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株式会社テラルキョクトウ 導入事例

それは、研究・開発に携わる人たちにとってなくてはならないものに違いない。
「チャレンジ」。
可能な限りの方法を試し、その中で理想的な解を導き出す。そこに研究・開発に携わる者たちの仕事の醍醐味があるといえるだろう。
広島県福山市に本社を構える株式会社テラルキョクトウ。日本を代表するポンプや送風機のメーカーだ。優秀な開発チームはチャレンジもままならない状況に置かれていた。
「どこかで諦めているところがありました」
商品開発に与えられる時間的・物理的な制約を認めざるを得ない「諦念」。
だが遂にその状況の打破を試みる。
研究・開発に携わる者たちの「本能」を甦らせる挑戦が、始まった。


STRATASYS社 Dimension

3次元CADなどのデザインデータを、自動的に立体造形するシステム。ABS樹脂を造形材として使用し、その特性を活かしてさまざまな機能テストにも対応します。 コンパクトな筐体でオフィス環境でも利用できる60dB以下の静寂性を備え、デザイナーや設計者がネットワークプリンタを利用する感覚で、3次元モデルをデスクサイドでも出力できる3Dプリンターです。

Dimension
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製造するのは「見えない」製品

開発者は羽根車の試作品を見つめていた。
羽根車はポンプの心臓部であり、その性能はポンプ全体の性能を左右する。性能を上げるには羽根車そのものの形を変えることだ。
しかし開発者は結局その思いを胸に秘めた。それは決して初めてではなく、過去にも同じ思いを抱いていたものを封印していた。いや、封印しなくてはならない状況下にあったのだ。
広島県福山市に本社を構える株式会社テラルキョクトウ。大正7年に創業し、ポンプ製造をスタート。「安全な水をあまねく人に提供する」という創業者の意志 を継ぎ、以来、送風機、給水装置、ろ過装置などの製造を手がけ、国内外に工場をもち、日本各地に数多くの営業所を構えている。現在の企業名であるテラル キョクトウの“テラル”は、「水と空気で世界を創る」という企業ポリシーのもと、テラ:地球、ラリー:ラテン語の「よみがえる、回復する」を語源としてい る。
「たとえばマンションが1棟建ったとすると、上階に水を送るポンプ、空調用の送風機、地下駐車場があればダクトレスファン、地下水が出るので排水ポンプも必要となります。そうしたものをすべて当社で製造しています」
日本国内の超高層ビルの、実に3割以上にテラルキョクトウの商品が使われている。決して人々の目に触れることはないが、今の現代社会になくてはならないものを扱っているのがテラルキョクトウの商品といえる。
ポンプや送風機はいくつかの種類があるが、もっとも一般的で市場に数多く出回っているのが「遠心式」である。
「ポンプも送風機も基本的な原理は同じです。羽根車を回すと遠心力がかかりますが、その遠心力を使って水を吐き出すのがポンプ、空気を吐き出すのが送風機 です。その原理は昔からほとんど変わっていません。我々が商品を開発するときも昔からある設計資料を参考にしています。」
しかし、そうした状況も大きく変わってくる。テラルキョクトウが大きなジレンマに陥ることになったのも、まさにその変化によるものだった。


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▼モックアップ作品例

モックアップ作品

「失敗はしたくない──」

変化の兆しは1990年代だった。
「以前のマンションでは、一度に多くの世帯が水を使うと水の出が悪くなりましたが、最近はそうした現象はないと思います。それは制御装置によって水圧をコ ントロールしているからです。またインバーターでポンプを回すようになり、モーターへの負担も大きくなってきました。こうした技術革新によって、検証しな ければならない箇所が増えてきたのです。」
技術革新が進むにつれて、競合他社との性能合戦も熾烈さを帯びてきた。コンパクト化、省エネ化、高性能化での競争が激しくなり、商品を開発するに当たり、より高いレベルの設計が求められるようになった。
「性能を左右するのは制御装置やそれに付随する機器も関係していますが、やはり核となるのは羽根車です。コンピュータの高性能化、3次元CADの普及、解析技術の向上により、羽根車内部流れの可視化が可能になり、より高いレベルの設計が可能となってきました。」
商品の複雑化、求められるレベルの向上。こうした背景により問題が表面化する──。「開発期間の長期化」である。検証箇所が多くなり、設計にもこれまでに ない工夫を凝らさなくてはいけない。以前の開発期間は3ヶ月から半年だったが、それが1年におよぶようになっていた。
「ポンプや送風機はあまり新商品が出ないイメージがあるかもしれませんが、実は毎年新たな商品が次々と開発され、性能も日々向上しています。その影響を受 け、開発に1年も費やしていては、新商品が出たときはすでに競合他社はそれ以上の商品をつくっており、完全に負けてしまいます。つまり、開発期間の短縮が 最重要課題になってきました」
開発期間の短縮化。言葉でいうのはたやすいが、実は容易なことではなかった。その最大のポイントが試作である。羽根車を設計し、それがめざしている性能を 発揮できているかを確かめるためには、設計したものを“実際の形”にして検証してみなければならない。当時、テラルキョクトウでは試作は鋳物によって対応 していたが、鋳物の試作を1つつくるのにかかる時間は約3ヶ月。そこで望み通りの性能が出れば問題ないが、もし期待した成果が出なければ、また羽根車をつ くり直すことになる。それはつまり、開発期間がさらに3ヶ月以上延びることを意味していた。
高性能の羽根車をつくりたい。しかし研究開発期間が長引いてしまっては、競合他社に負けてしまう。やがて、研究や開発に携わるチームはこう思うようになっていった。
「失敗はしたくない」──。


