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アメリカでの展示会「rapid+tct」から見えたことは?掲載日:2019/06/19

先月5 月21 ~23日からアメリカ デトロイトで北米最大の3Dプリンティング専門展示会「raipd+tct2019」が開催されました。筆者は残念ながら現地へは行けなかったのですが、行かれた方々からの情報や海外での報道から、この展示会からどのようなことが見えたかというと…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリングソリューション技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

「rapid+tct2019」とは?

日本各地から梅雨入りのニュースがありましたが、少し前のように梅雨前線が日本の真ん中にじっとして弱い雨が降り続けるといった少し風情のある梅雨ではなく、風雨も強く、晴れるとすごく暑い日があったりで着るものにも迷います。みなさんの地域はいかがでしょうか?

また新潟、山形中心に大きな地震があり、まだ被害状況は分かりませんが、弊社のお客様も多くいらっしゃいますし、何度かお邪魔した地域もあり、みなさまのご無事を願っております。

さて、先月の話になりますが、北米最大の3Dプリンティング専門展示会「rapid+tct2019」が開催されました。

ウエブサイト https://rapid3devent.com/

主催 : SME
開催場所 : アメリカ ミシガン州 デトロイト Cobo Center
会期 : 2019 年5 月20 日~5 月23 日
参加企業数 : 400 社以上
参加人数 : 6000 人以上

主催のSMEはThe Society of Manufacturing Engineers、国際生産技術者協会で、1932年ミシガン州デトロイト市周辺の自動車産業に携わるツールエンジニアを中心とした生産技術者が結成した非営利団体です。

tctは本展示会のメインメディアパートナーで、3Dプリンティングに関する雑誌やウエブニュースを多数出している会社で、今年2月には日本で初めて「tct Japan」展示会も開催されました。

大きなホール内の企業ブース出展による展示会がメインですが、同時に110件以上の講演を含むカンファレンスも同じ場所で開催されたそうです。

筆者も2017年に一度出張調査したことがありますが、毎回開催場所と時期は異なり、来年は2020年4 月 20 ~ 23 日にカリフォルニアのアナハイムで開催予定だそうです。今年は残念ながら行くことが出来ませんでしたが、弊社のアメリカ支店に日本から行っている海外研修生が調査に行き、報告がありました。

また、一般社団法人日本3Dプリンティング産業技術協会(J3DPA)が毎回現地出張調査、非常に短期間に報告冊子を作成され、先週6月10日に東京で

Rapid+tct2019関連報告会 ~ 米国における新たな動きを探る ~

を開催されましたので、筆者も参加してきました。同協会では11月開催のドイツ「formnext」展示会も同様に報告冊子の作成と報告会の開催をされており、会員企業社員は無料で参加できますので、なかなか海外展示会に出張は難しく、でも海外最新情報は知りたいという方は、会員になられることをお勧めします。

 

日本からの来場者は少ないが企業出展ブースは増えた

参加された方々にも聞いてみましたが、日本から参加された一般来場者、報道関係の方は今年も少なかったようで少し残念です。加えて国内でこの展示会に関する日本語のニュースはほとんど無いので、3Dプリンティング産業がますます成長拡大している北米の情報に日本の方が接する機会も非常に少なく、この情報格差が日本で3Dプリンティングを含むデジタルエンジニアリングツールの活用が欧米とアジア先進国に比べて遅れをとっている大きな要因の一つと考えています。

一方、今年は昨年より日本企業の出展ブースが増えたようです。主に金属や樹脂の材料メーカー企業が多く、次に近年徐々に増えてきた樹脂または金属の3Dプリンターメーカーに加え、金属3Dプリントサービスを提供されている「日本積層造形株式会社(JAMPT)」様も出展されたそうです。つまり日本のメーカーも、市場規模や成長率の高い地域でのビジネス開発に力を入れ始めていることの表れかと思います。

