光学式3D測定で安全性や乗り心地の向上に貢献

近年、自動車業界では製品開発競争の激化により開発サイクルの短縮と更なるコスト低減が求められている。同時に環境面でも厳しい排気ガス規制に対応しなければならない。そのため、燃費向上のための軽量化部材や新素材の活用による車両の軽量化が求められており、一方で安全性と耐久性に対する高い基準も同時にクリアするという課題にも直面している。これらの問題を解決するソリューションとして、自動車実験分野でGOM社製品が活用されている。

従来手法から光学式測定への置き換え

GOM社光学式測定技術は、衝突試験、疲労試験、温度環境試験、風洞試験といった安全性・信頼性・性能の評価試験において幅広く利用されている。ひずみゲージや加速度センサーなどの従来手法から置き換えて活用することで、設計・解析・評価の開発サイクルの短縮を実現している。

ARAMIS(PONTOS)のポイントベース測定は、ダミーの3Dの変位ベクトルと完全な6自由度分析を可視化でき、また軌跡も評価・可視化することができる

アウディ、ダイムラー、BMW、ポルシェ、VWといった自動車メーカーや、オートリブ、ボッシュ、コンチネンタル、TRW、ZFといった部品サプライヤーでは、実験分野での光学式計測の有用性を理解し、様々な既存の試験設備に組み込んで活用している。

衝突試験における6自由度分析

スレッド試験では、一般的にARAMIS(PONTOS)のポイントベースの測定手法を用い、試験シート・シートベルトなどの身体拘束システム・内装品コンポーネントの高速な挙動を捉えている。ARAMIS(PONTOS)を用いた試験では高価な試作車や完成車の破壊は行わずに、決められた速度に加速するだけの試験準備で済むため、車両前方・側部・後方への衝突を安価にデモンストレーションすることができる。ポイント測定では3D変位ベクトルを表示することができ、また試験における実際の速度、加速度も測定することができる。測定結果はシートやダミー人形の挙動を特定するのに活用されている。

測定データに基づき、正確にダミーの頭部や体が車両の中でどのように動くかを分析することができる

また、6自由度分析によるダミーの頭の回転や移動、頭の動きの軌跡,ヘッドレストに頭が当たる速度、足の挙動を測定している。テストエンジニアは、ダミー人形の頭や体の挙動の3D測定結果を活用することで、シートやシートベルトの安全性、衝突時の頭への衝撃の危険度を正確に分析することができる。3D形状データと挙動データをリンクさせることで、頭部と窓ガラスなどの車両コンポーネントとの干渉・衝突の度合いを定量化することも可能である。ARAMIS(PONTOS)のポイントベースによる測定は、様々な試験設備に組み込むことができる。

  • 測定したい部位にマーカーを貼るだけで測定可能、準備工数が大幅に削減
  • タッチプローブを併用することで、車両座標系の基準を取得可能
  • 光源はシステムに組み込まれているため、外乱光の影響なく様々な環境で使用可能
  • 試験設備から出力される様々な信号を撮影トリガーに利用
  • ハイスピードカメラシステムへの組み込み対応(1,000,000Hzの高速挙動測定実績も有)
  • 長時間の連続撮影、データ記録
  • アナログ信号(荷重/距離/角度/トルク/温度など)を連続記録

3D表面のひずみと変位のコンターによる可視化

安全性に関わる部品の評価において、動的変形を3D表面全体で分布測定することが非常に重要な場合がある。ARAMISによる全体表面測定は、衝突試験・エアバック展開試験・タイヤ回転試験などの様々な試験で頻繁に活用されている。

ARAMISハイスピードカメラシステムで取得された3D表面全体の測定データは、高い信頼性を以て、フロントガラスの亀裂伝播の評価に用いられている

エアバックとそのハウジングの展開時の特性は、ARAMISハイスピードカメラで分析されている。3D全体表面データから、3Dひずみ分布と3Dの各軸方向変位を測定することができる。衝突試験も分布測定が用いられる場面の一つであり、たとえばフロントガラスのような部品の試験においてARAMISが使用されている。

近年の自動車の窓は複数の材料の層で構成されており、解析で正確な変形状態を予測することは困難である。ARAMISでは全体表面の分布測定が可能なため。目に見えないような亀裂の伝播も発見することができる。

環境試験:静的変形の分析

品質保証の領域は動的な部品やコンポーネントの挙動だけでなく、静的な変形前後の評価もカバーしている。GOM社の提供するTRITOPは、フォトグラメトリという手法を用いたポータブルなシステムであり、ポイントベースで3D座標とその静的な3D変位を計測できるシステムである。TRITOPは環境試験において、様々な温度環境下でのボデーの変形や隙間/段差の変化をポイント測定するうえで活用されている。

衝突試験の結果を示す図表付きビデオ、これはBピラー及びドアの客室への陥入量を測定したものを示している

その測定結果は使用された材料剛性や設計品質の分析ができ、他にも車の前面衝突試験の前後の変形量の可視化に活用されている。変形前後の3D座標系上での各方向の変位量とベクトルがわかるため、たとえばA/B/Cピラーの変形を把握することができる。

またポイント測定で不十分な場合、光学式3DスキャナATOSを活用することで部品/車両全体形状と寸法を測定できる。これにより個々の部品の変形前後の全体形状データを取得することができる。例えば車体の全体形状データを取得し、衝突試験でのエネルギー吸収力を評価する用途で活用されている。

光学式計測は乗り心地・安全性・耐久性の向上に貢献

自動車業界は厳格な安全規制があり、国際規格もよく変更されるので,測定機器は柔軟で簡単に使用できる必要がある。新しい光学式測定システムは、非接触で静的・動的・点・全体形状で変異やひずみを多点同時測定し分析することができる。測定範囲やフレームレートは、試験に応じて柔軟に調整ができる。これにより光学式計測システムは、従来のひずみゲージ・加速度センサー・伸び計などから置き換わってきている。

測定された3Dの測定データは履歴として残しておけるため、試験後の評価も可能である。測定結果はグラフや動画や画像で表示される。3D測定結果は、安全リスクの評価・部品の耐久性・クリープ・寿命評価・老朽による外観変化、振動解析などを評価する為に活用されている。このような測定結果は、安全性・快適性・耐久性・製品設計の改善に貢献している。

FEM解析結果の妥当性検証を目的とした3D変形計測

GOM社測定システムは、解析結果の妥当性検証にも用いられ、解析パラメーターの見直しや改善、現在および将来にわたる設計プロセスの最適化に貢献できる。結果としてGOM社測定システムのユーザーは、トータルの試験回数を減らし製品開発サイクルを短縮するモデルベースデザイン(MBD)に対応することができる。これはコスト低減要求やイノベーションへの要求が強い市場環境に置かれている自動車メーカーやそのサプライヤーにとって、競争力の強化につながるものと言える。

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