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2020年の3Dプリンティングはどうなるか?掲載日:2020/01/08

2020年最初のコラムとして、昨年同様今年の3Dプリンティングがどうなるかについて予測したいと思います。海外では2019年は3Dプリンティングの「転換点だった」という声があったようですが、世界で、日本で、今年どのようになるかを予測しますと…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリングソリューション技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

新年あけましておめでとうございます!

本コラムをお読みいただいている皆様、新年あけましておめでとうございます。本年もご愛読の程宜しくお願い致します。

今年は西暦2020年、日本では令和2年で、年としては特別なことはなく自然の周期で変わらず巡ってくる1年なのですが、人が勝手に決めた数字でありながら「2020」というのはキリが良く、2030年までの10年の始まりでもあり、なんとなく「節目」な感じがするのは不思議なものです。もちろん何かの節目だったかは数年後に振り返って「そうだったなぁ」と思うものかもしれませんが、歴史でもスポーツの試合でも、流れの中でなぜか節目が明らかにあります。そのような中、2020という年を良い方に向かう「節目」にしたいと思うのは悪いことではないと思います。

3Dプリンティングに目を向けますと、年末年始の海外のニュースでも例年同様、昨年のトピックのまとめや今年の予測の記事がいくつかありましたが、その中で2019年が3Dプリンティングの「転換点だった」と書いた記事がありました。筆者の個人的な感覚でも、また昨年末にお伝えしたドイツの展示会formnextを見た感想としても(記事はこちらこちら)、3Dプリンティングの次の段階への発展に向けた節目だったように思います。

そこで、今回は昨年の振り返りを含めながら、2020年の3Dプリンティングがどうなるかについて「独断と偏見」「願いと希望」や「知っていても今は言えない情報」を基に予測したいと思います。

2020年の3Dプリンティングはどうなる?

昨年1月の年初のコラムでも2019年がどうなるかについて書きましたが(記事はこちら)、大きく2つについて予測しました。

・DfAMが普及して3Dプリンティングによる実用品製造が増える

・材料種類と後加工の製品が増え、生産能力が増える

前述のformnextの展示をみると、世界的にみればどちらも傾向としてはその通りだったと思いますが、十分とは言えなかったと思います。特に日本に関しては、限られた範囲でその通りになった例が見られましたが、全体としては予想を下回った結果だったと思います。

ただし、DfAM(Design for Additive Manufacturing)という用語やその重要性は日本でも確実に広がってきたことは感じていますし、金属・樹脂とも日本のメーカー各社が特色のある独自の材料を研究、発売を積極的にされた点では、次のステップへの「土台」のようなものは出来てきたと感じています。

その上で、2020年に3Dプリンティングはどうなるかについて以下に予測します。

・様々な「連携」と「協働」が起こり「売り方」と「買い方」も多様化する

特に昨年からこれからも続く傾向として、3Dプリンティングに関わるハードウエア、ソフトウエア、サービスが急速に増え、複雑になっています。その中で、例えば購入するプリンターを1台選ぶにしても、ゼロから情報を集め自前で知見を高めようとしても相当多くの情報を収集分析するための時間と工数をかけないと最適な解が得られず、見切り発車で「とりあえず安いものを買ってみる」では結果的に人の工数がかかりすぎたり、遠回りになってしまうこともあります。もう一方で、後述する「ものづくりプロセスの変化ありき」の3Dプリンティング活用をする場合はなおさら「自前主義」では時間と工数がかかりすぎ、時期を逸するリスクも高まります。そこで欧米先進地域にみられるように、日本でも「他者や先行者とつながり、情報を共有し、作業を分担する」方が良いことに気づく方も増え、そのような組織、場が増えていくと見ています。

同時に変化が速く複雑な環境では、「資産として購入し長期間使う」だけでなく「他者に頼む」「持たずに使う」方が有効な場合も増え、社会全体に広がりつつある「シェアリング」や既にソフトウエア製品で多く見られる「サブスクリプション」という売り方、買い方が3Dプリンティングにも広がってくると考えています。予兆として、丸紅情報システムズではStratasys F120を消耗品や保守サービス含め固定月額で使用できる「サブスクリプション」を試験的に限定販売したところ早速導入を決められたお客様がいらっしゃいました。

・「ものづくりプロセスの変化ありき」の中で3Dプリンティングの適材適所活用が進む

あまりにぼんやりとした予測でお叱りを受けるとわかりつつ、良い表現を見つけられなかったので、以下にその意味を説明します。

これまでの3Dプリンティングは「3Dプリンティングそのもの」が注目、活用されてきた時代が長く続きました。また多くの実際の使われ方は「局所的・単発的」であり、平たく言うと「それが無くても大きなものづくりプロセスは変わらず、あれば便利」というケースが大半であったと思います。しかし、例えば欧米では、オーダーメイド補聴器や人工歯根手術ドリルガイド、歯列矯正用マウスピースでは10年以上前に3Dプリンティングを組み込んだ「新しいものづくり(販売含む)プロセス」が構築され、そのプロセスを前提とした3Dプリンターや材料が専用的に開発改善されてきたのみならず、下記の図のような「考える」「作る」「整える」「評価する」の全てのツールや仕組みや規格が整備され、発展、定着してきましたし、それらと似た経緯で航空機の部品製造やスポーツシューズなどに拡大してきたと見ています。

