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AKAISHI 導入事例

AKAISHI写真

「命を吹き込む」──。
商品開発はときに、そうたとえられる。
素材に形や機能を与え、価値あるものにしていく。
日々企業でおこなわれている商品開発は、まさにそうした作業の連続である。
しかし現実には、命を吹き込む作業は決して生やさしいものではない。
静岡市にある高機能フットウエアメーカーの『AKAISHI』。
同社は20年ほど前に商品開発をスタートして以来、数々のヒット商品を生んでいる。
その裏には何があるのか。見えてきたのは、商品に命を吹き込むための、執念にも似た熱情だった。


FORTUS 400mcについて

新型FORTUS 400mcは、ベースユニットとなるFORTUS 400mc-S(造形エリアS)と、造形エリア拡張オプションを追加し大型造形ができるFORTUS 400mc-L(造形エリアL)の2機種となります。造形樹脂材料はオプションの新樹脂ABS-M30、PC、PC-ABS、PPSFから自由に選択できます。初期導入は安価なFORTUS 400mc-Sからスタート、造形エリア拡張や他樹脂が必要になった場合にはオプションを追加することで、自在に機能拡張可能なリーズナブルな新システムです。

FORTUS 400mc
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メーカー転進後に急成長

メーカー転進後に急成長静岡駅から車で国道1号線を15分ほど南西に行くと、東海道五十三次の宿場の一つである「丸子」という町に着く。ここにAKAISHIの本社がある。取材を受けてくれたのは、商品開発セクション機能設計グループの村岡真氏、高塚浩史氏、池田茂夫氏だ。
「当社は1946年に下駄生地の製造を請け負う事業で創業し、時代の変遷とともにサンダルやシューズの部材を製造するようになりました。サンダルメーカーに納めていたのですが、最盛期には4トントラックの荷台が納品の荷物であふれていたと聞きます」
静岡市。その昔ここは塗り下駄の産地だった関係で多くのサンダルメーカーが誕生した。1970年代に、その数は約120社にものぼり、海外への輸出も行われた。ところが80年代に、中国製品や円高の影響によって淘汰の波が襲い、今では20社ほどに減ってしまっている。
「時代の波を受けて、当社の業績も大きく変動していたため、2代目社長の方針で下請けではなくメーカーに転業することになりました。1990年のことです。」
「メーカーに転業」といっても、当時はそのメーカー自体が淘汰されている状況で、従来のサンダルメーカーと同じことをしていたのでは同じ轍(てつ)を踏むことになる。そこでAKAISHIは、同時にもう1つの事業部を立ち上げる。「健康事業部」である。
「高齢化社会に突入すると必ず『健康』がキーワードになってきます。その健康に関するさまざまな商品を開発していくことになったのです」
サンダルを柱にしながらも、同社が「NB商品」と呼ぶ、足ツボを刺激する足踏みマット、肩こり解消用のマッサージ器具、足指の間を開いて外反母趾を予防するクッションなどを数多く開発。するとこれらの商品の多くが大ヒット商品となる。
「当時問屋からは、『どんな商品でもいいから開発したらすぐに納品して欲しい』と言われるほど、飛ぶように商品が売れました」
こうしてAKAISHIはメーカーとして順調なスタートを切るが、これは単に健康ブームに乗っただけではない。当時開発した商品の中には、今なお売れ続けている人気商品があり、その後新しく開発した商品も「10に1つはロングセラー」となっている。
「当社はお客様が高い満足感を得ることができる商品づくりをモットーとしています。その実現のために、メーカーとなって以来あることを徹底して追求してきました」


