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独立行政法人 雇用・能力開発機構 北海道職業能力開発大学校(愛称:北海道ポリテクカレッジ) 導入事例

STRATASYS社 Dimension

コンピュータ上の3次元データを、自動的に立体造形するシステム。ABS樹脂を造形材として使用し、その特性を活かしてさまざまな機能テストにも対応します。
コンパクトな筐体でオフィス環境でも利用できる60dB以下の静寂性を備え、デザイナーや設計者がネットワークプリンタを利用する感覚で、3次元モデルをデスクサイドでも出力できる3Dプリンターです。

Dimension
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profile
1953年生まれ 出身地山梨県
1978年 職業訓練大学校 機械科卒業
1984年 青森職業訓練短期大学校 生産機械科講師
1995年 宮城職業能力開発短期大学校 生産技術科講師
1999年 同助教授
2001年 北海道職業能力開発大学校
生産機械システム技術科助教授
2002年 同教授 現在に至る

まさに、時間との戦いである。
人は、一定の技術を身に付けるためには相当の年月を要する。専門学校なら2年、医学部や薬学部にいたっては6年と、1つの技術を血や肉にするには長い歳月 が必要だ。だがここに、わずかな時間で一通りの技術を身に付けさせることを使命にしている人物がいる。
北海道職業能力開発大学校の中田教授だ。中田教授は社会人向けに授業をおこなっているが、期間はわずかに6か月。その短い間に企業で通用する技術を身に付けた人材を育成しなければならないのだ。
「正直、難しい作業です。しかし今ではその問題もかなり克服されました」
中田教授はいかにしてその難題を乗り越えたのか。その秘密に迫った。

短期間で一通りの技術を

北海道職業能力開発大学校昔、その海は一面にかがり火が灯っていたという。
小樽市、石狩市に面する石狩湾は、1950年代前半までニシン漁をおこなう漁船で埋め尽くされていた。1986年に建てられた北海道職業能力開発大学校、通称「北海道ポリテクカレッジ」は、石狩湾を望む場所に建っている。
職業能力開発大学校は厚生労働省の所轄の大学校で、独立行政法人「雇用・能力開発機構」が運営している。全国の各地方ブロックごとに設けられ、その数現在11校。北海道ポリテクカレッジはその1校である。
「ここは実際の生産現場と同等の実習をおこなうことで、企業で通用する人材の育成を図ることを目ざしています。そのため理論はもちろんですが、より実践的な内容の授業が多いのが特徴です」
学生は高校卒業者が対象で、専門課程と応用課程があり、それぞれ2年制となっている。専門課程修了後にそのまま就職する学生もいれば、応用課程に進み4年間学ぶ学生もいる。
中田教授は応用課程の生産機械システム技術科に属し、主に機械装置の製作を教えているが、もう1つ別に受けもっているのが社会人向けのコースだ。
このコースは離職者を対象としており、現在、1年コースと6か月コースがあり、中田教授が担当しているのは6か月コースの『機械CAD技術科』である。
「このコースは2次元CAD、3次元CADを使って、機械装置の図面作成が一通りおこなえることを目ざしています」
しかし、『設計』だけ教えていればいいのかというとそう単純ではない。実はここに中田教授が抱えていた悩みがあったのである。