このように「プロセス変化ありきの3Dプリンティング」になれば、3Dプリンターや材料に求められることも変わってきますし、その関連ツールも変わり、得られる利益も「局所的・単発的」より大きなものになります。

このようなことが起きると、求められたり活躍したりする人や企業も変わってきます。これまでは個々のプリンターや材料メーカーが重要な役割を果たしてきましたが、今後はプロセスとツール全体を理解し、ユーザーや複数の連携協働者と共にプロセスを創ることが出来る人や企業が求められると考えています。当然上記4つのプロセスを新しくするのにコンピューティング、プログラミング技術の重要性は言うまでもなく増し、その点からも「データを多く持ち、活用できる」ことが競争力に直結していくと考えています。

特に日本では、高齢化、労働人口減少、働き方改革という解決が急がれる難題への対策として、昨年以上にAIやロボットの実用化が進むと見ていますが、それらも単にこれまでのプロセスに足す、または置き換えるだけでは効果が低いとされており、それによる「変わるプロセス」の中で3Dプリンティングの活用も進むと考えています。その予兆として、昨年12月に東京で開催された「2019国際ロボット展」の中でも、人と同じ環境で働く「協働ロボット」が多く展示され、その中の例としてKUKA Japan社のブースで展示されたセンシティブロボットは、プログラムされたとおりに動くだけでなく、ロボットに加わった様々な力を検知し、それにより動きを自分で調整するという機能を持っているそうですが、今回の実演用に複数の3Dプリント部品を使われていました。

まだ詳しくはお伝え出来ませんが、このような事例は今月1月29日(水)~1月31日(金)まで東京ビッグサイトで開催予定の展示会「TCT JAPAN」の丸紅情報システムズ株式会社ブースでご紹介できるよう準備中です。ご興味があればぜひご来場、お立ち寄りください。

・「高速化」を実現する新しい3Dプリンティング工法が出てくる

3Dプリンティングを既に活用したり、今後に大きな期待を持って先行投資、先行研究をしてきた方々が実際得られたり、今後得られると考えられる3Dプリンティングによる「利益」は、多くの部分が「時間」だと思います。つまり、速く多く試作品を作ることで短縮できる開発設計期間、少量生産用に金型を切削加工で作る期間などが例として挙げられ、それだけでも大きな利益だったのですが、より高度な活用には更なる高速化が求められます。もちろん30余年の研究改善の歴史の中で生産速度は間違いなく上がってはきましたが、既存積層技術・工法の「改良」では劇的な高速化は困難かと思われます。そこで考えられる2つの解決策があり、1つ目はより多くの台数の3Dプリンターを並列稼働させることで「生産速度」を上げることで、それは先進地域では既に行われ、そのための制御管理ソフトウエアなども普及してきました(日本では需要の小ささ、先行投資の少なさ、使えるスペースの狭さなど含めそれもまだ起こっていませんが)。

一方、ここ数年、特に欧米アジアの3Dプリンティング先進地域では機械単体の高速化は必須で、それにはこれまでと違う原理や装置が必要という認識が広がったと見られ、その「芽」が昨年は多く見られたように思います。一例を挙げれば、金属3DプリンターにおいてDesktopMetal社をはじめとする複数の会社がバインダージェッティング方式のプリンターを次々開発、発売したことなどです。

他にもこれまでになかった発想や発明により「高速化」を実現するプリンターが今年は数多く世の中に出てくると予測していますが、海外では「芽」を出した企業に「将来自分たちがいち早く、使いやすいように開発を促進する」狙いで大企業がお金と人を投資するケースが多く見られ、どうしても「出資者優先」となり日本には遅れて入ってくる、または入ってこないものも残念ながらあると思います。何れにしても情報は注視していきたいと思います。

 

今年も様々な「?」と「!」をお伝えしていきます

良くも悪くもいろいろなことが大きく速く変わる時代でもあり、他方で変わらないことが良いこともたくさんありますが、筆者もまず自分を変えていかないとと思い、例年年末年始は家や近所でのんびり(というよりぐーたら)過ごすことが多いのですが、大みそかに天気が良かったので子供を連れて、大きくきれいな富士山を見ながら江の島まで「海岸ランニング納め」を初めてしました。風は強かったですが空いていて、気持ちよく年を越せました。

今年は他にも今は想像できないようなことが次々と起こると思いますし、特に日本では夏の大きなスポーツイベントがあったり、次世代ネットワーク通信5Gが始まる年でもありますので、皆様にとっても年末に振り返った時に「良い方に変わった節目の年だった」となればよいと思います。今年も引き続きこのコラムで月2回を基本に3Dプリンティングの「?(疑問)」や「!(発見)」をお伝えしていこうと思いますので、宜しくお願い致します。

 

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