ほどよし1号は2013年中には打ち上げられる予定だったが、打ち上げ予定地のロシアの事情により延び延びとなっている。ただ、これ以上待っているわけにもいかないため、ほどよし2号は、日本のH2Aロケットに相乗りする形で2015年中に打ち上げられることとなった。そして3、4号機は、2014年6月19日(日本時間20日)、ついにロシアのロケットに乗って打ち上げられ、無事軌道に乗ることに成功した。
「衛星の実部品を3Dプリンターでつくれないかと考えています。たとえば、ハニカムパネルは『接着』という工程を含んでいますが、3Dプリンターなら一体成型なので強度が出る。宇宙空間では避けられない放射線や紫外線に強い素材が出てくれば、衛星に3Dプリンターでつくった部品が実装されるようになるはずです」
1機当たり数億円の超小型衛星。打ち上げによって確かな性能が確認できれば、日本発の超小型衛星は世界市場を席巻する可能性もある。
「ただ、1機2~3億円で満足しているわけではなく、将来的には3,000万円ほどでつくれないかと考えています。これくらいの額になれば、国に頼らなくても企業が独自で衛星をもつことができ、個人がお金を出し合って衛星をもつことも可能です。つまり『マイ衛星』に近づいていく。そうなれば、衛星はもっともっと身近なものになっていくはずです」
かつて高嶺の花といわれたテレビ、自動車、パソコンなどは価格が下がるにつれて人々の生活のなかにどんどん浸透していき、今や暮らしになくてはならないものになった。
1企業1衛星、1団体1衛星、1自治体1衛星──。
そんな時代は、意外と早くやってくるかもしれない。
※「日本発の『ほどよし信頼性工学』を導入した超小型衛星による新しい宇宙開発・利用パラダイムの構築」のプロジェクトは、内閣府最先端研究開発支援プログラムの助成を受けて実施されているものです。