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3Dプリンティングでニッケル合金が出来る利点は?掲載日:2022/08/03

2022年7月28日にDesktop Metal社がStudioシステム2の新材料 ニッケル合金「IN625」の発売を発表しました。これは材料吐出法の3Dプリンターとファーネス(電気炉)での加熱脱脂・焼結で加工できるものですが、ニッケル合金が簡単な3Dプリンティングで出来ると何が良いかというと…

筆者紹介

丸岡 浩幸

丸紅情報システムズ株式会社 製造ソリューション事業本部モデリング技術部アプリケーション推進課スペシャリスト。Stratasys樹脂3Dプリンター、DesktopMetal金属3Dプリンターの国内外の活用情報収集発信、より良い活用方法提案、開発業務を主に担当。

Desktop Metal社Studioシステム2新材料 ニッケル合金「IN625」

早いものでもう8月の声を聴き、夏本番となりましたが、日本だけでなく世界的にも記録的猛暑となっていて、加えてまだマスクは必要で、どうにも重苦しい夏になりそうです。子供のころの「楽しみしかない」夏は遠い昔の話になりましたが、知恵と工夫で楽しみを見つけながら、この夏も乗り切って行きたいものです。

さて、今回は金属3Dプリンティングの材料の話で、2022年7月28日にDesktop Metal社がStudioシステム2の新材料 ニッケル合金「IN625」の発売を下記のサイトで発表しました。これは材料吐出法の3Dプリンターとファーネス(電気炉)での加熱脱脂・焼結で加工できるものです。

https://ir.desktopmetal.com/news/press-releases/detail/118/desktop-metal-qualifies-nickel-alloy-inconel-625-for

英文の説明を以下に抄訳します。

「IN625は高いレベルの強さ、耐熱性、耐腐食性で知られた高性能ニッケル合金です。その特徴により航空宇宙、化学処理、海上エネルギー産業で広く利用されています。
 しかし、その強さは複雑形状の切削加工を難しく、高価なものにしています。加工工程は一般に高度な技能者と特別なCNC工具、ツールパス、冷却液を必要とし、さらに切削時の工具の破損や変形、速すぎる表面加工硬化による材料変形が起こることも例外ではありません。
 IN625をStudioシステム 2で作ることは、速く、安全、お手頃なコストにつながります。ユーザーは直接実使用部品、もしくは重要な面だけを簡単に切削仕上げするニアネットシェイプ部品を3Dプリントと加熱脱脂焼結により直接作ることが出来ます。」

In625加工部品例

金属材料や加工にお詳しい方はよくご存じかと思いますが、ニッケルは普段の生活であまり主役になることは少ないものの、名脇役ともいえるとても重要で、身近な金属であり、あらためてどんな金属かネットで調べてみました。(参考サイト:ニッケル協会様 https://www.nickel-japan.com/

・1751年 スウェーデンの化学者Axel Cronstedtによって初めて元素として同定。地球で5番目に多い金属だが、地中深いところにある。

・1857年 アメリカが銅とニッケルの合金を硬貨として初めて使用。日本の500円、100円、50円硬貨にも使われている。

・20世紀の初めに鉄、クロム、ニッケルの合金であるステンレスが発明され、食器から機械部品まで多岐に使われている。現在ではニッケルの65%がステンレスに使われ、その70%はリサイクルされている。

・融点1,453℃という耐熱性、腐食と酸化に対する耐性、非常に高い延性を特長とし、メッキにも多用され、ニッケル水素電池の触媒にも使われる。

これだけ見ても、現代生活や産業には欠かせない金属で、リサイクルもしやすい優れた資源であることがわかります。一方、いいところばかりでもないようです。

3Dプリンティングでニッケル合金が出来る利点は?

ニッケルが基材で、クロム、モリブデン、ニオブ等との合金として有名で、航空機エンジンやガスタービン部品に使われる「インコネル(Special Metals Corporationの登録商標)」のようなニッケル基合金は優れた耐食性、低温から高温での強度、靭性、疲労強度に優れているがゆえに、熱伝導性が低く、切削熱を切り粉で逃がすことが難しいことや、加工硬化による問題が起きやすく、硬くて粘り強い難削材だそうです。

そこで金属3Dプリンティングでニッケル合金を加工し、必要な面、箇所だけを機械加工することにより、上記の課題が改善されることに加え、切削や鍛造、鋳造では作りにくい形状を加工できることが、ニッケル合金が3Dプリンティングで出来る利点と考えています。

既に金属3Dプリンターシステムでニッケル合金加工が出来るものは複数ありますが、Studioシステム2では粉末をバインダーで固めた丸棒を原料とし、バインダー脱脂に有機溶剤を使わず、サポートもセラミック境界層により簡単に取れることに加え、脱脂焼結条件も自動設定されるので技能を要せず、人への依存も少ないことから、これまでなかなか使いにくかった高性能なニッケル合金部品の活用範囲が広がるきっかけになればと期待しています。

Studioシステム2

弊社丸紅情報システムズ株式会社ではIN625での加工テストはこれからですが、活用のニーズ、アイデア、関心のある方はぜひこちらからお問い合わせください。

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