Infinite Ideas(ユーザ事例)

限りないアイデアで、新しいビジネスの価値を創造。あらゆる問題に対して、アイデアを柔軟に変化させて答えを導き出す
MSYS(丸紅情報システムズ)

株式会社エムアイシー 導入事例

Dimension

コンピュータ上の3次元データを、自動的に立体造形するシステム。ABS樹脂を造形材として使用し、その特性を活かしてさまざまな機能テストにも対応します。
コンパクトな筐体でオフィス環境でも利用できる60dB以下の静寂性を備え、デザイナーや設計者がネットワークプリンタを利用する感覚で、3次元モデルをデスクサイドでも出力できる3Dプリンターです。

Dimension
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profile

1981年3月
武蔵工業大学内燃機関工学研究室卒業

1981年4月
株式会社バンダイに入社
キン肉マン消しゴム、SDガンダム、聖闘士星矢等の玩具開発に携わる

1996年
株式会社セガに入社 トイ部門に配属

1997年
アミューズメント部門に配属

1999年6月
株式会社BEC(CSKグループ)入社

2000年3月
株式会社マイク(現エムアイシー)入社

アナログとデジタルの融合が玩具制作を変えていく

日本の玩具向けの原型製作におけるリーディングカンパニーである株式会社エム アイ シー(以下MIC)では、デジタル造形の現場で3Dプリンター(DimensionSST等)を多用。他社にはないユニークなアイデアとセンスで、さまざまな活用方法を編み出しています。


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Dimensionで出力したお面の型(右)と、お面(左)

Dimensionで出力したお面
の型(右)と、お面(左)。

おもちゃ作りに3Dプリンターを活用されているとのことですが、
実際にどのような場面で活躍しているのでしょうか?

佐々野氏:

これは玩具向け原型製作に限りませんが、ものづくりの世界でたびたび発生するのが「試作」というフェーズです。なぜ試作が求められるのかというと、各人が 頭の中で思い描いている映像が同じかどうか、それは言葉だけではどうしても完全には確認できないから。同じ言葉を使っていても、そこから受ける印象は人そ れぞれなんですね。したがって、互いの認識を共通のものにするためには、実際に手にとって確かめられる「試作品」の形にする必要があるわけです。そして、 この段階でDimension――つまりRapid Prototypingが活躍します。たとえばある製品のデザイン方針に変更があったとします。試作に3~4日かかると次の会議は翌週以降ということにな りますが、DimensionなどのRapid Prototyping(以下、RP)を使えば、夜間に出力しておいて、翌朝には試作品を手に会議することも可能です。

ここで重要なのがRapid――早いということ。結論が早いということは、ビジネスが早くなるということですからね。これはPrototypingという要素以上に重要かつ効果的なのではないかと考えています。



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日本のおもちゃは非常に精巧なものが多いと思いますが、
Dimensionはその高い要求に耐えうるものなのでしょうか?

佐々野氏:

そうですね、Dimensionの0.25mmという積層ピッチは、そのまま製品としての玩具を造形できるものではありませんし、そもそもRP自体がそう いう目的で使うものではないでしょう。しかし、使用目的と使いどころさえ間違えなければ、Dimensionは非常に強力なツールとなります。逆に、目的 に応じた使い分けを適切に行うことは、機械を使う上で欠かせない姿勢であるともいえます。
たとえば先述の試作の場合、機構や動作を確認するだけならば、ピッチの粗いDimensionでも十分。かえって早さと手軽さが有利となるくらいなので す。大切なのは、機械の特性を見極めて、その能力をフルに引き出すこと。せっかく道具としての機械があるのなら、それをフルに稼働させなければ購入した意 味がありませんからね。
その意味で、Dimensionはなかなか優れた機械ですし、MICでもそれを活かした使い方ができているのではないでしょうか。


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玩具制作工房の地下に設置されたDimension

玩具制作工房の地下に設置されたDimension。
玩具制作過程における3次元物体のスキャニング、造形、デザイン、
色づけなど一連の作業がすべて一箇所の工房で行われる。

試作以外では、具体的にどのような場面で
Dimensionを利用されていますか?

佐々野氏:

じつはですね、購入当初には積層ピッチの細かなRPが有るのに、社内から「そんなもの何に使えるの?」という声もあがりました。しかし、そこはアイデア次 第。私が着目したのは、素材の特性を活かしたお面製作でした。縁日で売られているようなお面は、バキューム成型という製法で作っています。従来の手法で は、アルミで型を作ったり、放電で作った銅版に石膏で補強をし、そこに人力でいくつもの空気穴を開ける。その穴を使ってバキューム成型をしていました。と ころが、Dimensionで使用しているABS樹脂という素材には、この作業が必要ありません。というのも、ABS樹脂の積層造形には多孔質という性質 があるから。全面に目に見えないほどの細かい穴が開いているわけですから、そのままバキュームにかけることができるんです。また、出力元がデジタルデータ だから、表面の加工も容易です。別の切削加工機を仕上げの削りに用いれば、精度も十分に上げられますしね。
無茶な要求さえしなければ、Dimensionにできることはたくさんあると思います。

Dimensionに限らず機械全般にいえることですが、要は使う側の創造性と想像力の問題。技術力よりも、センスとアイデアこそが大切なんですね。そう して、道具が本来持っているポテンシャルをいかに引き出してあげるか――その視点を忘れなければ、活用範囲はさらに広がっていくと思います。



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これからのデジタル造形について、
どのような展開になるとお考えでしょうか?

佐々野氏:

いま日本の製造業で大きな問題となっているのが、熟練技術者の大量退職という2007年問題。玩具メーカーに限らず、金型技術者などがごそっと定年退職す ると、生産拠点である中国との関係がより重要になってくるのではないでしょうか。そのとき、中国語で会話するのはたいへんかもしれませんが、データならば 万国共通の言語として使えるはず。つまり、デジタル作業を共通言語としてビジネスが進んでいくと考えられます。こうした動きにともない、物理的な監修作業 などの進め方も変わるでしょう。今までのように現物を運ぶことは少なくなり、デジタルデータで世界中とやりとり(Eメール・アプルーバル)をするのです。 じつはこれ、広大な国土を持つ米国ではすでに当然の方法であり、中国がこの新しいやり方で台頭してきたら、日本が置き去りにされるという危機感もありま す。
だからこそ、次の世代のためにも、デジタル造形の体制をしっかりと作って残していきたいですね。これは玩具業界に限らず、製造業界全般においても同じことがいえるのではないでしょうか。


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それでは最後に、Dimension活用の今後の展望をお聞かせください。

佐々野氏:

玩具商売への活用はもちろん考えていますが、今はそれよりも、同じ機器を使うデジタル造形の仲間の存在をなによりも望んでいます。つまり、同じモデリングデータで会話できるような仲間ということですね。仲間がいないと技術はどんどん廃れていくので、これは切実な願いです。
もしMICで利用している機械や活用方法に興味があれば、ぜひ一度、実際に見に来てください。見たくても、見せて頂けない同業の方もいらっしゃいますが、 当社には「目で見て盗まれるものは本物の技術ではない」というポリシーがありますから、どうかご遠慮なく、ものづくりの現場への活用例をご覧いただければ と思います。



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