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ドイツの展示会formnextで見て考えたことは?(1)掲載日:2019/11/27

2015年から毎年ドイツ フランクフルトで開催されている3Dプリンティング専門展示会「formnext(フォームネクスト)」に今年も行ってきました。昨年より更に規模が大きくなり歩いて回るのも大変でしたが、そこで実際に見て、聞いて、感じて、日本との違いなど、帰ってきて考えたことは…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリングソリューション技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

formnextとは?

昨日から東京は天気が悪く、急に冬がやってきた感じで、通勤電車もなんとなく「着ぶくれ混雑」になっているようです。寒いのはあまり好きではないのですが、鍋や魚もお酒もおいしくなるので、楽しみでもあり、体重にはちょっと危ない季節になってきました。

さて、先週はドイツ フランクフルトで2015年から毎年開催されている、3Dプリンティング専門展示会「formnext」に調査に行き、戻ってきたばかりで、帰国した時「暖かい」と思ったのは、フランクフルトはほとんど曇りか雨で、覚悟していたほどではありませんでしたが、それでも朝晩は特に冷えたので少し早く「寒さ慣れ」したのかもしれません。でももうその効果はここ数日の寒さで無くなってしまいました。

formnextについてはこのコラムで一昨年、昨年とお伝えしてきましたが(昨年の投稿はこちら)、ご存知ない方もいらっしゃると思いますので、概要をお伝えします。

開催場所:ドイツ フランクフルト フランクフルトメッセ
主催  :Meago Messe Frankfurt GmbH
開催期間:2019年11月19日~11月22日
概要  : アディティブマニュファクチャリング(3Dプリンティング)に関する国際的展示会およびカンファレンス。

ホームページ(英語):https://formnext.mesago.com/frankfurt/en.html

2015年から毎年同じ時期と場所で開催されていますが、実はその前には同じ会場でEuromoldという、金型や成形を中心とした大きな展示会の中に小さい3Dプリンティング関連ゾーンがあり、筆者は2012年から毎年出張調査に行っていましたので、そこから数えると今回8回目の調査でした。毎年規模が大きくなり、今回はStratasys、DesktopMetal社含め852ブースが50,000 ㎡のホール(11号館、12号館のそれぞれ1,2階)で出展しました。このことからだけでもわかることがあります。

まず大きさの比較として、ホール総面積は東京ビッグサイトの東の6ホール全部とほぼ同じで、昨年比+35%。これは欧州の3Dプリンティング産業や関わる人口が日本よりはるかに大きく、また昨年のブース数が昨年比+220、新規出展が285とのことから、昨年以上に堅調に成長していると同時に、出展しなくなったブースもあることから、新陳代謝も起きていることが推察できます。

また来場者数=34,532(昨年26,919、28.3%増)でこれも増えました。正確な統計は分かりませんが、筆者の感覚でも会場で聞いても、今年は日本から、または日本企業の海外拠点からの参加者が2倍程度増えたと感じました。これは日本でも3Dプリンティングに関わったり、関心を持つ方が増えたと共に、主催者のメッセフランクフルトジャパン様が事前に東京でセミナーイベントを開催されたり、また今回初めて日本人向け、日本語(通訳含む)によるセミナー+ガイドツアーイベントを開催されたことも功を奏したのではないかと思います。

もちろん実際に行って見るのと話しや写真で知るのとは差があると思いますが、今回行って見て感じたことを一言で言うとすれば、

「欧州は別世界のようだった」です。

なぜそうだったかは、以下と次回のコラムで説明したいと思います。

 

 

 

 

formnextで全体に見て感じた傾向は?