弊社が国内で代理販売しているStratasysも毎回大きなブースで出展しています。今年は3Dプリント実用部品を搭載したレースカーを展示したそうです。

また最近急速に普及し始めている、生産機械や治工具部品を3Dプリンティングで作るDDM(ダイレクトデジタルマニュファクチャリング)の実例部品も展示されました。

同じく金属3DプリンターメーカーのDesktopMetalも出展しました。

最近同社の開発パートナーでもあるアメリカの自動車メーカーFordがDesktopMetalプリンターをどのように活用しているかを紹介した下記動画を公開しました。音声は英語のみですが、研究開発センター内での活用の様子が写っていて、「開発部品を早くカタチにして試すことで、設計-改善の繰り返しを多く出来る」と仰っています。また今は試作用途だが、将来の量産工場に3Dプリンティングを組み入れることを検討していて、今年発売予定の量産車の一部に3Dプリント部品が搭載されるとのことです。

rapid+tct2019の報告から見えたことは?

日本と違い、海外では始まる前、開催期間中、終わった後に多くのマスメディアや出展企業がメールやウエブサイトで展示会のトピックスを発信しているので、それらから得た情報も加え、この展示会から見えてきたことをお伝えします。

①金属関連

ますますプリンターや材料のメーカー参入が増え、工法の種類も増えている。特に金属粉末に結合材をインクジェットするバインダージェッティング方式の新製品発表が増え、その他シートメタル超音波溶着工法や溶接など、既存工法の応用や、合金が作れる新工法も含め多様化している。

また特に実用部品製造に使われ始めているため、造形品質管理のプロセスモニタリングシステム(造形最中の積層面の温度や形状をセンサーやカメラでデータとして記録、観察すること)の増加も見られた。

②樹脂関連

近年どうしても金属関連が注目されがちだが、樹脂も実用部品生産への活用範囲が航空機から自動車、鉄道車両分野へも広がっている。

需要の増加に伴い、3Dプリンターを数十台所有して受託生産サービスを提供する企業も増え、サンディエゴのあるサービス会社では、注文の約半数が実部品生産になっているとのこと。

また、既存プリンターメーカーや新規参入企業も、造形プロセスの自動化、高速化を狙う新製品を活発に開発、発売している。

③ソフトウエア関連

ここ数年で広がってきたキーワード「DfAM(3Dプリンティングに適した設計)」用CADや、造形プロセスシミュレーション、プロセスマネジメント、データサイエンス、品質管理のための製品が増えている。

④ビジネス

3Dプリンティングビジネスの成功に必要なテクノロジーとして以下が注目されている。
・DfAM
・シミュレーション(人の設計や造形不具合対策含む時間削減)
・自動化(人件費削減)
・品質管理(データ化、記録化による仕様充足)

⑤工業規格、標準化動向

北米拠点の国際的規格制定組織ASTMだけでなく、ANSI、SAE、MITA/DICOM、IEEE-ISTO(紙プリンターの組織)などが3Dプリンティングに必要な規格作成、標準化について活発に活動

その他、3Dプリントしたモノの表面を滑らかにしたりする2次加工の専用機械なども新製品が増えており、ソフトウエア、プリンター、仕上げ機械、材料と、3Dプリンティングを使いこなすために必要なものが満遍なく開発、改善されていることが分かりました。

これらの一部は日本にも今後入ってくることは間違いありませんが、それでも需要の少ない地域にはなかなか進出しない企業も多く、日本と世界の先進地域との差はますます広がる恐れがある一方、日本国内でも各地域ごとで3Dプリンティングを含めたデジタルエンジニアリングの活用を進めようとする組織や団体も増えていますので、そこから生じる新たな3Dプリンティングの活用の成功のためにも、海外の最新情報は重要です。

みなさんもそれぞれの方法で情報収集をされていると思いますが、このコラムでも引き続き情報提供していきたいと思います。

 

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