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America Makesに学ぶ3Dプリンティングの価値は?掲載日:2021/04/14

アメリカの3Dプリンティング実用研究を産学官協働で行う組織「America Makes」が先日オンラインイベント「America Makes TRX sponsored by Boeing」を開催し、筆者も参加しました。そこから学ぶことが出来た3Dプリンティングの価値と課題は…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリングソリューション技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

名古屋 次世代3Dプリンタ展に出展しました

新年度最初の投稿です。まだコロナ禍の出口が見えない状況が続いていますが、気持ちだけでも新たに、前向きに、変わらずコラムの配信を続けていきたいと思います。

前回お知らせしました通り、4月7~9日に開催された名古屋 次世代3Dプリンタ展に出展し、筆者も参加してきました。

ブースではStratasys J55などの実機や、先日モデルチェンジしたDesktop Metal Studio2システムと、先日より受注を始めている Shopシステムのサンプルを展示しました。

やはり会社からの外出制限もあり、来られなかった方も多かったようですが、それでも予想より多くの方にご来場いただき、お話をさせていただくことが出来ました。

America Makes TRX sponsored by Boeingに参加しました

さて、ご存じの方も多いと思いますが、アメリカには「America Makes」という3D プリンティングの実用化を産学官共同で研究、またその成果を集約、会員で共有するための組織があります。元は2012年7月にオバマ政権下で設立されたNational Additive Manufacturing Innovation Institute(NAMII)から発展した組織で、NCDMM(National Center for Defense Manufacturing and Machining)が運営母体ということで「防衛」が基盤ではありますが、任意参加の産学官組織の会員と会費で構成運営されています。以前は研究内容や成果は会員外にあまり公表されていませんでしたが、数年前からTechnical Review and Exchange (TRX)と称したイベントを開催し、最近はオンラインでも開催されるので、日本からでも参加できるようになりました。

先日2021年3月23-24日にAmerica Makes TRX – Boeingがオンラインで開催され、もちろん時差があり、筆者も最初の方しか聞けませんでしたが、ありがたいことに録画動画も下記動画配信サイトで公開されました。
https://youtu.be/4JZ4jN5oO2M

ただし2日間分、11時間以上の動画なので、全部観ることはお勧めしませんが、公式サイトのアジェンダから興味がある講演のみ観るだけでも価値があると思います。
https://www.americamakes.us/events/america-makes-trx-boeing/

動画00:11:00ころからの基調講演はAmerica MakesのExecutive DirectorであるJohn Wilczynski氏によるもので、これからだけでもアメリカでの3Dプリンティングの現状や課題をうかがい知ることが出来ます。America Makesの会員組織数は約180、約100の研究プログラムが進行中とのことで、特に2021年度の活動計画の焦点は①技術開発 ②教育・人材 ③エコシステム(循環の仕組み)とのことでした。

また今回のスポンサーである航空機メーカーBoeing社からは、3Dプリンティング研究実践組織Boeing Additive Manufacturingから複数の講演があり、00:51:20から約30分の講演では、20年以上の研究の歴史から、現在は世界中に20か所ある3Dプリンティング研究製造施設、航空機や人工衛星への累積70,000個以上(約8割が樹脂、金属増加中)の実用部品製造実績の紹介、06:51:20からの講演では、古くて再製造が難しい部品の交換部品の設計製造事例紹介がありました。数年前まではBoeing社は社内3Dプリンティング事情をなかなか公開しないことで知られていましたが、ずいぶん変わったなぁと感じました。言うまでもなく航空宇宙という特殊性はありますが、なぜ3Dプリンティングを使うのか、製造に使うには何が必要かについては長年取り組まれて得られたもので、かつどの産業にも共通しているので、そこはありがたく参考にさせていただくのが良いと思います。

3Dプリンティングの価値と課題

Boeing社以外からも大学、民間企業、規格制定組織、軍関係者から研究プロジェクトの紹介が多数ありましたが、改めて感じたことは、3Dプリンティングに関わる技術、研究分野はとても広く、またアメリカにはそれらを解明解決する研究組織、研究者が日本に比べると非常に多いということです。

もう一つ全体を通して分かることは、3Dプリンティングの価値は「設計製造プロセスのデジタル化やデータ管理を可能にすること」が全体で共通に認識されていることです。言い換えると、現存の設計製造プロセスの加工の部分だけ3Dプリンティングに置き換えることを価値とは考えていないと見られます。それが分かる理由は、既存の工業規格に合わせるのではなく、設計から評価まで一貫した別の規格を作ることに注力していること、講演の中で他の加工技術との物性や寸法精度の比較という内容がほぼ無いということからも見えてきます。

講演の中で「デジタルツイン」「デジタルスレッド」という用語が良く出てきますが、彼らが目指していることを解釈して図にしてみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

デジタルツインは現実に起こることを仮想(デジタルデータ)で再現することで設計製造プロセスを革新する手段の一つとして一般にも知られ、デジタルスレッドは設計製造プロセスの個々の工程のデジタルデータを連結活用することで、デジタルツインにも欠かせないことです。もちろんあらゆる加工機のデジタルツイン化は世界中で進められていますが、中でも3Dプリンティングはデジタルツイン化に適していることが「価値」であり、デジタルツイン化するために3Dプリンティングを使う、そのために技術開発(AIや機械学習含め)と実現する教育・人材育成が「取り組むべき課題」とアメリカでは考えられていることを学びました。図に示した通り、単に仮想空間に現実を再現するモデルを作るだけでなく、現実から採れるデータを仮想に戻して再現性を高めたり、仮想から導かれるデータを現実に戻すというサイクルで設計製造プロセスを最適かつ柔軟にしていくものと理解しています。

ドイツ中心の欧州でも「インダストリー4.0」の実現には3Dプリンティングが有効という考えがあり、もちろん欧米の方々も3Dプリンターや材料のQCDが現状実用に足りていない欠点は良くわかったうえで、デジタルツイン化をすることでその欠点も将来速く解決でき、それにより国際的な競争力を高めようとする狙いが見て取れます。

デジタルですべてのものづくりが出来るとは筆者も考えていませんが、日本でも取り入れるべきは取り入れ、「デジタルツイン実現のための3Dプリンティング」という視点で研究、評価することも必要だと考えています。みなさんはどうお考えでしょうか?

弊社主催オンラインセミナーのお知らせ

Desktop Metal社 Shop/Productionシステムで採用しているバインダージェット方式金属3Dプリンターについてお伝えするオンラインセミナーを開催します。ご興味のある方はぜひご参加ください。

「バインダージェット方式金属3Dプリンターを知る」
2021年04月22日(木) 11:00~11:45
参加費無料 定員100名 ※定員は状況に応じて、前後する場合があります。
参加お申し込みはこちらのウエブサイトからお願い致します。

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