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3Dプリンティングがゲームチェンジャーになるには?掲載日:2021/12/02

先日2021年11月18日に、経済産業省近畿経済産業局「3D積層造形によるモノづくり革新拠点化構想(Kansai-3D実用化プロジェクト)」のオンラインセミナーが開催され、筆者も参加しました。その特別講演の中で「ゲームチャンジャ―」について触れられ、大変勉強になりました。3Dプリンティングが製造の「ゲームチェンジャー」になるためには…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

Kansai-3D実用化プロジェクトのオンラインセミナー

日本では新型コロナウイルス新規感染者数が減少し、人が動き始めていることを日々実感していますが、海外では感染再急増、新変異株のニュースもあり、まだ予断を許さない状況が続きそうです。筆者も外出や出張を徐々に始めてはいて、現場で見て触れて話す大事さも再確認する一方、仕事や生活を変える「ゲームチェンジャー」になるデジタルやオンラインのツールやサービスが加速度を増して現れていて、それぞれ好き嫌いや善悪の議論はあれども、無視したり抗うより賢く使う大事さも同時に実感しています。

さて、特に仕事の中では定着したと言っても良い「オンラインセミナー」や「ウエビナー」は、筆者も聞く、話す立場両方で参加の機会が増えています。今回はお読みの皆さんに広く共通して参考になると思われる内容を勉強できたオンラインセミナーのひとつを取り上げたいと思います。

先日2021年11月18日に、経済産業省近畿経済産業局「3D積層造形によるモノづくり革新拠点化構想(Kansai-3D実用化プロジェクト)」のオンラインセミナー「AMと最先端の周辺技術との掛け合わせによる高付加価値化」が開催され、筆者も参加しました。終了していますが下記画像クリックで概要をご覧いただけます。

Kansai-3D実用化プロジェクトについては2019年設立時にこのコラムでも紹介しましたが、当初から参加し、筆者もコーディネーターの役目を頂いています。

そのセミナーの特別講演として日産自動車株式会社 塩飽 紀之様が「自動車の商品動向と生産技術~Game Changerとなる生産技術~」の演題で話され、大変勉強になりました。

詳細はここではお伝え出来ませんが、学んだ大事な要点のいくつかをご紹介します。筆者も海外の方の記事やお話の中で3Dプリンティングは「ゲームチェンジャーである」とか「ディスラプティブである」と良く見聞きしてきましたし、筆者の仕事のなかでは日本でもそれを実感する例はたくさんありますが、ピンとこない方が多いのも実情だと思います。ご講演ではゲームチェンジャーとはこれまでの行動や制度を大きく変える人、モノ、コトとのことだそうですが、3Dプリンティングがゲームチェンジャーになるには「キャズム」と呼ばれる溝を乗り越えられるか、また海外で既に実現公表されているような革新的な自動車部品は本当に出来る時代が来るか、出来るようになってから始めて間に合うのかという問いを示され、とても共感しました。

また日産自動車様に限らず自動車開発製造に課せられている様々な課題があり、3Dプリンティングは形状設計、加工装置、材料の点で解決のゲームチェンジャーになり得る可能性がある一方、そうなるための課題克服のポイントとして、例えば

軽量化を実現するため重要な「剛性」には材料のヤング率と断面二次モーメントを最大化する形状設計の組み合わせが重要であること

これまで生産要件が決めていた設計の制約を取り除くこと

3Dプリンティングの活用は、これまで蓄積した材料、設計解析、加工や仕上げなどの基本技術技能の集大成であること

を示され、まさしくその通りだと思いました。

変化を実現するための道具か、道具があるから変化が起きるのか

先日こちらのコラムでもご紹介いたしましたが、ドイツで開催された展示会「Formnext」の関連イベントとして、11月30日~12月1日に「Formnext Digital Days オンライン」が開催されました。ドイツ現地時間の朝から夕方のライブ配信だったので、日本からの参加者は少なかったようで、筆者も2日共前半の講演だけの参加となりましたが、なかなか普段では会うことが出来ない3Dプリンティングの専門家、ユーザーの方々によるパネルディスカッションが多く、また参加者からの質問にも答えていただく双方向だったことから、多くのことを学ぶことが出来ました。特に欧米で3Dプリンティングによる実用部品製造に積極的な産業分野である、オイル&ガス、鉄道、航空機の専門家によるセッションから学んだポイントをいくつかお伝えします。

