステム。ABS樹脂を造形材として使用し、その特性を活かしてさまざまな機能テストにも対応します。
コンパクトな筐体でオフィス環境でも利用できる60dB以下の静寂性を備え、デザイナーや設計者がネットワークプリンタを利用する感覚で、3次元モデルをデスクサイドでも出力できる3Dプリンタです。



1972年3月 神奈川大学工学部機械工学科卒
1972年4月 雇用促進事業団入団
1984年4月 青森職業訓練短期大学校 生産機械科講師
1997年9月 青森職業能力開発短期大学校 生産技術科助教授
2000年9月 東北職業能力開発大学校 機械システム系教授
2004年4月 青森職業能力開発短期大学校 生産技術科教授


青森職業能力開発短期大学校(以下、ポリテクカレッジ青森)生産技術科では、学生の3次元CAD実習において3DプリンタDimensionを活用。また、地元の企業に対してもセミナーなどを通じて樹脂積層造形の普及を行うなど、積極的な活動を展開しています。
 

まず、ポリテクカレッジ青森の概要についてお聞かせください。

成田教授: 本校生産技術科の役割としては、おもに3本の柱があります。学生の教育、企業向けのセミナー、そして離職された方向けの訓練プログラムです。学生の教育では、実習と座学が半々といった感じで、たとえば材料力学など、工科系大学と同じような学問的アプローチもするし、同時に実践の技術力も身につけていく。きちんとした知識を持ち、なおかつ社会に出てすぐに実践で通用する技術者を育成していきます。3Dプリンタについては、3D CAD実習の最後にモデリングして出力するのに使っています。
また、企業向けのセミナーにも力を入れています。企業の人材を育成するというのも重要な役割になっているんですね。青森には金型関連の企業が多く、3Dプリンタ活用のセミナーも結構人気があります。

ラピッドプロトタイピングにはいろいろな方法がありますが、
その中でABS樹脂を用いる手法を選んだのはなぜでしょうか?

成田教授:
CADで設計した歯車をDimensionで造形し、結合させたもの。総数72個の歯車が結合されており、一つの歯車を動かすとすべての歯車が連動して動く。

3D CADの実習で最初に使うことを考えたのは、紫外線硬化樹脂によるラピッドプロトタイピングシステムだったんです。ところが、よくよく調べてみると、メンテナンスがたいへんだったり素手で扱えなかったりと、学生の実習で使うにはあまり適していないと思いました。
その次に検討したのが、石膏の粉末を結合させるという方法。ボックスに入れた石膏の粉を、プリンタのヘッドノズルから噴出する液で固めて積層していくので、サポート材が不要という利点があります。しかしこれにも、いくつかの問題がありました。取り出してから乾燥させるのに時間がかかり、補強するために含浸剤というものを塗らなくてはなりません。けっこう手間と時間がかかるんですね。石膏による積層造形は含侵剤が脆性材料なので、たとえば試作品への組み込みなどを考えると、強度的にはかなり問題だったのです。
一方、同じ条件の下で石膏と比べると、ABS樹脂は強度面でかなり有利です。特別な排水設備なども不要なので普通の教室に設置できますし、素材はただのプラスチックですから素手でもなんの問題もありません。学生の実習用途にはDimensionのような3Dプリンタは非常に向いていると言えますね。
紫外線硬化樹脂
紫外線の照射で固体に転換する樹脂。

実際に実習で活用されているとのことですが、
3Dプリンタを使うことは教育面にどのような効果を与えていますか?

Diomensionで造形した1枚歯の歯車。精緻な形をした歯車同士が滑らかに動く。
成田教授: 3D CADといっても実際のところ、画面に表示されたものはどうしても2次元になってしまいます。ぐるぐると回して立体的に見ることはできても、あくまでも架空のものにすぎないんですね。実際に造形して手に取ってみると、頭の中でイメージしていたものとだいぶ変わってくるということは珍しくありません。機能面や手触りなどは、実際に手にして初めてわかることがけっこう多いんです。その顕著な例として、一枚歯の歯車を製作したこともあります。理論上は可能ということでよく引き合いに出される歯車なのですが、画面の中だけではどうしてもわかりにくいところがある。しかし、これを実際に造形してみると、どのように動くかは一目瞭然なんですね。そうしたことも含めて、3D CADのデータを実物に出力するとどうなるか、ということを学生が実感できることは、実践的なスキルを身につける上で非常に有意義なことだと考えます。

ポリテクカレッジ青森では企業向けのセミナーも開催されていますが、
そちらにおける効果はどうでしょうか?


成田教授: 青森には金型関連の小規模企業が多く、そうした企業に対して積極的にDimensionの紹介をしています。コストの削減と競争力の強化という面からも、非常に効果があるのではないでしょうか。
具体的にはまず、積層造形には手軽さというメリットがあります。複雑な形状のものを金属で作る場合、削りだし加工では加工のための土台も作らねばならず、手間もかかればロスも多くなります。一方、ABS樹脂による積層造形ならば、目的のものだけを短時間で出力することができます。また、一度作ったものを「ここの形状をもう少し変えた方がいいかな」などというような場合でも、簡単にトライ&エラーを繰り返せるのは大きなメリットです。
もうひとつはABS樹脂という材料面のメリット。石膏では脆すぎて使えませんが、ABS樹脂で造形したものならば、実際の試作品への組み込みなどにも十二分に耐えられる強度を備えています。もちろんラピッドプロトタイピングにはABS樹脂よりも強度の高い材料を用いるものもありますが、扱いやすさと実用面の強度を考えると、ABS樹脂は業務用途にたいへん適していると言えます。実際、いくつもの企業の方に興味を持っていただいています。最近の金型は形状が複雑化する傾向にあるので、潜在的な需要はかなり大きいのではないでしょうか。青森の産業強化・雇用促進という観点からも、本校のセミナーを通じてもっと普及させ、導入助言なども行っていきたいですね。

なるほど、つまり成田先生の目から見て、
ABS樹脂による積層造形はこれからもっと普及していくもの

というお考えなのでしょうか?

成田教授: そうですね。私自身も積層造形の強度や精度について研究を進めているのですが、ABS樹脂は非常にバランスがいいと考えています。積層という手法上、どうしてもZ軸の精度が低くなってしまうのは致し方ないのですが、逆にXY軸の精度はかなり高いものがあります。また、強度的には一定の狭い範囲に収まっているので、設計しやすいという特徴もありますね。大切なのは、ABS樹脂に限らず、それぞれの積層造形の特性をしっかりと把握して、それに合わせた造形方法を選ぶということ。たとえば、細長い円柱を積層する場合、素直に垂直方向に積層した場合どうなるでしょうか。ぽっきりと折れやすくなってしまいますよね。しかし、寝かせた形で造形すれば、強度は飛躍的に高まります。
Dimensionそのものが扱いやすいことに加え、こうした「利用のコツ」のような部分も押さえていけば、かなり高いパフォーマンスを発揮できるのではないでしょうか。

それでは最後に、先生の教育者としての姿勢をお聞かせください。


成田教授: 学生をしっかりと育てるということ。きめ細かい思いやりが大切だということですね。実際、かわいがって育てた学生は卒業後も、新たな技術の習得のために戻ってくることもあります。もちろん厳しさは必要ですが、やはりこちらの「想い」が大切だと考えています。
 
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