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創造力養成に欠かせない「3つの柱」山中准教授の専門は機械システムの設計である。創造工学センターが設立される際、最先端の設備を導入し、創造力を養う教育に役立てたいと考えた。それが3D CADと3Dプリンタである。「思いを形にする3D CADの設計と、設計したデータを形にする3Dプリンタの試作があれば、何かを創造させることができるだろうとシンプルに思っていました。そこで、学生たちに『自由に何か作ってみたら』と任せてみたのです。ところが彼らは、あてもなく粘土をこねて遊んでいるような状態になってしまい、成果がまったく出なかった。道具が揃えば、自然に創造力を発揮してくれるほど単純なことではなかったのです」 山中准教授は、どうすれば学生たちが創造力を発揮してくれるかを真剣に考え、1つの課題を与えた。 「できるだけ丈夫で軽いフックをつくるというテーマです。まず3D CADでフックを設計し、その後、解析ソフトウェアで応力の分布などを解析、その結果を基に軽量化のための設計変更を繰り返す。コンピュータ上で満足できる結果が得られた段階で、試作モデルを3Dプリンタで造形、ABS樹脂で造形されたフックの先端に錘を付けてその強度を確かめました。これをコンテスト形式で行いました。学生たちは課題に対して真剣に取り組み、独自に改良を重ねることで強くて軽いフックが次々と生み出されたのです」 その結果、山中准教授は創造力を養うためのポイントは何かに気づく。 「1つは『教えたい学問は何か』を明確にすること。フックの場合の目的は材料力学の基礎を教えたいということです。課題の背景にはそうした理論があることを知らせておけば、学生たちは自然にそれを意識して学んでいきます。2つ目は『解析』です。設計したものを解析することで問題点に気づき、改善への意欲がわいてきます。そして3つ目が『物理現象の確認』。コンピュータ上だけで完結するのではなく、実際に試作してみて、成果物が狙い通りのスペックなのかどうかを確認させる。それによって、さらなる改善の意欲や、うまくいけば達成感につながります。この3つがうまく相乗的に作用すれば、効果的に創造させることができると実感したのです」 そして『子ども科学キャンパス』のプログラムにも、この体験が活かされることになる。 |
回るコマ、回らないコマ山中准教授が担当のコマづくりのコースは、最初に2種類の小さなひねりゴマが渡される。 |
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「完成する体験」が、次の創造力を生む「こうした取り組みをしていると、『3D CADを導入したいのですが』といった相談を受けることがよくあります。その時には必ず『3D CADの導入数を削ってでも、3Dプリンタを買った方がいいですよ』と伝えています。例えば、小学生向けのコマにしても、モニタ上だけで『はい、できました』というだけでは何の面白みも感動もありません。それが実際に形になって回せることで喜びが生まれる。これは創造力の養成教育において、非常に重要な経験なんです」山中准教授は数年前から大学4年生と大学院生向けに「時計製作」の課題を与えている。長針と短針のスタイルが従来とは異なる時計をつくるというもので、制作期間が4ヶ月ほどの短い期間しかない。目的と仕様は最初に説明するが、あとは学生たちに自由につくらせている。 「機械部品の3D CADデータは部品会社のホームページからダウンロードしてもよいことにしましたが、それでも部品の製作時間を考慮するとまったく時間が足りないんです。それが、3Dプリンタを使用すれば、3D CADデータからダイレクトに造形できますので、製作時間を大幅に省略することができます。期間中に『形にする』という貴重な経験にたどり着ける。その達成感が経験となり、次の創造力の源にもなると思います」 家に完成したコマが届くと、小学生たちはきっとそれを回すだろう。すーっときれいにコマが回ったとしよう。それを見て家族にこう言うに違いない。 「コマはね、軸が重心を通っているから回るんだよ」 「学問に裏打ちされた創造力」。「杜の都」から、いまはまだ小さいが、確かな“力”をもった人材が、生まれようとしている。 |
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