全てもれなく見たわけではありませんので、あくまで個人の考えですが、今回の全体の傾向として以下にまとめました。

<プリンター装置や材料>
産業全体は堅調に成長。新工法開発も活発。
大物一体造形や小物多量造形のための装置や工程一体化、自動化装置の増加。
金属、樹脂材料の多種多様化加速、セラミックも増加。
プリンターの前の工程、または後仕上げなどのためのハード、ソフトウエア製品増加。

<活用用途>
拡大しているが依然使われる分野や用途は限定的。
実部品は航空宇宙、重工機械、鉄道、特殊自動車、スポーツギア、ロボットなど。トポロジー・形状最適化、治工具・型は一般化が進んでいる。

例えば大きなプリンターとして、既存工法の拡大もありましたが、ロボットを使い、大きなものを作るために開発されたものも多数ありました。

また活用事例サンプルとしては、下の航空機の部品のように、コンピュータによるトポロジーや構造最適化設計された部品は、もう当たり前のようにたくさん見ることが出来ました。

写真でしか見たことが無かった、Bugatti社のスーパースポーツカーで、最近世界最高速度を記録したChironのエクゾーストフィニッシャーも見られました。

また先日の東京モーターショーで展示された、トヨタのコンセプトカーLQのセンターコンソールも展示されていました。
これらはデザイナーがどうしても実現したかったデザインを出来るだけそのままに、実用できる強度を持たせるに3Dプリンティングが使われ、塗装により仕上げたそうです。

同じくLQのドアミラーブラケットも、従来複数部品組み立てが必要なところを一体化し、風切り音低減のための形状もつけられたとのことでした。

身近な事例としてはスポーツヘルメットのインナークッションやシューズクッションソールは複数のブースで見られました。このあたりの用途はマスカスタマイゼーション(個別品大量生産)のニーズがありそうです。

なぜ欧米で3Dプリンティングが多く使われているのか?

もちろん「モノ」を見ることは勉強になりますが、自分にとってそれ以上に大事で有意義だったのは、人と会い、多くの話を聞けたことでした。その中で最も引用に残ったことの一つは、会場内で開かれた、アメリカの3Dプリンティングのエキスパートの皆さんによるパネルディスカッションでした。

残念ながら英語が正しく聞き取れていないことも多いのですが、3Dプリンティングが進んでいると言われるアメリカの熟練者でも、例えば実用品を作るのに、材料の安全性はどうしたらわかるのか、ばらつきの無いモノを作るにはどうしたらよいのかなどわからなかったり悩んだりすることが山ほどあり、それらはメーカーに聞いても答えが得られず、また誰に聞いてよいのかもわからないと多くの方が困っており、また品質評価や管理も難しいとのことでしたが、それでも歴史の長い工法でも未だに解明されていないこともあり、3Dプリンティングも特別ではなく、ひとつずつ解決していけばよいこと、AI含め得られるデータを活用すること、またもっと関係者間で「会話」をして、1人ではなく連携して解決していけば使いこなせるという、前向きなメッセージを受け取りました。

以上紹介したのはほんのごく一部ですが、このように日本では見られない製品、用途や、続々と新しい技術を開発し新規参入している多くの大中小企業を見て、なぜ欧州(米含む)でこのようなことが起きているかの理由を自分なりに考えて次の図を描いてみました。

まず元々3Dプリンティングは歴史的に、いろいろな試作を作る狙いで開発発展されてきたこともありますが、これまで「作る装置」だけが次々と世の中に出たので、実用品としては「何をどう作るか」ということが欠けていたのですが、欧米では今も、またこれから更に起こる「社会の変化」を自分たちの強みに変えるために「何を作る」を考え、そのための「考える」「作る」「整える」「評価する」のサイクル全体を新しく作るために、それぞれに必要なツールを並行して創り出していること、またそのためのヒトとお金は、今現在の利益というより、少し先への投資として潤沢に供給されていることで、好循環が回っていると考えました。これが「別世界だった」と感じた大きな理由です。

もちろん日本には少ない軍事や医療福祉関連の需要が多いことも追い風だと思いますが、それでも社会の変化は日本にも起こるので、単に欧米の真似をしないまでも、変化を強みに変える手段として3Dプリンティングを含んだ新しいサイクルと必要なツールの教育、開発、活用に、もう少しヒトとお金が回されるべきではないかと感じました。

次回はStratasysやDesktopMetalなど、個別のブースや活用事例の紹介をしたいと思います。

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