カーボンナノチューブの安全性
日本トキシコロジー学会が発行する『ジャーナル・オブ・トキシコロジカル・サイエンス』(2008年2月号)において、がん抑制遺伝子欠損マウスによる実験で発癌性がある可能性が報告されており、健康影響に関する研究、予防的ばく露防止対策等に関する検討を推進する事、更に安全対策が早急に図られるよう国に対して提案要求がされました。
カーボン・ナノチューブ技術を用いた製品は、アスベストに似た健康被害を及ぼす可能性があることが2008年5月21日、英科学専門誌「Nature Nanotechnology」に掲載された論文により明らかとなりました。
日本でもカーボンナノチューブなどのナノマテリアルの有効性への期待が高まる一方、ナノマテリアルが人の健康や環境に影響を及ぼす可能性が指摘されています。
経済産業省は2009年3月31日に「ナノマテリアル製造業者等における安全対策のあり方研究会」という報告書を公表しました。この中で同省は、主なナノマテリアルとしてカーボンナノチューブ、カーボンブラック、二酸化チタン、フラーレン、酸化亜鉛、シリカを取り上げ、特性、生産量、用途等を俯瞰しています。
年間国内生産量はカーボンブラックの100万tから、二酸化チタンの1,000t、カーボンナノチューブの100t、フラーレンの1tと幅が広く、安全性の面ではいずれのナノマテリアルも製造者が出荷先に対しMSDS(化学物質等安全データシート)の配布と取り扱いの注意喚起を行っています。
また、カーボンナノチューブの安全性につきまして、i2ta(Innovation and Institutionalization of Technology Assessment in Japan)という機関から2009年3月31日付「多層カーボンナノチューブに関するリスク評価・管理の最近の動向 厚生労働省による予防的対応を受けて」という刊行物が発行されております(以下、抜粋です)。
「この調査研究は科学技術振興機構(JST)の社会技術研究開発センター(RISTEX)から受託した「先進技術の社会影響評価(テクノロジーアセスメント)手法の開発と社会への定着」プロジェクト(2007~2011)の一環としておこなわれているものである。テクノロジーアセスメントとは、従来の研究開発・イノベーションシステムや法制度に準拠することが困難な先進技術に対し、その技術発展の早い段階で将来のさまざまな社会的影響を予期することで、技術や社会のあり方についての問題提起や意思決定を支援する制度や活動を指す。
要旨
1. 多層カーボンナノチューブの有害性とリスクについての知見
ナノマテリアルの一種である多層カーボンナノチューブの有害性について検討した最新の研究成果からは、これをマウスの腹腔内に直接投与した場合に、アスベスト(石綿)のような中皮腫が生じる影響が観察された。多層カーボンナノチューブが人体や環境に与えるリスクを評価するためには、有害性と曝露に対する評価が求められるが、評価の力点の置き方について立場の違いが見られる。
また、アスベストとの構造上の類似性が有害性を決定するかどうか、有害性を示す用量に閾値があるかどうか、についても研究者の間で見解が分かれている。しかし現時点では、曝露評価について具体的な成果が出ていないものの、多層カーボンナノチューブは使用量も少なく、大量に直接曝露する機会も限られているため、第二のアスベストというほどの危険性をただちに生ずることはないとみられる。
2. 予防的措置
日本においては、多層カーボンナノチューブのマウスに対する有害性が公表された後、世界的にも早い時点で、ナノマテリアル全体について予防的措置をとるよう厚生労働省より使用機関等に対し通知が出された。ただし、その内容は曖昧で、措置の根拠も明確でなかった。ところが、メディアで報じられたこの通知の社会的影響は大きく、銀行や川下企業がそれに反応したため、ナノ関連ビジネスが滞った企業もある。
3. 関係府省の連携
ナノマテリアルの環境・健康・安全影響については、厚生労働省、経済産業省、環境省がそれぞれ独自に検討をおこなっている。一方、内閣府においては、各省のナノテクノロジー研究についての連携が図られている。しかし、ナノマテリアルの環境・健康・安全影響について、最新の科学的知見を総合的に比較・評価し、どのような措置をとるべきかについて内閣府の戦略的な方針は示されておらず、その点で各府省の連携は有効に機能していない。」
CNano社のカーボンナノチューブ安全性への取り組み
CNano社は、米国政府の行政機関「アメリカ合衆国環境保護庁(EPA/ Environmental Protection Agancy)」と協力し、カーボンナノチューブなどのナノ材料(Nanoscale Materials)の安全性に関しての研究を行っています。
研究の主な項目は以下の通りです。
- 安全性のテストをどのようにすべきか(How to test the safety)
- どのようなテストをすべきか(What test)
- テストの実際の工程はどうあるべきか(Procedure for the test)
以下、EPAのWEBサイトをご覧ください。http://www.epa.gov/oppt/nano/stewardship.htm
WEBサイトに掲載されている項目「Commitments to Participate in the In-depth Program (5)」の中で、EPAともっとも密接な協力関係にある5社のうちの1社「CNano Corporation」がCNano社の米国販売子会社です。
CNano社は、カーボンナノチューブの安全性への取り組みを、今後も続けていきます。