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「確かな機能」という生命線

「確かな機能」という生命線

AKAISHIが常に追求しているもの、それは『確かな機能』である。
「『疲れにくくなる』というキャッチフレーズのサンダルを使用した人が、立ち仕事で普段よりも疲れを感じてしまう。また、『外反母趾のケア』に役立つ商品を使用したはずが逆に外反母趾を悪化させてしまう。このようなことは絶対にあってはなりません。お客様に満足していただける機能が確かに備わっていることが当社の商品の生命線なのです」
しかし、商品が確かな機能を持つためには、裏づけがなければならない。そこでAKAISHIは、あらゆる方法でデータベースの構築を行っている。
2003年、AKAISHIは「ArchFitter(アーチフィッター)」と名付けたサンダルを開発する。足の土踏まずの部分に、アーチ型の突起を当てることで疲れにくくするものや、足ツボを刺激してダイエットや美脚づくりに役立つものなどがある。これらはブランド化され、現在、同社の売り上げの柱となっている。
「こうしたサンダルを開発する場合、まずは当社のスタッフが足の構造を知っておく必要があります。そのため、医療機関や大学とコラボレーションして、医師を講師として招いて勉強会を開催したり、大学の先生に研究を委託したりすることで、医学的に根拠がある健康の裏づけとなる情報を収集しています。また、店頭でフットケアカウンセリングを実施し、実際の足型を採取して情報を集めてデータベース化し、そのデータに基づいて商品の開発を行っています」
商品開発セクションは「デザイン」、「機能設計」のほかに「機能検証」のグループが独立して存在する。商品が間違いなく機能を発揮しているかを確かめるために、試作品を使って検証を行うグループだ。
歩行中の筋肉の活動量、酸素消費量、関節の角度、足圧分布などを測定したデータだけでなく、複数のモニターにサンダルを実際に履いてもらい、履き心地などの感想も採取しながら検証を重ねていく。
「こうした検証の積み重ねによって、お客様に満足してもらえる機能を付加することができていたと思います。しかし、現場のスタッフからするとまだまだ不満があったのです」


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検証が思うようにできない

検証が思うようにできない

現場が抱えていた不満の原因、それは検証が思うようにできないことにあった。
新しく開発したサンダルが商品化されるまでには、コンセプトを決めたあと、デザイナーが3D CADでデザインし、それをもとに「ラスト」と呼ばれる足型の試作型をつくる。試作型をもとにして作られた試作品を検証し、それが終わると本型を製作する。しかし、試作型をつくれるのはわずか1回。それはすなわち、試作品も1つしかつくれないことを意味していた。
「原因は試作型の製作コストでした。当時、試作型を外注していましたが、製作にかかるコストが高く、作れば作るほど製作コストがかかるので1回だけに止めざるを得ませんでした」
納期の問題もあった。サンダルは夏限定で売れる商品が多く、タイミングよく商品を売り出すことがとても重要だ。しかし、試作型を外注に出すと納品までに10日間もかかり、大きな時間のロスとなっていた。
外注コストが原因で、試作型が1回しか作れず納期もかかる。
「もっと検証したい」商品開発の現場スタッフから沸いたこの声を聞いた社長の決断はすばやかった。2006年半ば、導入することになったのが3DプリンターのDimension(ディメンジョン)だ。
「外注コストがかかるならば試作型の製作を内製化しようと考えてDimensionを導入しました。あまりコストをかけずに試作型を作れるので、納得がいくまで作り直して検証ができる。Dimensionを導入したことで試作型をつくる回数は10回にも及ぶこともありました」
DimensionはサンダルだけでなくNB商品の開発でも使われはじめた。3D CADデータからダイレクトに試作品を造形するようになった。
「型を作ることなく試作品を作ることができる。『これは使えるな』と思いました。当社の商品は『使い心地』がとても重要なので、それを気軽に確認できるようになったことは大きな収穫でした」
できあがった商品は評判を呼んだ。ところが、しばらくすると類似商品が出回るようになり、それらと差別化を図るためにより複雑な形状が求められるようになる。
「それにより、新たな課題が出てきてしまったのです」
AKAISHIは、さらなる決断をする。


