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アメリカの3Dプリンティングは実際どうなのか?掲載日:2018/04/16

3Dプリンティングの「?」や「!」ついてお伝えするコラムです。

4月8日(日)からアメリカで開催された、「AMUGカンファレンス」に今年も出張参加してきました。そこでは数多くのブース展示、講演を見たり聞いたり、また参加者と個別にいろいろな話を出来、北米中心に海外の3Dプリンティングの最新事情を垣間見ることが出来ました。それがどうだったかというと…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリングソリューション技術部アプリケーション推進課エキスパート。Stratasys プロフェッショナル向け3Dプリンターの新しい使い方を開発提案する業務を主に担当。3Dプリンティングで日本のものづくりに役立つ何かを探し続ける日々。

AMUGカンファレンスとは?

AMUGカンファレンスのホームページ

http://www.amug.com/

AMUGとはアメリカの非営利団体Additive Manufacturing Users Group, Inc.が年1回開催している、講演会と展示会両方を含むイベントで、目的は「全てのAdditive Manufacturing(3Dプリンティングと同意)装置所有者と利用者に対し、業界をけん引する方々による最新のアイデアと投資対効果の高いソリューションを提供すること。」とあり、「ユーザーによるユーザーのためのイベント」というところが、他のイベントと違うところです。

実は今回は30周年記念で、始まりは3DSystem社のユーザー同士が情報交換の場として、本業の傍らボランティアを基本に始めたものが、2011年に非営利法人化して、全てのAM装置ユーザーが参加できるようになりました。

年々参加者が増え、特にここ数年は急増し、今回は昨年より15%増の約1700人が参加しました。当然これだけの規模ですと開催場所を借りたり、期間中の飲食含め費用も高額になりますが、出来るだけ参加費を安くし、参加者を増やして産業を発展させたいという考えから、近年は企業スポンサーを増やしていますが、それでも「中立性」や「ユーザーによるユーザーのための」というポリシーにはこだわっていて、それにより他の展示会や学会と違い、ユーザーの生の声を交換しメーカーにも要望を出して、お互いに3Dプリンティングをよく使おうという意気込みや熱意が伝わってくるイベントです。

毎年開催場所は違うのですが、今年は一昨年と同じで2回目の、ミズーリ州セントルイスにある、Union Stationというホテルを貸し切りで行われました。

このホテルは、昔実際に大きな駅だった建物をホテルに改造しているので、古いですが写真のように味わいのある雰囲気です。

弊社丸紅情報システムズ株式会社が代理店となっているStrarasys社は長年引き続き、またDesktopMetal社は今年初めてダイヤモンドスポンサーとして協賛し、新製品、新材料、ユーザーからの活用事例紹介などを展示講演しており、多くの来場者でにぎわっていました。ここでは詳しく説明できませんが、3D プリンティングの利点を生かした製造治工具や実用部品の展示が目立ちました。

 

アメリカの3Dプリンティングはどうだった?

筆者は2012年から毎年参加していることもあり、毎年の傾向の変化がAMUGから感じ取れるのですが、今年の傾向や全体の雰囲気としては、2014年ころの「バブル」から落ち着きを取り戻し、安定した成長拡大が続いている一方、装置、材料も人も急激に横に広がり、情報が増えすぎた中で、どちらに進むべきかの焦点がぼやけてきていると感じました。

特に欧米では既にずいぶん前から、「3Dプリンティングは使えるのか」ではなく、「どうやったらうまく使えるか」という考えが広まっており、そのため工業規格の制定を積極的に進めたり、産学官共同で活用研究センターを作ったりして、これまでのものづくりを置き換えるのではなく、設計やサプライチェーン、部品性能を大きく変えるための方法とする考えが定着していて、日本と大きく違うのは、それを国や大企業が積極的にけん引していることだと思います。

例えば今回ドイツのBMW社の方が講演され、3Dプリンターを試作から製造治工具、古い車の復刻部品から未来の車部品まで、どう活用しているかを詳しく説明してくれました。一例として、既にリリースされている、MINIのダッシュボードやサイドウインカーを、ユーザー自身が専用ウエブサイト上で簡単に、自分が好きなようにデザインし、それを3DプリンティングでBMWが生産してユーザーに送り、ユーザー自身が付け替えて自分だけのMINIが出来るようにしています。

詳しくは下のウエブサイトをご覧ください。

MINI YOURS CUSTOMISED.

会場でも現物を見ることが出来ました。

これは樹脂の複数種の3Dプリンター作ったものを染色や塗装で仕上げてあるそうで、当然事故の際の安全性や耐久性など様々なテストを行った結果だそうです。

また、量産車のi8ロードスターの屋根開閉の動きを支えるブラケットは、トポロジー形状最適化で生物のような滑らかな形状で設計され、金属粉末焼結3Dプリンターで量産されているそうです。

それを含むBMW社の3Dプリンティングへの過去から未来への取り組みを紹介したウエブサイトは下記のとおりです。

https://www.bmw.com/en/innovation/3d-print.html

更に講演の最後に、2019年にドイツ ミュンヘンに、3Dプリンティングの活用研究と実践施設「Additive Manufacturing Campus」を建設するとのことで、予想完成図はかなり大きな工場のようにみえる規模のものでした。

もちろんこれはほんの一例でもありますし、逆に大量生産自動車の部品を作るレベルには至っていないことも事実です。ただ、日本の現状は、比較的小さい企業や限定的な用途で活用研究が行われ、技術的には世界トップレベルにあっても、大企業の取り組みはあまり見られず、ボリュームとして小さいままであるのが現状かと思います。

日本はどうしていくのが良いでしょうか?

実は今回日本から複数回、または初めて参加された方もいらっしゃったのですが、数年前から少し参加数が減り、寂しい半面、それぞれの皆さんとより深い話ができたことはとても有意義でした。

その中で、多くの方が日本の3Dプリンティングについて欧米だけでなく、積極的な中国、韓国、シンガポールなどに対してもかなり遅れを取っている「危機感」や「くやしさ」を口にされていました。でもなかなか原因と対策が具体的に見えていない現実も皆さん共通の見方でした。

ただ、今回のAMUGを通じて、筆者が「日本はどうすればよいか」について考えをいくつか書いてみます。

 

3D プリンティングについて、大きいのは英語の問題、また特に製造産業をけん引する大企業や公的研究機関の情報収集発信活動が弱いこともあり、「まず知る」ところが足りないことが大きなハードルになっていると思います。「知ったうえで使うか使わないか、どう使うか」を決めるのと、「知らないから、わからないから使わない」には大きな差があります。まずその改善が必要と考えます。

3Dプリンティングはそれだけで何かを生むものではなく、データを作るソフトウエアから、3Dプリント品を改良する2次加工、物流や在庫含めて様々組み合わさることで大きな成果を生む可能性があります。それにはいろいろな枠組みを超えた「共同」が大事で、そのようなつながりが出来る場を増やす必要があります。

かなり大雑把で恐縮ですが、簡単に言えば「知る」「つながる」が課題だと思います。簡単な解決方法はないと思いますが、筆者も微力ながらそれを解決すべく、やることが満載だなと思いながら帰国しました。

今後様々な国内イベントや展示会にも行きますので、より多くの方と情報や意見を交換させていただければと思いますので、引き続き宜しくお願い致します。

ゴールデンウイーク連休中に別件でアメリカ出張の予定があるので、次回連休明けに引き続き海外の情報をお届けできればと思います。

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