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▼モックアップ作品例

モックアップ作品

現状打破に挑む研究・開発チーム

「研究や開発に携わる人間が『失敗したくない』と思うということは、新しいことにチャレンジしたくても、安全策しかとらなくなることです。たとえば、エン ジニアリングプラスチックの部品が5kgf/cm2までの圧力に対応できたものを、コスト面から7kgf/cm2まで対応できるようにしたいと考えても、 失敗することを恐れ、過去に実績のある金属の部品を選択してしまう。開発意欲はあるのにそれができない。大きなジレンマでした」
こうした状況を打破するために1992年に構造解析ソフトを、1994年には数値流体解析ソフトを導入した。しかしながら専任者を要する複雑な操作性と膨 大な計算時間のため、その効果を発揮することはほとんどなかった。2001年に操作性の良い3DCADを導入。2003年に設計者向けの構造解析ソフト並 びに数値流体解析ソフトを導入した。
「解析段階で失敗の芽を摘むことで試作の回数を減らし、開発期間の短縮につなげようと考えたわけです。しかし、解析ソフトで思い通りの性能が出た羽根車を いざ試作してみると、解析ソフトの計算結果と合わないことがありました。解析ソフトによって大まかな傾向はつかめるようになったものの、それだけでは限界 がありました」
そこで目をつけたのが鋳物の試作だった。3ヶ月かかる試作期間を短縮できれば開発期間の大幅な短縮につながる。そこでまず試みたのが、ロストペーパー法と 呼ばれる、3Dデータを基に紙を使って積層した造形品を現型にステンレス鋳物の試作品を製作するという方法だ。これにより、試作期間は2週間になり大幅に 短縮された。
「時間は短縮され、それなりに満足していたのですが、そんなときある代理店からDimensionという3次元造形機の存在を知らされました。それは試作 品がわずか1日で造形でき、素材はABS樹脂。さっそくサンプルをつくってもらい検証してみたところ、羽根車を通常の倍の毎分7200回転で回してもまっ たく壊れず、さらにステンレスの羽根車とまったく同じ性能が出た。これはいけると一気に気持ちが傾きました」
だが、結局導入は見送られることになる。理由はサポート材だった。当時、Dimensionは「BST(ブレークアウェイ方式)」というサポート材を手作 業で外すタイプしかなく、複雑な形状の羽根車の開発がメインの同社にとって、サポート材を手ではずす作業的な負荷を考慮すると、BSTでは事実上不可能 だったからだ。
「ところが1年ほどして『SST(ソリュブルサポート方式)』というアルカリ水溶液でサポート材を自動で洗浄除去する方式を採用した機種が出たということを聞き、これは欲しいなと、再びDimensionに傾いていきました」
その使い勝手を知ろうと、Dimensionを導入していた神戸の某スポーツ用具メーカーに丸紅ソリューションとともに出向いた。
「本当は丸紅さんに同行して欲しくなかったんです。というのも、我々が知りたかったのは丸紅さんの前では出ないであろう“ユーザの本音”を聞きたかったからで す。ところが御応対をして下さった課長様が丸紅さんにいろんな厳しい注文をつけている。そうした過程の後『当初導入を予定していた粉体タイプの造形機は粉 末が飛ぶので専用の部屋を設けないと使えないけど、これは専用室が不要で音も静か、故障も少ない、SSTでないことを除けば満足している。導入するなら SSTに限る』と。そこで導入を最終的に判断しました」
2005年春のことである。


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甦る「本能」

現在、Dimensionは研究部のオフィスの中に市販のプリンタのように置かれている。
「音は本当に静かで、パソコンのプリンタの方がうるさいくらいです。そしてABS樹脂なので強度があり、造形したものがそのまま試作品として使えるメリッ トは非常に大きいですね。メンテナンスも楽です。設計・開発工程では、計算と実測を比較検討し、その繰り返しで精度を上げる。データを蓄積していっていき るもので、終わりがありません。Dimensionで日々の積み上げがよくでき、研究レベルで効果があります。Dimensionによってモノとして見る こともでき、イメージがつかみやすくなりました」
Dimensionはテラルキョクトウ本体だけでなく、同社のグループ企業全体からの造形依頼も受けているためフル活用されている。
「何より大きいのは複雑な形状の羽根車でも、20~30時間あれば作成できることです。鋳物で試作品をつくっていたときは失敗すると開発期間が3ヶ月延び てしまう。しかしDimensionは失敗しても次の試作品をつくるのに1日から2日で済む。試験や試作ができずに諦めていた納期を考えると、この短縮は 大きな意味があります。冒険し、よりチャレンジングな試みを次々おこなうことができるようになりました。従来よりも一歩踏み込んだ開発ができるのが嬉しい ですね。逆にチャレンジし過ぎて思惑通りに開発期間が短縮されない側面もでてきますが、仮に半年かかったとしても検証された量と質は以前とはまったく違 う。明らかに濃密な研究ができています」
開発者は羽根車の試作品を見つめていた。
「もう1回つくろう!」


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