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TCT Japan 2022に見た日本の「これから」は?掲載日:2022/02/02

先週東京で3Dプリンティングの展示会「TCT Japan 2022」が開催され、参加してきました。そこでのブース展示、講演、パネルディスカッションを通し、日本の.3Dプリンティングを含めたものづくり産業の「これから」を垣間見ることができました。それはどのようなことかというと…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

TCT Japan 2022 展示会に参加しました

前回のコラムでもお知らせしましたが、今年最初の展示会としてTCT Japan 2022が2022年1月26日(水) ~ 2022年1月28日(金) 東京ビッグサイトで開催され、弊社丸紅情報システムズ株式会社もブース出展し、筆者も3日間参加してきました。

【主催】
株式会社JTBコミュニケーションデザイン
イベント公式サイト https://www.tctjapan.jp/index.html

新型コロナ感染者数が開催前からも開催中も増え続けていたので、来場者は残念ながら通常より少なかったのは残念でしたが、そこでのブース展示、講演、パネルディスカッションを通し、日本の.3Dプリンティングを含めたものづくり産業の「これから」を垣間見ることができました。

文字や数字で表すことが出来る情報や設定された時間と人と話題の会話による情報はオンラインでも伝わりますが、現物を見ながらの会話、偶然の出会いやそこでの「雑談や脱線」を含む実際の「場」が生む対話から得られたり、五感全部で感じる情報は、オンラインでは伝わらないことも多いとあらためて感じました。もちろんこれからもオンオフどちらも利用していくことが大事なのは変わらないと思います。

ほんの一部ではありますが、会場の様子や情報をお伝えしたいと思います。

まず弊社丸紅情報システムズ株式会社のブースから。StratasysのPolyJet Objet30 Prime V5FDM F170DesktopMetalのStudio2プリンターの実機実動展示と多くのサンプルを展示しました。

その他新しいサンプルとして新製品のFDM F770 によるABSの大きなサンプル

近日国内発売予定のStratasys OriginOneH350の各種材料サンプル

DesktopMetal Studioシステムに追加された新材料Ti64(チタン合金)のサンプル

その他のブースでは、オンラインでは見たことがあって、実際に見てみたかったサンプルをいくつか見ることが出来ました。nTopology様のブースでは、山一ハガネ様が様々な複雑凹凸による3D テクスチャとと独自塗装による加飾サンプルを展示され、新しい質感の価値を提案されていました。

またKansai-3Dプロジェクトのブースでは、山本金属製作所様がFusion360のジェネレーティブデザインで形状設計、社外金属レーザーPBFと自社での仕上げ切削加工で作られたロボットアーム部品を展示され、軽さを実感することが出来ました。

これらの例のように、「考える-作る-整える-評価する」の3Dプリンティング活用に必要な新しいツールやサービスは自社だけでなく、社外の連携を使い、同時に自社の独自や得意なツールや加工を組み入れてまずサイクルを1周回し、次のサイクルを回しながら改善していくものづくりは、海外では多く見られますが、日本でもこれから広がっていくと考えています。

講演やパネルディスカッションから学んだこと

TCT Japanが良いところは、ブース展示や出展者セミナーだけでなく、TCT Conferenceとして国内外の様々な立場の方による講演会が会場内で行われることで、今回はいくつかの講演は事前録画上映、ライブオンライン講演となったことは致し方なかったことですが、おかげさまで多くのことを学ぶことが出来ました。

