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MSYS(丸紅情報システムズ)

岩手県立大学 導入事例

STRATASYS社 Dimension

コンピュータ上の3次元データを、自動的に立体造形するシステム。ABS樹脂を造形材として使用し、その特性を活かしてさまざまな機能テストにも対応します。
コンパクトな筐体でオフィス環境でも利用できる60dB以下の静寂性を備え、デザイナーや設計者がネットワークプリンタを利用する感覚で、3次元モデルをデスクサイドでも出力できる3Dプリンターです。

Dimension
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profile

1982年
神戸大学大学院工学研究科修士課程土木工学専攻修了
日本アイ・ビー・エム 東京基礎研究所研究員

1992年
博士(工学)取得 (筑波大学 博乙第七七六号)

1995年
岩手大学工学部 講師
ニューヨーク州立大学StonyBrook校訪問教授(平成8年~平成9年)

1998年
岩手大学工学部 助教授

1999年4月~
岩手県立大学 ソフトウェア情報学部 教授

独自開発ソフトウェアによる3Dプリンター活用の可能性

岩手県立大学ソフトウェア情報学部では、医療現場において診断や術前計画を支援するソフトウェア「Volume Extractor」を開発。「Volume Extractor」とDimensionを組み合わせることで、より容易かつ確実な術前計画を可能にするシステムを開発しています。そのユニークな取り 組みについて、同学部の土井章男教授にお話をうかがいました。

それではまず、土井先生のおもな研究内容をお教えください。

土井教授:

CGを使った可視化や画像処理がおもな研究内容になります。最近では医療系への応用に取り組んでいて、手術シミュレーションやセグメンテーションなどの研究を行っています。


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Volume Extractor上で抽出した

Volume Extractor上で抽出した
頭部の画像。

セグメンテーションというのはどのようなものでしょうか?

土井教授:

ひとことで言えば、体の部位ごとに形状データを取れるようにすることです。近年の医療では、CTやMRIといった優れた診断装置が利用できます。しかし、 これらはあくまで2次元の断面画像群――つまりスライスデータなんですよね。大きな腫瘍などならばスライスデータからでも発見しやすいのですが、血管や神 経繊維などのように空間的に張り巡らされたものは、非常に把握しにくいのです。そこで、2次元断面画像群から3次元形状モデルを生成し、たとえば頭部でし たら大脳と血管、神経繊維、腫瘍などを区別した上で同時表示できるようにする。そうやって部位ごとに分けることで、患部の把握を容易にするのです。このシ ステムは、「3次元領域を抽出する」という意味から「Volume Extractor」と命名しています。


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Volume Extractorを開発するようになったきっかけをお聞かせください。

土井教授:

しばらく前から、医療系の大学の先生と共同研究をしているんです。岩手医科大学の脳神経外科、千葉大学の整形外科などですね。
医療現場の方の意見を聞いてみると、大脳と血管の関係を詳しく知りたいというような要望は結構多い。神経もそうですね。主要な神経を切ってしまうと後遺症 の怖れがあるので、確実にそれを避けたいというのです。ところが、これまではどこをどう切るかという判断は、「この辺は大事そうだからやめよう」といった 感じで、いわば医者個人の経験と勘に頼る部分が大きかったのです。
さらに、必ずしも熟練医師が対応できない場合もあります。例えばくも膜下出血。死亡率が高く、緊急の処置が必要になりますが、専門の脳神経外科医がいない 救急病院もあります。こうした場合でも、適切に診断を支援できるシステムを構築したかったのです。どの救急病院でも一定水準以上の診断と手術ができるよう になれば、患者としても安心できますしね。


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実際にDimensionで造形した頭部。灰色の部分はABS樹脂が固まるまで使われる補助剤

実際にDimensionで造形した頭部。灰色の部分はABS樹脂が固まるまで使われる補助剤。

このソフトウェアとDimensionとを組み合わせて、
人工関節の術前計画システムも構築中とうかがいましたが。

土井教授:

