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オギハラ 導入事例

今、製造業界で、ある言葉が1つのキーワードになっている。
「世界同時立ち上げ」──。
同じ商品を世界で同時に生産・販売し、全世界のお客様のご要望にお応えしようという方法である。
自動車用の金型製作をメイン事業とする株式会社オギハラも、3年ほど前、「世界同時立ち上げ」に向けて一歩を踏み出した。だが、それにはいくつもの壁が立ちはだかっていた。
その壁をいかにして乗り越えようとしているのか。“世界のオギハラ”の面々が答える。


ATOS(エイトス)について

光学式3次元デジタイザ「ATOS(エイトス)」は本体に取り付けられた2つのCCDカメラを用いて、人間の目と同じ両眼視差の方法で有形物の形状を取り込み、座標化して点群データを作成するシステムです。ヘテロダイン・フリンジプロジェクションとよばれる縞模様のパターンを照射し、光の輝度(コントラスト)や屈折度などを三角測量の原理で測定。付属の専用パソコン上で高密度な点群データを作成します。1回の測定で最大419万点のデータを取得することが可能で、最短測定時間は0.8秒です。非接触型デジタイザのため、測定対象物の大きさや状態にかかわらず測定が行えます。また、小型の筐体により測定場所を選びません。

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ATOS

取引先は世界中の自動車メーカー

壮観な光景である。
自動車のボディが何十台も並び、よく見るとVOLVO、PEUGEOT、Jaguar、BENZ、GM、Ford、TOYOTAなど世界中の自動車メーカーの名前が記されている。年代も1970年代から現在まで幅広く、まさに古今東西の自動車が勢揃いしているのだ。
ここは群馬県太田市に本社を構える株式会社オギハラの太田第二工場『ホワイトボディ展示室』。ここにあるのは同社が手がけた自動車ボディのほんの一端だ。
オギハラは1951年に創業され、1965年には国内だけでなく海外の自動車メーカーとも取り引きをするようになり、現在では世界中のほぼすべての自動車メーカーと取り引きがある。80年代からは積極的に海外に進出し、イギリス、アメリカ、タイ、中国、メキシコに工場や事業所を構えている。まさに“世界のオギハラ”であり、自動車業界では知る人ぞ知る金型メーカーである。
「自動車ボディ部品は、金型をプレス機械にセットして鋼板をプレスすることでできます。その際、流麗なアウター面のパネル部品を得るのは非常に難しいことなのです。当社はその品質を世界中の自動車メーカーから高く評価されています」
また、近年は見た目の美しさや部品強度から、ドアパネルは本体とサッシ部分を、サイドパネルはリヤクオーターとドアフレーム部分など、一体化することが進んでいる。オギハラではそういった一体化された部品も実現化できる高い技術力と設備を有している。さらに、プレス成形したパネルを溶接によって組み立てるサブ・アッセンブリーまで対応している。自動車メーカーからすれば「ほぼすべての要望に対応してくれる企業」であり、それがオギハラの強みでもある。
こうして成長を遂げてきたオギハラだが、3年ほど前、自動車メーカーから高いハードルの要望が出された。「世界同時立ち上げ」である。


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膨大な技術とノウハウを活かしたい

同じ金型がいくつも必要という問題

商品サイクルが年々速くなっている今、競争優位性の高い商品を市場に出しても、 1年や2年もすれば競合他社から似たような商品が生まれ、先行メーカーの優位性はたちまち落ちてしまう。 こうした状況に陥らないためには、類似商品が登場する前に一気に商品を売ってしまわなければならない。そこで求められるのが「世界同時立ち上げ」、つまり世界各地で現地生産し、世界で同時に発売するという方法である。 例えば、競合他社が新商品開発に3年を費やすとなれば、世界同時立ち上げによって優位性をもった企業は、少なくとも3年間は売りまくることができる。しかし、ユーザの嗜好が多様化する昨今、これまでのように、まずアメリカで発売し、半年後にヨーロッパ、さらに半年後に日本で発売といった悠長なことをしていたのでは、お客様の気持ちはその間に発売された他社のものにと揺れ動き、投資した金額の回収もままならないのである。同時に、他社へ向いたユーザを次の機会に自社へ向けることも非常に難しくなってしまう。
「世界同時立ち上げに対応するということは、世界の工場で同時に生産できるように同じパネルの金型を工場の数だけつくらないといけないということです。しかし、同じ金型をつくるのだから早く作れるはずなのですが諸事情により最初の型製作と同じ作業を繰り返さなければならないというのが実態です。従ってこれまでの方法だと膨大な時間がかかってしまうのです」
金型は製品図があればすぐにできるというものではない。自動車のボディとなる鋼板は、プレスをすると元の一枚鉄板に戻ろうとする「スプリングバック」と呼ばれる力が発生する。この力は鋼板の性質やパネルの形状、プレス条件によって異なるため、単純な数学的計算で求められるものではなく長年の経験や勘が必要となる。
また、無理にプレス成形すると「しわ」や「割れ」も出てしまう。そこで、しわや割れができないように「余肉」と呼ばれる形状をつけたり、ダイフェースといわれる鋼板を抑える部分にビードといわれる鋼板が中央に引き込まれないようにするための形状を設けるなど、鋼板の動きを調整する必要がある。
「金型をつくると、確認のため必ず試しにプレス加工します。その際にしわなどの問題が発生すると、「余肉」部分等調整可能な製品以外の部分の形状変更を金型に加え、再度プレス加工して問題が解消しているか確認するというサイクルが加わります。大型の金型ではそれを何度か繰り返すだけで簡単に数か月は過ぎてしまう。これではとても世界同時立ち上げには対応できません」
製品図をもとに最初から同じ金型をつくるという選択肢はありえないことになる。となると別な方法を選ぶしかない。オギハラがたどり着いた答え、それは実にシンプルなものだった。


