自動車部品における品質管理の標準化

自動車部品のサプライヤーであるGEDIA社は、品質管理において接触式測定器から光学式三次元測定機を置き換える新しい取り組みを進めている。光学式は多様な製品に適用できて、コストと測定時間を減らす効果があるためである。 GEDIA社は1910年設立され、自動車ボディにおける骨格部品とアッセンブリー品を開発・製造している。本社はドイツ アッテンドルンに位置し、ポーランド、スペイン、中国、メキシコに生産拠点があり、フランスとアメリカ、スウェーデンに開発センターを設立している。

接触式から光学式への転換

従来、GEDIA社はアッセンブリー品や金型の品質管理に接触式三次元測定機を使用してきたがこの取組みでは、企業成長と工場敷地の観点から限界が生じることが懸念事項となっていた。なかでもシートメタルの検査は、プレス工場から溶接工場の測定室まで何百メートルもの移動が必要な為、多大な時間を要することと、重労働であったからだ。工程を合理化する為、部品を測定室に持っていくよりも、測定機を移動させた方がメリットがあるとGEDIA社は決断した。その為に持ち運びができる測定機が必要となったのである。

この新しい品質管理の取組みは、GEDIA社が生産技術において業界をリードする上で大変重要となっている。よってGEDIA社は世界中のプレス工場や溶接工場や組立工場等生産工場において、接触式から光学式三次元測定機に置き換える施策を打ち出したのである。

従来の品質管理における課題

GEDIA社は、測定時間を削減する方法を模索すると同時に、品質を維持させることで生産サイクル時間を削減し、生産量増加を目指している。しかし接触式はただでさえ時間を要し、また複雑形状の場合更なる時間を要する為、結果として測定と検査の出力が少ないものとなってしまう。よって生産量と測定部位を増加する為に、GEDIA社は測定サービス業者に測定業務を外部委託する機会を増加させることとなっていた。 しかし高い費用と自社で品質管理のノウハウを蓄積できないといった問題を抱えていた為、新しい品質管理の取組は測定業務全体を自社で行うことで独自ノウハウを蓄積するように転換を図った。その為、新しい測定機には以下3点の特徴を求めることとなった。

  • 持ち運びできること
  • 全体形状を測定できること
  • 測定時間が短くなること

光学式測定技術による新しい取り組み

持ち運び可能なアーム型接触式三次元測定機の試行を実施したが、結果には不満足だった為、GEDIA社は接触式三次元測定機が新しい取り組みに対して有効でないと判断した。そして接触式三次元測定機から光学式三次元測定機ATOSに投資を切り替えた。ATOSは素早く全体形状データを取得できる為、GEDIA社のニーズを満たすことができた。また様々な大きさや形状の製品があり、測定業務も複雑化しているGEDIAにとってATOSは最適なシステムであった。

ATOSを選定した主な理由は:

  • 正確な三次元座標が取得でき、データ品質が良い
  • パラメトリック検査が出来る為、傾向分析からCP値など工程能力を算出できる
  • CADもしくは部品同士の全体形状での差分がわかる
  • 2D図面での評価が可能
  • 幾何公差検査ができる
  • 多様で明瞭なレポートを出力できる

金型やシートメタルの測定に使用する目的でGEDIA社はすぐにATOSシステムのデモを実施した。 また用途が制限されている接触式に対しGEDIA社は、ATOSは試作から生産工程、製品の傾向分析、PC上の溶接時の組付検証など様々な業務に対し1システムで活用できると理解した。加えて全体形状を測定出来る為、金型修正が容易にできるようになり、結果として金型が完成するまでのトライアウト回数を削減できた。また完成した金型をCADデータにすることで、コピー型を製造できるようにもなった。全体形状での明瞭でわかりやすい測定レポート、個々の測定点を表として出力することもできる。わかりやすいレポートにより議論する時間を削減でき、修正が必要な部位を効果的に見つけることができる。

次段階としての自動測定

GEDIA社はすぐに新たな要求をすることになった。更なる時間とコストの削減の為に自動測定を要求したのである。まずGEDIA社はATOSとロボットを組み合わせ、カスタマイズを行ったGOMの自動システムを導入した。そして次に自動測定を標準化する為に、ATOS ScanBoxを導入した。 カスタマイズする自動測定システムに対し、ATOS ScanBoxは自動測定から検査まで統合された完全な自動測定ソリューションであった。このソリューションは、ハードウェア、ソフトウェア、ワールドワイドでのカスターマーサービス、安全装置、マニュアルなど全てが含まれている為、ユーザーは新たな計画や投資に心配をする必要がなかった。

また輸送が容易でスペースもとらず、電源があればすぐに使用でき、かつハウジングでBOX化している為、スタッフの安全に対するリスクはなく、衝突回避の機能を用いることでATOSが測定物にぶつかる心配もない。そしてGEDIA社にとって、GOMが一社で計画、設置、トレーニング、サポートを行えることも、導入において重要な要素であった。

世界中の工場で測定を標準化

GEDIA社が最初に導入したATOS ScanBoxは、アッテンドルンのプレス工場で生産工程における品質管理として活用されている。生産工程での適用の為に開発されたATOS ScanBoxは、ロボットにガイドされるATOS Triple Scan 3Dセンサーによって自動測定が実施される。また自動車サプライヤーにとっての他のメリットとしては、ATOS ScanBoxは製造ラインのスタッフでも簡単に操作でき、測定、検査、レポート化は全て素早くかつ容易に処理することができる。

これを可能にするのは、標準化された自動測定用ソフトウェアVMR(Virtual Measuring Room)であり、VMRによってソフトウェア上で実際の環境を再現して、ATOSの動作を指示することができる。またVMRにより、ロボットの動作教示を操作パネル等なくドラック&ドロップのコマンドで行える。さらにVMRでは実際の製品はなくても、オフラインティーチングによってCADデータを使用して処理ができる。

アッテンドルンのプレス工場ではATOS ScanoBoxによって接触式での測定時間に対して、GEDIAの予想を超える半分以上の削減を達成した。加えて光学式測定技術では高価な測定ゲージも必要としなくなった。

次に導入したATOS ScanBoxは、GEDIA社にとって重要製品であるドイツ高級車のリアエンドのアッセンブリー部品の品質確認として活用されている。 GOM社はプレス品、アッセンブリー品と多様な大きさの製品に対し、様々な仕様のATOS ScanBoxを製造している。

そしてGEDIA社は3台目のATOS ScanBoxをポーランドの工場に導入計画を立てている。さらにスペインとハンガリーの向上にもATOS ScanBoxを導入する予定である。今後ATOS ScanBoxが様々な工場に導入されても、GEDIA社は品質管理を一元化することができる。ATOS ScanBoxでの測定、検査は標準化できる為、様々な工場でも同じ品質管理が可能な為である。よって別工場での検査結果でもトレーサビリティを取ることができる。

GEDIA社は将来的には全ての工場にATOSシステムを導入することで品質管理の再編成を完了し、そして生産技術で業界をリードすることを最終的なゴールとしている。

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