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遅々として進まない「加工」の授業

「北海道の企業の多くはまだ専門化されておらず、『設計』だけの仕事はそうあるわけではないのです。設計だけでなく『加工』の知識もないとなかなか企業に採用されません。そこでCADによる設計と並行して機械加工の知識も教えることにしたのです」
だが、CADは設計のプロでも習得が難しく、企業で通用する人材を育成するためには機械要素(機械の部品)、製図規格、投影法、各種図示法など、教えなければならないことが数多くある。
「これが1年や2年なら余裕があるのですが、わずか6か月の間に設計も加工も教えなければいけない。それも当大学校は単なる知識ではなく『使える技術』を 身に付けさせることを目的としているため、そのレベルまで持っていかなければなりません。かなり無理が生じていました」
中田教授は、3次元CADで設計したものをNC工作機械などを使用して加工していたが、短い間で加工を教えるにはあまりに不向きだったという。
「CAD実習室と工作室は別の部屋にありますから、そこまでわざわざデータをもっていかなければならず、新たにソフトもなければならない。加えてカッター の取り付けやデータチェックなども難しく、加工にも時間がかかる。同じものを何個もつくるのには向いていますが、受講生が設計するものはそれぞれ違うの で、それを加工するとなると手間と時間がかかり、『使える技術』までもっていくことがなかなかできなかったのです」
転機は3年前だった。「いいツールがありますよ」。中田教授はある人物からそう助言される。相手は青森職業能力開発短期大学校の成田敏明教授である。
「以前、私は青森の短期大学校に勤めていました。つまり成田先生は元同僚なんです。青森にいったときに相談したところ、『便利なツールがあってもうすでに使っている』と。それが3D造形機のDimensionでした」


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時間短縮から生まれた製作課題

中田教授は成田教授からDimensionの販売代理店を紹介され、さっそく3次元CADのデータを送り造形してもらった。
「聞けば、材料も丈夫なABS樹脂で、軽くて複雑な形状ができる。仕上がりも思った以上にしっかりと造形されていました。そしてなにより、1つ造形するのに数時間しかかからないということ。これは使えるなと思いました。」
Dimensionという新たなツールの存在。これによって中田教授はあることを思いつく。受講生への製作課題である。
「加工の授業の短縮が可能になったため、さっそく課題を出すことにしました。親しみやすい身近なもので、それでいて教育訓練課題として効果的なものはないかと考えた結果、『二穴パンチ器』を選んだのです」
二穴パンチ器は、一般に「パンチ器」などと呼ばれ、紙に2つの穴を開ける事務用機器だが、その構造は意外に複雑だ。受講生たちはそれを分解して構造や機構 などを観察するところから始め、力学的な計算などをおこなった後に3次元CADで設計していった。
「二穴パンチ器は大きく、『パンチ台』と『レバー』に分かれるのですが、パンチ台はフライス盤加工や旋盤加工などで製作し、レバー部分を Dimensionで造形することにしました。パンチ台は通常金属などでできており、形状的自由度が少ないのですが、レバー部分は形が変わっていても機構 的に大きな影響がないため、造形法の柔軟性を最大限に活用し、受講生それぞれにデザインが違ったものができあがりました。これは大きな収穫でした」
中田教授は2004年、2005年と続けてこの製作課題を出したが、実はDimensionはその時点では購入していなかった。前述の販売代理店に製作を依頼していたのだ。
「と りあえず受講生の反応を見てみようと思ったのです。結果からいうと、Dimensionを使った製作は非常に大きな効果がありました。それまでパソコンの 画面上でしか表現できなかった複雑な形状が、実際に形となって現れる。これを目の当たりにして、受講生のやる気がまったく違ってきました。そして、加工の 授業に費やす時間が減るので、設計と加工の両方を教えることができる。これは購入するしかないと」
2006年春のことだ。


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小樽を、北海道を照らす若者たち

中田教授は応用課程で「壁歩行をする作業ロボット」を学生たちと製作しているが、今後、このロボットの部品にも、Dimensionで造形したものを使うことを考えている。
「Dimensionによって従来できなかったことにトライできるようになりましたので、今、短い間でより効果的に教育できる新しい課題も考案中です。これによって学生たちの意欲や技術を少しでも高めることができればと」
2005年冬、『機械CAD技術科』の受講生たちはそれぞれ就職先を見つけて巣立っていった。中田教授は受講生たちの就職のときにある計らいをした。
「企業に推薦状を書く際、各自が製作課題でつくった二穴パンチ器の写真を撮って添付しました。『こんなものもつくれるんですよ』と伝えたくて」
小樽の海からかがり火が消えてすでに半世紀が経つ。だが今、若者たちが確かな技術を身に付けて1つの灯となることで、小樽を、そして北海道を照らし続けていくことだろう。


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