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3D測定システムへの期待

金型をコピーすればいい

「しわや割れが発生しない良品パネルを取れる最終調整された金型は一度つくっています。となれば、その金型を単純にコピーすれば良いことに気づいたわけです」
方法はこうだ。金型を測定器で測ってデータ化し、面張りなど曲面処理をおこない、NCデータ作成、NC加工によって同じ金型をつくるという流れである。
「そのためにはまず測定器が必要です。しかし、それには絶対的な条件がありました。『測定時間』と『精度』です。測定に時間がかかってしまってはそもそも測定器を導入する意味がありません。そして何より高い精度でないと、同じ金型をつくることができないからです」
精密機械などで高い精度が求められるのは容易に想像がつくが、実は自動車の金型でも高い精度が要求される。そのレベルはなんと30~50ミクロンである。
「金型は上下一組あり、上下重ねたときにできる隙間を『クリアランス』と呼ぶのですが、板厚が0.8ミリ(800ミクロン)しかない鋼板をプレスするときに、クリアランスの違いが100ミクロンもあると、パーセンテージとして非常に大きい誤差となります。そのためプレスしたいのにプレスできない。つまり、隙間ができてしまっているため圧力をかけて鋼板を押さえていないことになってしまいます」
オギハラはすでに非接触式の測定器を所有していたが、コピー型のために求めていた精度および計測時間を満足できなかった。そこで新たな測定器の購入を決め比較検討。その中で精度がもっとも高く、測定時間が速く、データの連携が取れるATOSの導入を決める。
「いくつか候補があったのですが、測定時間は速いものの精度が低かったり、データを扱うソフトが充実していないなど、求めていた条件を満たしていませんでした。ATOSは全体的にバランスがよく、なおかつもっとも精度が高かった。これなら使えると導入しました」
こうして金型の測定がスタートするが、オギハラは測定する中で根本的な疑問にぶち当たることになる。


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「問題の見える化」、そして世界同時立ち上げへ

「金型をコピーする際に重要なのは、あくまでも『同一』のものをつくらないといけないことです。しかし、金型がデータ通りにできていなかったら、スキャンしてコピーした金型もデータと同じに作ることができない。つまり元のデータどおりに加工、仕上げ出来ないのであれば、非接触で測定してもそのデータどおりに金型が加工できないことになる。ということは、正確なコピー型を作ることは出来ないことになってしまいます。そこでまず、金型が本当に目的 としたデータ通りに作ることができているのかを検証していくことにしたのです。」
金型は「形状加工」「焼入れ」「ベアリング」など大きく4~5つの工程を経て製作される。その都度さまざまな負荷・加工が加わるため、予想できなかった、変形や手仕上げによる誤差などが生じている可能性がある。それを工程の上流からさかのぼってひとつひとつ検証していこうとしたのである。
「問題はその検証方法でした。データ通りにできているのかを調べるにはどうしたら良いのか。そのとき『うちにはATOSがあるじゃないか』という一言を言う人がいました。ATOSで測定し、それを加工データと比べれば問題があるとすればどの工程かがわかるだろうと測定をスタートさせました」
機械加工が終われば測定し、焼き入れが終われば測定する。毎日ATOSが使われ、工程ごとに加工データとの比較、前工程の測定データとの比較をおこなっていった。
「金型や工程によって違いますが、数十ミクロンから1/10ミリ単位でズレが発生していることがわかりました。ATOSによって『問題の見える化』が可能になったわけです。今はそのズレが許容範囲なのか、あるいは問題とすべきなのかを検証しているところです。また、元データとのズレをなくすためにはどうした工夫が必要なのかをデータを蓄積しながら検討しています」
加工データと寸分もたがわぬ金型を作ることができれば、あとはATOSを使ってコピーしていけば同じ金型ができることになる。だが、世界同時立ち上げでもう1つ大きな問題があるという。
「測定するタイミングの難しさです。上下の金型の測定に1日~2日はかかりますが、金型を測定しようとするときはお客様に出荷したい時期でもあるわけです。もっと言ってしまうと、お客様に納品して、そこのプレスに適合するよう調整されたものが『最終形の金型』と言えますが、ATOSをもち込んで測定しようとしても、そのときにはお客様は量産をしたい時期です。測定する時間を入れ込む余裕がないのが現状なのです。」
現在、オギハラではソリッド設計の推進、データ作成方法の検討などをして、前工程の短縮にも取り組み、測定時間の確保にも力を入れている「世界同時立ち上げの実現に貢献させていただくにはまだまだ高いハードルがいくつもあります。でも必ずやり遂げたいですね」
最近、オギハラはこれまでに経験したこのとのない非常に精度の高い金型の製作を依頼された。当然難易度が高く試行錯誤の連続だったが、クライアントに完成した金型をもっていくと、担当者は思わずこう声を上げたそうだ。「これだったんだよ。この精度がほしかったんだ!」
世界同時立ち上げ。オギハラなら、きっと成し遂げてくれるに違いない。

「問題の見える化」、そして世界同時立ち上げへ
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