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VUCA時代のダイナミック・ケイパビリティとは?掲載日:2020/09/02

社会、政治、経済、気候でも突然大きな何かが起きたり変わったりする報道が毎日のようにあり、こういった時代をVUCAの時代と呼ぶそうで、その中で製造企業には「ダイナミック・ケイパビリティ強化」が求められるとのことですが、それはどういったことかというと…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリングソリューション技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

VUCAの時代

新型コロナウイルス感染についてはもう書くのが嫌になっていますが、加えて日々感染者数も増減し、それに伴う政府、自治体の対策も変わり、もう少しの変化では驚かなくなってきている気がします。それに加え、国内外の政治でも大きな変化が毎日のようにあり、それらがまた社会や経済にも変化をもたらし、「変わること」が普通になることがこれまたニューノーマルなのかもしれません。

そういった変化には必ず新しい言葉が生まれたり広がったりしますが、最近経済の話題に「VUCAの時代になってきた」という表現を目にすることがあり、知らなかったので調べてみると、

VUCAはブカ、ブーカと読み、4つの頭文字だそうです。
Volatility(変動性)
Uncertainty(不確実性)
Complexity(複雑性)
Ambiguity(曖昧性)

元は1990年代に生まれた軍事用語だそうで、これまでの戦争が例えば国のような相手から、テロ組織のような誰が指導者か、どのような組織かがわかりにくい相手に変わった時に、新しい戦いのスタイルを表すものだったそうです。

正に今の世界や経済の状況に当てはまると思いますが、特に製造産業もVUCAの時代に既になっていて、これからも続いて普通になっていくのではと考えています。

ダイナミック・ケイパビリティの強化と事例

ではVUCAの時代に製造企業はどのようにしていくべきで、それに3Dプリンティングはどう役立つのでしょうか?その答えのヒントのひとつとして、今年5月に公表された経済産業省「2020年度版づくり白書」を参考にしたいと思います。

2020年版ものづくり白書(ものづくり基盤技術振興基本法第8条に基づく年次報告)

全文約250ページをPDFで上記サイトからダウンロードできますが、読むのはかなり大変なのでまずは概要版を読まれることをお勧めします。

https://www.meti.go.jp/report/whitepaper/mono/2020/honbun_pdf/pdf/gaiyo.pdf

もちろんこれがすべて正しいとも思いませんし、個々の企業で事情は違うと思いますが、およそ共通の課題と展望、対策について書かれています。その中で「不確実性の高まる世界」で製造企業に大事なのは「企業変革力(ダイナミック・ケイパビリティ)の強化」であり、それに有効なのは「デジタル化」であるということです。横文字ばかりで分かりにくいですが、ダイナミック・ケイパビリティとは、「環境変化を感知し、そこに機会を捕捉し、既存の資源を再構成して自己変容する能力のこと」とのことで、実は日本企業独自の柔軟な組織構造や1人が多くのことをできる能力などにより組織変更や工程変更が容易で、元々変化能力は高く、デジタル化でさらにその強みが活かせるとのことです。

細かくは読んでいただくとして、一方デジタル化については「もう導入済み」という企業が多いけれども実際は「製造業のデジタル化やデータ活用は、製造工程についても、マーケティングとの連携についても十分に進んでいない。」となっています。

また、「ダイナミック・ケイパビリティの強化には設計力の強化が重要だが、未だに3D設計が普及しておらず、その背景には
主な設計手法が依然2Dであること
調達部門が見積もりのために図面を必要とすること
発注内容と現物を照合する現品表を兼ねていること」
があるとしています。

もちろん製造上の寸法公差などの情報を含め、3Dデータを正とする3D単独図、MBD(Model Based Definition、モデルベース定義)の規格化や普及がそもそも遅れていることもあるでしょう。

更にものづくり白書では最も多くのページを「人材育成」に割いており、いくらデジタルだといっても、それを使える人材が必要なのは変わりないということの表れかと思います。

上記のことは「正論」ですし、中長期的なVUCA時代への対応としてはわかりますが、もう既に日々変化している現在、近い将来へのまずできる対応として、筆者は次のことも有効ではないかと考えています。

つまり、研究開発設計のエンジニアリングチェーンにおいても、製造調達のサプライチェーンにおいても、メインとなる社内の既存設備でモノを作るプロセスを全部デジタル化して変更するのは大変ですぐには難しいですが、まだ大きな変化が起きていない平時から「社内の3Dプリンティングで作る」ことと「社外の3Dプリンティングで作る」ことを一部でも整備して使っていれば、急な変化に対してその3つを組み合わせて使うことにより対応しやすくなるのではないかということです。もちろんこれはデジタルを使える「人材育成」にも役立ちます。

例えが良いかわかりませんが、個人の生活でも突然お店に買い物に出かけられなくなったとき、普段からネットショッピングを使っていた方はすぐに使うことで当座はしのげたということに近いと思います。また伺った話ですが、普段は試作用に樹脂3Dプリンターを使われていて、コロナ感染拡大によりそれらでフェイスシールドフレームを作ったことを知った経営層の方が、緊急事態発生時に不足物資を3Dプリンターで作ることが事業継続に役立つことに気付かれたとのことでした。

これに近い海外の事例が最近ありましたのでご紹介します。

https://www.businesswire.com/news/home/20200803005445/en/

businesswireの今年8月3日発行で、アメリカの大手自動車メーカーがStratasysの樹脂3Dプリンターを新設のAdditive Innovation Centerに17台導入した記事ですが、ポイントを以下に要約します。

・GMは30年前から3Dプリンティングを導入活用し、700名がそれらを使えるよう育成した。

・現代の製造産業は変化と不確実性が加速し、GMをそれに素早く対応、変化できる企業にするために3Dプリンティングは助けになっている。

・SME(アメリカの製造技術産業団体)の研究調査では新型コロナウイルス感染拡大に対応するサプライチェーン改革のために今後投資する11の技術の中で、アメリカの25%の製造業者が3Dプリンティング(ロボティクスと共に)をトップにあげている。

・GMは2020年発売Chevrolet Corvetteの部品の75%を3Dプリンティングで試作したが、今後治工具など製造分野へ活用を広げようとしている。

・その一例として、GMは今年4月に政府機関と連携し、不足した人工呼吸器を8月までに30,000台を生産供給することとし、必要な治工具類を製造メーカーの既存治工具から3Dデータ化し、翌日から3Dプリント開始。社内の3Dプリンターでは足りなかった分はStratasys Direct Manufacturingのプリントサービスを併用。

これは特殊な一例かもしれませんが、急に出来たことではなく、平時から3Dプリンティングを使っていたから出来たことだと思いますので、日本の企業の皆様にも参考になると思います。

名古屋 ものづくり ワールドに出展、講演もあります

お知らせです。

丸紅情報システムズは下記展示会にブース出展する予定です。

第5回 名古屋 ものづくり ワールド
【会期】2020年9月9日(水)~11日(金)
10:00~18:00 (最終日のみ17:00終了)
【会場】Aichi Sky Expo(愛知県国際展示場)
【主催】リード エグジビション ジャパン 株式会社

筆者は出展社セミナーで9月11日(金)15:00-15:30
「3Dプリンターと活用の最新情報」のタイトルで講演予定です。

もちろん感染防止対策をとって行われますので、これまでと同じ環境ではありませんが、もし状況が許せば是非ご来場ください。

引き続き皆様ご安全にお過ごしください。

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