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九州工業大学 導入事例

先端金型センター

北部九州。今、この地域が空前の活況に沸いている。
日本を代表する大手自動車メーカーが次々と進出し、2006年の1年間に100万台以上を生産。今や『カーアイランド』と呼ばれるまでになっている。
そんな中、九州工業大学に『先端金型センター』なるものが設置された。
「確かに北部九州の自動車産業は活況を呈しています。しかし決して安泰というわけではありません。だからこそ、このセンターが設立されたのです」
楢原教授はそう語る。
北部九州の自動車産業に迫っている問題とは何なのか。そして『先端金型センター』はどんな役割を果たそうとしているのか。先端金型センター研究員も務める楢原教授が、そのすべてを語った。


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世界の自動車の50台に1台は『Made in 北部九州』

世界の自動車の50台に1台は『Made in 北部九州』2007年1月10日。福岡県太宰府市の九州国立博物館であるイベントのオープニングセレモニーが催された。『クルマの歴史と未来展』である。
これは北部九州の自動車生産年間100万台突破を記念して開催されたもので、福岡県知事など数多くの関係者が出席した。
「かつては100万台を目標にしていましたが、それを達成してしまった今は、150万台をめざしているようです。それくらい九州の自動車産業は好調です」
北部九州の主な工場は、福岡県のトヨタ自動車九州、日産自動車、大分県中津町のダイハツ九州だ。
1975年に日産自動車がエンジンの生産を九州で始めるなど、以前から自動車メーカーが進出していたが、それが一気に加速したのは2000年代に入ってからだ。トヨタ自動車九州は1992年に操業を開始し、2005年9月にレクサス専用の新ラインを操業、3か月後には新たに苅田工場を建設してエンジンやハイブリッド部品などの生産を開始。ダイハツも2004年11月に群馬県前橋市の工場を閉鎖して中津町に移転してきた。
現在、日本で生産される自動車の約10%を北部九州が占め、全世界でも約2%を占める。つまり全世界で製造されている自動車の50台に1台は“Made in 北部九州”なのである。
そんな中、2004年12月に九州工業大学(以下「九工大」)・飯塚キャンパス内に設置されたのが『先端金型センター』である。
九工大は2009年に創立100周年を迎える伝統ある国立大学法人で、北九州市内に戸畑キャンパスと若松キャンパス、飯塚市に飯塚キャンパスを構える。学部は工学部と情報工学部の2つで、中でも飯塚キャンパスにある情報工学部は国立大学として始めて設置され、情報分野でも先端的な取り組みをおこなっていることで知られる。
工業大学ということもあり、産学連携に積極的に取り組んできたが、2005年、経済産業省が『産学連携製造中核人材育成事業』を3年計画で進め、その一環として『北部九州地域高度金型中核人材育成事業』がスタート。その流れの中で飯塚キャンパス内に設置されたのが『先端金型センター』だったのである。
「『人材育成事業』ですから、金型業界のデジタル・エンジニアリング技術を支える人材育成が柱となります。また、新しい金型に関する研究も大きな柱の1つです」
日本の“お家芸”とまで言われていた金型製造。なぜここにきて新たに人材を育成する必要があるのだろうか。そこには日本の、そして九州の金型業界が抱える課題があったからだった。


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技術不足、そして中国・韓国の脅威

技術不足、そして中国・韓国の脅威

工業製品の製造において、金型はなくてはならないものだ。
商品の多くは金型によって成形され、金型の品質はそのまま製品の品質にも直結するため、どの企業も金型製作には多くの時間とコストを費やしてきた。その長年の積み重ねにより、日本の金型技術は世界のトップレベルに発展した。しかし、その日本の金型業界にもある危機が訪れていた。
「1つが2007年問題です。団塊の世代が大量の定年を迎えるため、金型業界も技術の伝承が困難になり、若手の技術力不足が懸念されています。2つめが新技術への対応です。一口に金型といっても『設計』『解析』といった作業があります。具体的にはCAD、CAM、解析ソフトのCAE、さらに計測用のリバースエンジニアリングなどですが、エンジニアたちはこうした一連の作業の中でソフトを使いこなしながら、生産現場で起こる不具合を事前に予測して生産性を高めることが求められます。しかし、年々高度化するソフトウェアにエンジニアたちがついていけなくなっているのも事実です」
北部九州ならではの課題もあった。自動車メーカー各社が北部九州へ移転したものの思ったように現地調達率が上がらず、輸送コストがかかるという問題があった。さらに地理的に中国や韓国と近いことから、両国からの売り込みも強くなっている。
「年間150万台の生産を実現するには、いくら組立工場ができても意味がありません。現地調達・現地生産に合わせることが求められていて、部品を供給するサプライヤーが存在して初めて可能になるわけです。そのためにも地元の金型産業を育てなければいけない。そこで金型に携わるエンジニアの人材育成のために『先端金型センター』が設置されたのです」
同センターの中はまさに壮観である。マシニングセンター3台、放電加工機2台、さらにNC旋盤、射出成形機、電子ビームの磨き装置、研究用の超精密な切削機械。一見したところ工場である。
「これまでと同じレベルのものを教えるのでは意味がありませんから、工作機械も最新のものを導入して、文字通り“先端”の金型技術が学べるようになっています」
そうした数あるマシンの中で4台もの台数を誇っているものがある。3次元造形機である。なぜこれほどまでに3次元造形機を揃えたのか。そこには楢原教授のある強い思いがあった。