ここでは多くをお伝えしきれませんので、特にこれからを考えるヒントになったことのいくつかをご紹介します。

Magarimonoの小野正晴様は、デザイナーと2人で起業され、まず最初の製品としてアッパーもソールも3Dプリンティングで製造する靴をオンラインショップで完全受注制での販売を始められています。その中で、軟質樹脂と3D プリンティングで量産を委託しようと調べると、日本国内ではコストと生産能力の面で委託できるサービスが無く、中国で探すとすぐ見つかり、中国台湾に生産ネットワークを構築したとのことでした。小野様は、「日本の3Dプリンティング生産は点で考えられているが、中国では面で考えられている」、また3Dプリンティングの現状を「蒸気機関車はあるのに線路がない状態」に例えられ、国内の生産インフラが圧倒的に弱いことを指摘されていました。小野様のように「インフラも含め作れなかった人が 届かなかった人への製品を提供する」ビジネスを発想し、少人数小資本とデジタルの使いこなしで生産販売まで短期間で実現できることは3Dプリンティングの生む大きな価値ですが、それが日本では作れない、もしくは十分売れないために初めから海外を目指すケースが増え、「新しいものづくりビジネスの日本空洞化」が既に起きている実例で、「これは特殊で自分たちには関係ない」と様子見していることは今後リスクになるのではないでしょうか。一方「国産プリンターや材料がないから出来ない」という話も昔から聞きますが、それを待っていても、出来たとしても遅きに失する可能性もあり、世界のどこでも優れたツールや協働相手を見つけて使うことが必要と改めて考えました。

もう一つ、広島大学 木阪智彦准教授はアメリカとインドでバイオデザインを学ばれ、「医療現場のニーズを満たす必要十分な機能と品質を備え、かつ、実際に医療現場や患者様の手に届く価格の手ごろな医療機器等の開発とその普及に貢献する活動とともに、これらを実現するための人材の育成」を精力的に行われているそうです。ご講演の中で、インドで学ばれたこととして、イノベーションとは発明だけでなく社会実装が無ければならないこと、また「Frugal(倹約) innovation」という、限られた資源で課題を素早く解決すること、それには教育と「ニーズを捉え言葉でなくアイデアを見せる 価値を見せる」ことが必要と述べられ、これからの日本にも必要なことだと思いました。

最終日の2022年1月 28 日( 金)に 「 ビジネス志向で考えるAM活用 」をテーマにパネルディスカッションが行われました。登壇者も聴講の方も予定より少し減ってしまったことは残念でしたが、筆者がファシリテータを務め、予定の時間いっぱいまで下記パネリストの皆さんと対話することが出来ました。

【パネリスト】
三菱重工業 片岡 正人 様
NTTデータ ザムテクノロジーズ 酒井 仁史 様
金属技研 増尾 大慈 様
テュフズード ジャパン 永野 知与 様

企画段階からの目論見として、ここでは結論を求めず、異なる立場から3Dプリンティングをビジネスの点で「始めた時のいきさつと期待したリターン、それがこれまでどうだったか」と「これからどうしたいか」を話し、聞いた方それぞれが考えるきっかけを作る場としました。また参加者からの事前質問「3Dプリンティングへの投資について経営者をどう説得するのが良い?」についても話しました。これもここでは敢えて解説せず、出てきたキーワードだけご紹介します。

【始めた時のいきさつと期待したリターン、それがこれまでどうだったか】
・まずつくってみた その後最初に考えてみなかったことができた
・導入(期待したリターン)は希望的観測だった 結果人手のコストが“下がることも”あった
・(ツール以上に)プロセス(条件、工程品質管理)の重要に注目した先行者利益を期待
・技術と経済の両立を期待 アプリケーション増やして社会実装を期待
・しかし品質への解がないと終わってしまうことになる
・品質保証をしてくれるサービスが8年前に国内にはなく(今だに無く)、海外に既にあった
・ある程度量産技術が成熟したら規格と認証ができる 日本では事実に基づかいない認識(3Dプリンティングは使えない これから)がある

【これから】
・面倒な試行錯誤は必要 障壁は高い いきなり装置を買わない ビジネスモデル出来てからにすべき
・欧米では規格化 共同検証で基本技術共有で個々の負荷軽減 外注含め使えるものを使ってレベルアップ
・(3Dプリンティングの導入活用難易は)会社でコア技術と位置付けるかによる
・規格には答えが書いてあるわけではない どうすればいいかだけ 品質はプロセスで保証
・3Dプリンティングを目的にすると投資への稟議は下りない (投資・投機を引き出す事業の)手段として稟議書を書く

お読みの皆さんにも「そのとおり」「いや違う」と感想や意見はあると思いますが、殻の外と対話、ときには意見対立により、それぞれの「これから」を考え、社会実装までもっていくきっかけにしていただければと思います。

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