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熱やUVを使わずに両面を同時にプリントする他にはない画期的な方式「DTM-HDD 専用ナノインプリント装置」は、DTMをプラッタに使用してハードディスクを作る。この方式による製品の実用化はまだされておらず、数年後の量産化に向けて各メーカーが開発に力を注いでいる段階だ。現在のハードディスクドライブは、垂直磁気記録方式と呼ばれる仕組みで形成されている。そもそもハードディスクドライブは、ディスクの表面に磁石を並べ、磁気ヘッドで磁界を加えて磁石の向きを変えることで「0」と「1」のデジタルデータを記録していく。現在、主流となっている垂直磁気記録方式では、それぞれの磁石のN極とS極はディスク面に対して縦方向に並べられている。この方法では、磁石同士が接しているため、相互干渉してしまいノイズが発生する恐れがある。ノイズが起こると記録機能に障害が出てしまう。また、記憶容量を増やすために磁石のサイズを小さくしていくと、外部の熱エネルギーの影響を受けて磁性軸を一方向に保つことができなくなる熱揺らぎという現象を起こしてしまう問題がある。そのため、この方法では記憶容量に限界があるのではないかとされているのだ。 さて一方、DTM方式では、磁石と磁石の間に溝を設ける。こうすることで、磁石同士の相互干渉を低減し、記録精度を上げることができる。また、熱揺らぎは溝という熱の逃げ道があるため発生を抑えることができるのだ。また、1つの磁石のサイズを従来に比べ小さくすることができるため、数多くの磁石をディスク面に置くことが可能で記録容量も増大する。 「DTM-HDD 専用ナノインプリント装置」では、現在のところ、ディスクリートピッチが100ナノ以下(溝幅はその半分)でインプリントすることが可能で、600Gbit/平方インチ容量のハードディスクを製作できるという。 「DTM-HDD 専用ナノインプリント装置」が他社の方式と大きく異なる点は2つあると、同装置の開発を担当した小久保光典氏は説明する。 「この装置は、ディスク両面に対して同時にインプリントすることができ、生産時間の短縮が図れることが特長です。インプリント方法は従来からあるUV転写や熱転写ではなく、コールドインプリント(室温インプリント)方法を採用しています。UV方式だと光を当てる必要があるため、構造部品を光透過性のあるものにしなければならず、両面同時インプリントができる構造とするのは非常に困難です。また、熱を使用すると物体が膨張します。部品の種類が多いので、熱によって変位する量と方向を予測することが難しく、結果としてインプリント精度が落ちる危険性があります。これらに対してコールドインプリントは常温でインプリントできるので、熱の影響によって精度が落ちるという問題を避けることができます」 この装置は現在、1時間で2.5インチのハードディスク基板の両面を120枚インプリントできる。小久保氏は今後、3倍にあたる360枚生産できるようにし、容量に関しても1Tbit/平方インチに到達するように開発を進めたいと語る。 冨田氏は同装置のレベルアップについて次のような意見を持っている。 「装置のレベルを目標値まで進めれば、多くの関係者がナノインプリント商品に対して興味を示すでしょう。1時間当たりの生産枚数がアップすれば『1ドルのコスト』の壁も突破できると想定しています」 |
業界内で技術シェアをして日本発のナノインプリント製品を東芝機械では、「DTM-HDD 専用ナノインプリント装置」を売り出すのが最終目的ではない。それはあくまで通過点に過ぎないと冨田氏は説明する。 |
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