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検証の理想形にたどり着く

検証の理想形にたどり着く

2008年、AKAISHIはフェイスマッサージ用の商品を開発していた。取っ手の先端にローラーが付いており、それを顔に当てて上下させることで、ローラーがクルクルと回って頬を刺激するというものだ。
「この器具は、顔に当てた時に取っ手部分が大きくしなるため、Dimensionの材料であるABS樹脂だと強度が足りず、割れてしまうなど上手く検証ができませんでした。この問題を克服するためには、実際に商品で使う素材か、それと同等の素材で製作した試作品で検証する必要がありました。すでにある5軸のNC加工機は、木型を切削するのにフル稼働の状態で、試作型を切削するために、さらに切削機械を導入するという案もでました」
NC加工機で簡易型をつくり、そこに材料を流し込むことで試作品をつくるという作業は、切削機械や材料のコストが問題となる。さらにNC加工機は使用時にカッターの取り付け調整やデータチェックなどの手間がかかる。少人数の機能設計グループ内で、手間をかけてNC加工機で型(金属)加工に対応することは事実上困難だった。
「そこで3Dプリンターで丈夫な材料が使えるものはないか探しました。注目したのが『FORTUS 400mc(フォータス ヨンヒャクエムシー)』でした。造形材料に、高強度のポリカーボネートが使え、マシンに3D CADデータを送るだけで試作品が作れるので手間もかからない。さらにNC加工機と比べると価格も安いことから導入を決めました」
これにより、強い負荷のかかる商品の試作品でも、破損することなく検証ができるようになった。そして、AKAISHIでは検証の精度をさらに高めるために、FORTUS 400mcを使い、これまでにないまったく新しい取り組みに着手する。
「ポリカーボネート(PC)を使用し、『量産時に近い』材料で検証ができるようになりました。ただ理想をいえば、『量産時と同じ』材料で検証できることがベストです。FORTUS 400mcの造形材料には、PCのほかに、ポリフェニールソルフォン(PPSF)がありました。このPPSFに着目しました」
PPSFは耐熱性、耐薬性に優れ、射出成形時に変形することもない。AKAISHIが考えたこと、それはFORTUS 400mcによって簡易型を製作することだった。
「早速、PPSFで簡易型をつくり、ポリアミド、ナイロン、ポリプロピレン、エラストマーなどのいろいろな材料を流し込んで、射出圧70MPa(メガパスカル)で各10個ずつ射出成形しました。できあがった試作品で実際の使い心地を比較し、最終的にはナイロンで成形した試作品が頬に最もフィットするということで、ナイロンでの商品化が決まりました。事前に聞いていた『約200℃まで耐えられる』という言葉通り、200℃の高温でも簡易型が溶けることはありませんでした。実際には230℃まで耐えられるのではないでしょうか。鋳物で金型を作らずして、量産品と同じ材料で検証することができるようになった。まさに検証の究極の姿が実現したと言えます」


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時間をかけてでも

時間をかけてでも

FORTUS 400mcが導入されたのは2009年2月。それからわずか1ヶ月の間に、3つの簡易型を製作した。
「簡易型がつくれるようになったということは、形状はもちろん、どの材料が最適なのかも事前に検証できるようになったことを意味します。検証の幅がさらに広がりました」
機能設計グループの3名は、最近開発したばかりというある商品を取材陣に手渡した。フェイスマッサージ用の器具である。
「ちょっと実際に試してみてください。気持ちいいでしょ?この商品もローラーの位置はどこがもっとも気持ちよく感じるかなど、PPSFの簡易型で何度も何度も試作品をつくって検証して開発したものです。おかげさまで、好評をいただいています」
これまで1商品あたりの開発期間は半年ほどだったが、最近はあえて1年ほどかけるようにしているという。
「中途半端な状態で発売した商品よりも、検証を積み重ねて確かな機能を確実に付加して発売した商品の方が、結果的にロングセラーになることがわかったからです」
商品に命を吹き込むためなら、どんな研鑽も設備投資も惜しまない。その一途な姿勢が、AKAISHIの今を支えている。


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