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2021年の3Dプリンティングはどうなるか?掲載日:2021/01/12

2021年の最初のコラムは昨年と同じく、今年の3Dプリンティングがどうなるかについてですが、今年は特に社会全体としてどうなるかさえも見通せない状況です。だからこそ今起きていることを知り、どこに向かうべきかを考えます。それはどのようなことかというと…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリングソリューション技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

今年も宜しくお願い致します

おそらく誰もこのような年になると思わなかった2020年が終わり、2021年がやってきました。年末年始は多くの方がこれまでとは違った過ごし方をされたかと思いますし、地域によって悪天候でご苦労された方も多いかと思います。筆者は自宅で静かに過ごしましたが、大晦日に鎌倉の海まで自転車で行き、ぼーっと1年を振り返りつつ、あたふたしている人類にお構いなしに、あたり前のことながら自然や季節は淡々と動いていて、自分も立ち止まることなく淡々と進んでいかないといけないと思った年末年始でした。

さて、今年最も変わらずこのコラムで3Dプリンティングに関する情報や考えをお届けしていきますので、引き続きご愛読のほど宜しくお願い致します。2021年最初のコラムは昨年と同じく、今年の3Dプリンティングがどうなるかについてですが、今年は特に社会全体としてどうなるかさえも見通せない状況です。だからこそ今起きていることを知り、どこに向かうべきかを考えたいと思います。

まず年末年始も3Dプリンティングに関する動きは活発で、国内外でいろいろな発信がありましたのでいくつかご紹介します。

Desktop Metal社は年末に、2020年の自社の出来事をまとめた動画を配信しました。日本含めた海外未発売の製品も含め、多くの欧米での活用事例や、新型コロナウイルスへ対応支援のために複数の企業や個人がオンラインで協力しながら短期間で設計生産した人工呼吸器の映像、また最後にニューヨーク証券取引所へ株式上場した際の映像も含まれています。

Desktop Metal社以外のアメリカの3Dプリンターメーカーの株価も上昇しているようで、今年も3Dプリンティングの発展成長への期待は変わらないようです。同じく年末にアメリカの自動車メーカーFord社がDesktop Metal社の量産用バインダージェッティング金属プリンター「Productionシステム P-1」を最初のユーザーとして購入したニュースがありました。

Ford to Use Desktop Metal’s P1 Production 3D Printer

このように金属3Dプリンターの工法のひとつとして昨年発売され始めたバインダージェッティング方式の導入や活用が今年は増えるのではと見ています。

また金属3Dプリンターの国内での活用例として、読売新聞1月5日神奈川版 誌面で、宇宙航空研究開発機構 JAXAが開発中の月面探査機の着陸衝撃を吸収する脚の部品を、弊社の3Dスキャナー「ATOS」のお客様でもある株式会社コイワイ様が金属3Dプリンターで製造される記事が掲載されていました。

このように、金属3Dプリンターと、従来では加工製造が難しい形状設計の組み合わせによる実用部品製造活用は、昨年から引き続き今年も数多く出てくるでしょう。

樹脂では1月7日に世界的に配信されたニュースでご存じの方も多いと思いますが、Stratasys社がアメリカの3DプリンターメーカーOrigin社の買収を完了したとのことです。今後具体的にどうなるかはまだわかりませんが、昨年こちらのサイトで紹介されたとおり、新型コロナウイルスの検査用スワブを量産したことで知られており、光硬化性樹脂による3Dプリンターが実用部品製造に使われる例が増えてくると思います。

生産性向上とDXと3Dプリンティング

先日の新聞記事で日本の課題として、労働者人口減少への対策にひとりあたり、特に中小企業の生産性の向上が必要との提言がありました。日本生産性本部が発表している「労働生産性の国際比較」の2020年版によりますと、日本の製造業の労働生産性は、98,795ドル(1,094万円/第16位)で、米国の約7割の水準だそうです。

https://www.jpc-net.jp/research/assets/pdf/report_2020.pdf 30/38ページ

これが高いか低いか一概には言えませんが、日本は労働生産性1位だった2000年から2018年までで約16%の増加ですが、デンマークは約140%の増加で、10位から3位に上がっています。これは国家戦略として情報通信技術など知識集約型産業を政策的にサポートしていることも一因だそうです。昨年も多く聞かれたデジタルトランスフォーメーション(DX)の導入活用も労働生産性向上に有効と言われています。それについて日本の実情と課題について参考になる資料が昨年末12月28日に経済産業省から下記の通り公表されました。

デジタルトランスフォーメーションの加速に向けた研究会の中間報告書『DXレポート2(中間取りまとめ)』

https://www.meti.go.jp/press/2020/12/20201228004/20201228004.html

この資料を見て感じたことは、DXと3Dプリンティングはとても似ていて、この資料の「DX」を「3Dプリンティング」に置き換えて読むと3Dプリンティングの現状と課題が見えるのではということでした。例として資料の一部を以下に引用します(画像クリックで拡大してご覧いただけます。)

 

 

 

 

 

 

3Dプリンティングもまだ「意識改革」の段階に至っている企業は少なく、また先行して活用している企業と平均的な企業の差が広がっているように感じています。

 

 

 

 

 

 

3Dプリンティングを含めたデジタルツールの導入活用シナリオも正に上図に似ており、「散発的な実施に留まっている」途上企業が「レガシー企業文化からの脱却」のため、短期的には戦略の策定や推進体制の整備が必要で、中長期には人材や協働プラットフォームの整備、事業変革の体制を整え環境の変化に迅速に対応できることを目指すことは共通していると思います。

 

 

 

 

 

 

また導入活用成功パターンも3Dプリンティングも似ていて、まず現状の試作や治工具の置き換え改善から、業務・製造プロセスの改善に進み、「顧客起点の価値創出のための事業やビジネスモデルの変革」へと進める段階でアクションを設計することが「王道」です。但し、上図では「DXは必ずしも下から順に実施を検討するものではない」とありますが、3Dプリンティングの場合はDfAM(3Dプリンティングを活かす設計)から仕上げ含め、知識やノウハウを得るのにある程度時間を要しますので、下から順に実施されることをお勧めしますし、逆に早く実施された企業は他に比べ上の段階へ進みやすいので、その優位を活かされることをお勧めします。

 

 

 

 

 

 

日本で3Dプリンティングが海外先進地域と比べ進まないと言われている原因に対し、目的、どうなるか、どうすればいいかがわからないという課題があり、それは経営層、事業部門、IT部門、社外関係者間での対話不足に起因しているという点は共通している部分が多いと思います。

 

 

 

 

 

 

上記の課題解決への提言内容も、環境の変化を理解して行動に移す、対話を増やし、社外とも積極的に連携することでフィードバックループを構築し、ともに新たな価値を創造するという点は3Dプリンティングに当てはまります。

上記のような取り組みを始められている例として、昨年末にストラタシスジャパン様からシナノカメラ工業様が社内製造治工具に3Dプリンティングを活用された事例が動画共有されていましたので、ご参考までに以下に転載します。

コロナ禍は今年もまだ続きそうですが、それがあっても無くても日本の製造業の労働生産性の向上が喫緊の課題であることは変わりなく、コロナ禍により「後回し」「他社の様子見」に時間を使う余裕もますますなくなってくるでしょう。DX-デジタルエンジニアリングツール-3Dプリンティングはつながっていて、これらをどう使いこなしていくかが昨年以上に問われる1年になっていくと思います。これは1企業や個人だけで出来ることではありませんので、筆者も方向を同じくする多くの方々と連携協働していきたいと思います。

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