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部品の活用により開発スピードが加速同社の情報企画部には大きく4つのミッションがある。1点目が、コンプライアンス、内部統制や地球環境への配慮など、ITによる社会的責任への対応。2点目が、情報漏えい、コンピュータウイルス対策や事業継続性など、ITによる脅威やリスクへの対応。3点目が、ITガバナンスとIT利用の向上。4点目が、適正なコストで高度なシステムを構築すること。新ワークフローシステムの選定では、前述の課題に加え、この4つのミッションも重要なポイントになった。総合的な観点からワークフローシステム構築ソリューション「ExiveFlow」が採用された。 開発段階に入り、最も苦労した点は部門間の調整だった。「たとえば、精算を伴う申請書に出張や会議費・交際費の精算がありますが、それぞれ申請書のフォーマットや手続きの流れが異なっていました。所管部間で話し合いを重ねて整合性をとり、標準化していく作業に対して力を注ぎました。その一方、同じ業務の申請でも、第三者のチェックが必要な場合や課長の承認をスキップするなど、部門の都合に応じて柔軟に対応できるような工夫もしています。」と、情報企画部IT推進課の京本尚美氏は語る。 また、開発面において新しい試みにも挑戦している。「こうしたいというニーズに対して、まずプロトタイプをつくって、画面の動きや操作などを実際に触れながら確認できたことは、問題点の発見や対応の迅速化の面でとても効果がありました。約7ヶ月間という短期間で開発できたのは、プロトタイプを活用したこともあげられると思います」(京本氏)。 開発のスピードアップには、画面と業務フローを整理する際、共通項目を部品化していった効果も大きい。「開発は途中から遅延していくケースが多いのですが、今回は、部品化したものを活用していくことで、開発のスピードが加速していきました。こうした経験は初めてのことです。その結果、本稼働の1カ月前から社内プロモーションをしっかりと行うことができました」(菅藤氏)。 部品化により新たな申請ルールも効率的に作成可能となり、コスト削減とともに統一性も図れる。Javaでつくった部品は同社にとって小さなSOA*の誕生ともいえるだろう。 *SOA(Service Oriented Architecture) サービス指向アーキテクチャー。大きなシステムを開発する時に、「サービス」と呼ばれる個別のプログラムを組み合わせて構築する方法。 |
ブラックボックスとなっていた業務の可視化を実現2008年10月、新ワークフローシステムはスケジュール通りにスタート。1ヶ月後の11月には旧システムから新システムに完全に切り替わった。 新ワークフローシステムでは、誰の承認を受けて今誰の承認待ちとなっているのか、自分の申請の状態を画面上で確認できる。また、作成したすべての申請情報が申請済みボックスに保存されており、過去の申請書をコピーして再利用することも可能だ。さらに、申請書は一覧照会機能により部内の誰もが閲覧できる。たとえば、顧客の来社に関する申請をした担当者が急に休むことになっても、代わりの関係者が確認して対応することができる。 「内部統制の根本は第三者が閲覧できることにあると思います。一覧照会機能では、他の人が申請した交際費も閲覧可能です。これまで当事者や関係者以外にはブラックボックス化されていた業務を可視化することができます。個人情報がからむ人事情報などはきちんとアクセス制限をかけていますが、すべての情報はオープンが原則です」(菅藤氏)。 また、24時間365日の運用体制となり、利便性も向上した。「当社は商社なので、承認権限をもった部長が海外出張に出ていて、戻ってきたら申請書が山のようにたまっていたということも珍しくありません。また、コンプライアンスや経費圧縮の面から、交際費など事前承認のさらなる徹底も求められています。現在は、距離や時差に関係なく海外から、また外出の多い営業担当は自宅から、いつでも申請や承認業務を行うことができます」(京本氏)。 新ワークフローシステムは、事前プロモーションや体験版の効果もあって社員の間に溶け込むのが早かったという。ワークフローシステムの導入で大切なポイントとは何だろう。 「ワークフローシステムの導入をきっかけに、業務プロセスの見直しや、リスクの所在の認識は大きく進みます。大事なのはシステム化ではなく、たとえば『内部統制の強化』といった目的の遂行です。そのために、いままでの統制の文化をすべて捨ててしまうのではなく、必要なものは残して活かす道を模索することも大切です。そこに企業独自の知恵が活かされている場合もあります。また、これは日常業務で使うものなので、空気のようにユーザがシステムを意識することなく利用できることも重要です」(白石氏) |
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