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3Dプリント型で新しい臓器モデルがなぜできたのか?掲載日:2019/05/14

4月末に丸紅情報システムズからもプレスリリースが出され、多数のメディアでも報道されましたが、医療現場や教育研究で外科手術の練習に使う人工臓器モデルを3Dプリント型で製造、販売する事業が始まりました。その実現にはどのような技術があり、またどのような点が今後の参考になるかというと…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリングソリューション技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

新しい時代の新しいビジネス

皆さんはどのように「令和」を迎えられたでしょうか?筆者は暦通りの連休でした。普段なかなか出来なかったことが出来たのは良かったのですが、連休直前に奥歯の詰め物が取れて困っていたところ、近所の歯医者さんが2日間診療してくれたので、休みの間に治すことが出来て助かりました。そんなこともあり、健康に過ごすことのありがたさをあらためて感じた10日間でした。

このコラムを読まれている皆さんはよくご存知の通り、3Dプリンティングは医療や福祉などの分野で幅広く使われ、人々の健康な生活のためにいろいろと役に立っているのですが、一般には知られていないことも多いですし、表には出ない「黒子」的な使われ方が多いです。

日本が連休の間でも海外では毎日のように医療福祉分野での3Dプリンティング活用のニュースが流れていました。例えばStratasys社のブログでも、手や足に固定具や補助具が必要な子供のために、従来石膏などでは時間がかかったり、なかなかぴったり合うものが出来なかったり、価格が高かった問題を改善するために、3Dスキャニング、3Dプリンティングを使い、短期間で装具を提供するイギリスの団体の記事が出ていました。

http://blog.stratasys.com/2018/09/26/revolutionizing-the-world-of-orthotics-one-child-at-a-time/

海外では医療福祉分野でも3Dプリンティングの活用は日本より広く進んでいますが、日本でも今後同じように広がっていきますし、ビジネスとしても新しいものが多く出てくるでしょう。

その一つの例ですが、連休前に弊社丸紅情報システムズ株式会社からも新しいサービス事業の開始を発表しました。これは伊那食品工業株式会社様、株式会社ストラタシス・ジャパン様、有限会社スワニー様、丸紅情報システムズ株式会社による共同開発ビジネスです。

「デジタルモールド メディカル使用模型 第一弾 肝臓モデルを販売開始」

https://www.marubeni-sys.com/news/2019/20190422/

 

↑ 肝臓モデル 手前は赤色で材料着色 奥は無色

 

↑ 型はStratasys PolyJetプリンター デジタルABSで造形

↑ 内部に入れる血管モデル

 

臓器モデルを3Dプリント型で作れた技術と今後の参考になる点は?

3Dプリンティングで直接、または3Dプリントで成形型を作り、材料を流し込んで固めて体の一部や臓器の模型を作ったりすることは何年も前から日本含めた世界各地で行われてきました。昨今は使う目的毎に、より適した模型へと進化発展したものが多く見られ、今回の肝臓モデルもその一つです。

この肝臓モデルは、これまで使われてきた動物臓器などの代わりに、触感や切る感触が本物の臓器に近く、複雑で手術の際に重要な臓器・内部の血管も実物に近く再現されていて、実際の手術に近い実習が出来る模型を手軽に、安全に使っていただくことを可能にし、結果として医師や学生の方々の練習機会が増え、技術習得が早く出来ることに繋がっています。

これが実現した背景として、

植物由来の多糖類をベースとした専用ゲル材料を開発された伊那食品工業株式会社様の技術

CTやMRIの断層デジタル画像データセットから臓器や血管の3次元データを作り、成形型の3次元設計をされた有限会社スワニー様の技術

がまずあってこそですが、そこにStratasys PolyJetプリンターJ750と、

耐熱性と耐久性、表面平滑性により成形型に適したデジタルABS材料と、

硬すぎで折れたり、柔らかすぎで変形したりしない適切な硬さで、かつ見やすい色で造形できるデジタルマテリアル

が組み合わされたことが実現のカギでした。加えて、この臓器モデルを既に学会展示や個別訪問で医療実務の方々にご紹介したところ、実物に近いというご評価だけでなく、もっとこういう風に出来ないか、他のものも出来ないかなど要望や提案を多く頂いたいとのことで、今後肺などの別臓器も作るなど、発展拡大も期待されています。

これらのことからわかることは、筆者が講演などで説明に使っている下の「価値創造サイクル」に今回の新ビジネスが当てはまっていることです。

これはまず「このようなものが出来たら」という人のアイデアやビジネスプランがあり、それを様々な方法で3Dデータ化し、3Dプリンティングで現物実現化し、またそれにより新しい人のアイデアやビジネスが増えるというサイクルにより、「品質」か「時間」か「コスト」による総合的な価値が生まれるということを筆者なりに図に表したものです。

今回の肝臓モデルの場合でも、本来は求められる特性を持った材料で直接3Dプリントが出来ませんでしたが、そこに拘らず、成形型として3Dプリントを活用することで早く、適正な価格と納期でビジネス化が出来た事例ですので、全く違う分野でも良いヒントになると思います。

皆さんの中でもまだ実現しない良いアイデアを持たれている方も多いと思いますので、このような事例を参考に、新時代の人々の健康な生活の役に立つ「何か」の実現にぜひチャレンジされ、そのために何かのお手伝いが出来ればと思っています。

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