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今や金型生産になくてはならないRP

「私は長いことラピッドプロトタイピング(RP)を研究テーマとしてきたのです。北海道大学で助手をしていたときに、アメリカで型を使わないで立体をつくる技術が開発されたという話を耳にし、面白い技術が出てきたなと感心し、研究テーマに選びました。当時、RPの主力は光造形機でしたが、寸法が安定しない、変形する、時間がかかるなど、『精度』の問題がずっとつきまとっていました。そこで、何とかRPの精度を高めることができないかと、研究に没頭していったわけです」
RPのメリット、それは金型をつくることなく造形できるため、大幅な加工工程の短縮をもたらし、近年急速に進んでいる短納期化に対応できることだ。
「RPでつくられたものは決して『型』としてそのまま使えるわけではありません。しかし、3DCADで設計したものだけではどうしても不具合が出てしまう。その不具合を事前に検証するためにもRPはなくてはならない。それも3Dデータからそのまま造形できてしまうので圧倒的に速い。つまり金型業界にとって、RPは『精度の向上』と『スピード化』のために欠かせないのです」
楢原教授はRPとして光造形機を先端金型センターに入れたが、その後あるものも導入する。Dimensionである。
「研究テーマがRPですから、Dimensionの存在は以前から知っていました。私は長い間、光造形機をメインに扱っていましたが、光造形機は常にメンテナンスが必要で手間がかかる。また操作も複雑なので専用のオペレーターもいなければなりません。Dimensionはメンテナンスも少なく操作も簡単なので、より現実的だと判断し導入したわけです」
先端金型センターは数多くの“先端”の機械を揃え、2005年春にスタートする。そして、予想以上の反響を得ることになる。


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夢の一翼を担う

夢の一翼を担う

『北部九州地域高度金型中核人材育成事業』は九工大だけでなく、北九州市立大学、熊本大学などと共同でおこなっており、大きく『CAD/CAM』『鍛造』『鋳造』『プレス』『射出成形金型』『構造解析』『新加工技術』の7つの講座を開催している。想定している対象は各企業の入社5、6年めの社会人で、これから中核を担うであろう人材だ。
「『北部九州地域高度金型中核人材育成事業』は2005年から3年計画で進められており、現在はまだ『実証講座』という名で講座を開催しながら、どんなカリキュラムを組んだら効果的かといったことを調べている段階です。にもかかわらず、当大学が担当している『プラスティック射出成形金型設計講座』は10名の定員に20名の応募がありました。実際にソフトウェアを操作しながら教える講座ですので、2回に分けて実施せざるを得なかったほどです」
先端金型センターは社会人だけでなく九工大の学生たちも使うことができる。九工大では「プロジェクト・ベースド・ラーニング」という考えのもと、グループで1つのプロジェクトを立ち上げ、学生たち自らが問題を見つけ、スケジュールの中で問題解決し乗り越えていく力を養うことに力を入れているが、その一貫として、あるものに取り組んだ。
「まだCAD/CAMも知らない学生に『九工大グッズ』をつくってもらったのです。アイデアから設計、モデリングまで自分たちで考え、課題を自分たちで解決してもらおうと考えました。学生たちはiPodのケースを考案し、CADを使ってデザインしDimensionを使って造形しましたが、最初はケースの蓋が閉まらない。ところが何度も失敗を繰り返したのちに完成にこぎつけました。これなども『検証』という作業ができたからこそ実現したといえます」
現在おこなわれている実証講座はカリキュラムの検討などを重ねたのちに、2008年からは大学院の中にコースとして組み込まれ、社会人も受講できる仕組みへと発展している。
「最新の金型技術を伝えるのはもちろんですが、できればその先の『新商品開発』という部分や、ものづくりの手法を研究し開発する部分でも貢献したいと考えています。そのためにはRPはもちろん、他の技術も必要になる。開発上のトラブルをなくし、より便利な技術を開発することで、金型業界に貢献できたらと思っています」
年間150万台の自動車生産をめざしている北部九州。その夢の実現の一翼を、最新の設備を揃える先端金型センター、そして楢原教授が担っている。

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