人工関節はご存じの通り、関節がすり減ったときに代替に埋め込むもの。これでまた20年くらいは普通に歩けるようになるので、多くの人に利用されていま す。実際、毎日2件のペースで手術をこなしているような先生もいます。ところが、これまでは人工関節の手術を支援するシステムはありませんでした。医師が レントゲン写真をもとにサイズやはめ込みの向きを決めるのですが、これはあくまで2次元の話。実際に手術を行ってはめ込んでみたら、うまく合わないことも あります。その場合、いったん取り出して、また別のものを取り付けなくてはなりません。医師にも患者にも負担がかかっていたんですね。
そこで、Dimensionを用いて関節部分を3次元の模型として抽出します。これをもとに術前計画を立てれば、サイズや向きはもちろん、人工関節のどの 部分にどのくらいの負荷がかかるかといったことまで、事前に詳細に把握できるようになるのです。


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ラピッドプロトタイピングに
ABS樹脂を用いるDimensionを選択されたのは
どのような理由からでしょうか?

土井教授:

まず、排水設備などの特殊な設備が不要という手軽さです。どこにでも設置できるというのは大きな強みです。品質的にも十分ですし、価格面でもだいぶ有利で すよね。それに、手元で簡単に模型を抽出できるということは、実は個人情報保護法の観点からも有利なんです。外注――つまり、患者の個人情報を外に出さず にすむので、医療現場での利用にはたいへん向いているといえます。


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Volume Extractorは、
実際に「製品」として販売されているとうかがいましたが、
詳細をお聞かせください。

土井教授:

現在は「シリウス」という製品名で販売しており、実際、いくつかの病院で導入されているんですよ。セグメンテーションや画像処理に関しては、医療用の有名なソフトもあります。これに比べれば機能は制限されますが、価格面ではかなり有利といえるでしょう。
また、操作性が優れているというのも大きなアドバンテージです。いくらソフトの機能が豊富でも、臨床の医師や技師が使いこなせないようでは意味がないです からね。その点、Volume Extractorは、誰でも簡単に操作できるようになっています。


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Volume Extractorの研究は平成17年の
科学技術振興機構「独創的シーズ展開事業 大学発ベンチャー創出推進」に
採択されたとのことですが。

土井教授:

おかげさまで研究にも弾みがつきます。現在は、Volume Extractorからラピッドプロトタイピングに直接データを渡せるような仕組みを開発しているところ。ポリゴン※1[微小三角形]のデータが大きすぎると、STL※2にするときに処理が追いつかなくなるという問題があるので、そのあたりの圧縮と精度、処理スピードなどのバランスについても研究中です。これが完成したら、製品として丸紅ソリューションさんから販売していただくことにもなっているんです。
3年後くらいを目処にベンチャーとして立ち上げて、将来的にはきちんと利益を上げていかなければならないので、それはそれで大変。しかし、やりがいはある 仕事だと思っています。企業では採算などの面から開発に踏み切れない分野でも、大学ならば身軽に取り組めますしね。コアとなる技術だけは大学が特許として 押さえ、その後の改良や販売などは企業に任せるというような連携も可能になるでしょう。      

※1 ポリゴン
3Dコンピュータグラフィックスにおいて、立体の形状を表現するときに使う多角形。三角形が使われるケースが多い。ポリゴンの数を増やせば増やすほど表現が精細になっていくが、計算量が増えるため、描画に時間がかかるようになる。

※2 STL(Stereo Lithography)
3次元CADシステムから3次元積層造形装置へデータ出力する際に使われる3次元データファイル形式。


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それでは最後に、土井先生の教育や研究に対する考えをお聞かせください。

土井教授:

教育については、とにかく基礎力が大切。社会に出て行くにしてもなんにしても、基礎ができていなければ応用も利きませんからね。逆に、基礎さえしっかりと していれば、どんな応用もできるのです。また、個人的な研究姿勢としては、「実学実践」ということを貫いていきたいですね。これは、私が元もと一般企業出 身ということもあるのでしょう。純粋におもしろいからという研究もいいのですが、やはり机上の空論ではなく、社会で実際に役に立つ実践的なものを研究して いきたいと思います。


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