オイル&ガス分野

・交換補修部品のオンデマンド、使用地近くでの少量短期製造などに効果はあるが、触れる液体や気体に対する耐性、性能評価認証含め、活用のハードルは高いのは理解した上で、まずはハードルの低い部品から活用を進めている。

鉄道

・DB(ドイツ鉄道)では鉄道車両交換補修部品(樹脂、金属)を既に多数製造使用している。3Dプリンティング部品の開発、製造は自社だけでは難しいことを理解しているので、約8割は社外の3Dプリンティング企業に委託している。また鉄道会社以外も含めて共同研究する団体を設立した。
・樹脂は主に材料押出法(MEX,FDM)を採用しているのは、難燃性材料が使えたという理由が大きい。鉄道部品難燃性の規格は、例えばトンネル内から乗客が避難するのに必要な時間は航空機よりかなり長いため、航空機より厳しい。
・保全作業の現場事務所に1台ずつデスクトップ樹脂3Dプリンターを置いたことで、作業で使いやすい道具や保護具を作業員がアイデアを出して作るようになり、効果を上げている。
・鉄道車両以外にも、駅や線路の工事は、列車運行を止めずに行わなければならず複雑な工程になることがあり、3Dプリント模型を使うことで作業員全てへの周知理解に役立てている。

航空機

・既に運行中の民間航空機に多数の3Dプリンティング部品が製造使用されている。樹脂は主に客室内部品に使われ、座席ディスプレイのパネルなど、金属部品はエンジン燃料噴射ノズルなどがある。
・大きな効果が期待できる例は熱交換器部品で、従来品に比べ小さく軽いうえに性能が高い部品が出来る。また構造部品も構造最適化、ラティス形状などにより軽量化が出来る。
・MRO(保守、交換、修繕)部品を3Dプリンティング製造することで、在庫や輸送を減らし、飛べない時間を短くする効果はもちろん期待されているが、新品でも交換部品でも性能、安全性の規格認証の整備や認証取得は依然難しく、現状は研究検証段階の部品が多い。

ドイツ地域は3Dプリンターメーカーや材料メーカーも、学術研究者も企業ユーザーも多く、活用が最も進んだ地域として知られていますが、実情を見ると、品質評価、規格や認証の課題はそれほど急に解決されているわけでもなく、「ごく限られた、今出来る部品」だけに活用し、また人の意識や考え方を変えるには苦労していて、地道な教育を行うしかなく、それでも時間はかかると仰る専門家は多かったです。

講演の中でSGDsやIndustry4.0など、社会経済の「変化を実現するための部品を設計製造する道具」として3Dプリンティングの活用を進めるという見方があり、もう一方で、ドイツ鉄道の例のように、3Dプリンターという道具があることで保全作業員がより良いアイデアを出すようになったという、「変化を起こすための道具」という見方も参考にすべきだと、あらためて思いました。

日本でも金属粉末材料や熱処理技術開発が活発に

Kansai-3D実用化プロジェクトのオンラインセミナーでは、協力企業9社による特殊素材、冶金、ガスに関する講演があり、日本でも海外に引けを取らない金属粉末材料や熱処理技術などが活発に行われていることが分かりました。もちろんすべてのものづくりやビジネスに対して3Dプリンティングがゲームチェンジャーになるわけではなく、QCDの課題もまだまだ多いですが、3Dプリンターシステムや材料だけでなく、「周辺技術」が実はゲームチェンジャーになるカギを握っていると言っても過言ではないと思います。

そのような技術動向を知る機会のひとつとして、会場展示会「第8回 メタルジャパン(高機能 金属展)」が下記の通り開催され、弊社丸紅情報システムズもこちらのお知らせの通りブース出展し、Desktop Metal社のシステムと金属材料の最新情報をお届けする予定ですので、感染予防対策の上、可能な方はご来場されることをお待ちしております。

開催日時:2021年12月08日(水) ~ 2021年12月10日(金)
10:00~18:00(最終日のみ17:00まで)
開催場所:幕張メッセ (MSYSブース:8ホール57-48)
イベント公式サイト
https://www.metal-japan.jp/ja-jp.html

「Kansai-3D実用化プロジェクト」では今後も様々な情報知識発信をされていくと思いますし、3Dプリンティングをこれから使う、または使っているがさらに活用を進める企業への支援や実証実験を行われていくので、ご関心のある企業の方にはこちらの会員登録サイトからのご参加をご検討ください。
※対象:全国の3D実用化に挑戦する企業
※会費:無料

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