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MSYS(丸紅情報システムズ)

フランソワ・ロッシュ 導入事例

フランソワ・ロッシュ

アーティスト。
彼らは常人では決して思いつくことのできない世界を提示し、私たちの常識にさまざまな示唆を与えてくれる。
想起された超人的なアイデアを具象化する作業は、奇抜であるがゆえに「アイデアを生むとき」以上のエネルギーを注がなければいけないことがある。
フランス人建築家のフランソワ・ロッシュ氏。その活動領域は「建築」にとどまらず多岐にわたる。
今回、ロッシュ氏はこれまでとはまったく違った方法による作品づくりに着手する。アイデア、デザイン……、次々と決まっていく作品の骨格。残るは具象化の方法だった。
ロッシュ氏が選択した方法は、芸術作品では極めて稀有であり、だからこそ、非常に困難を要する作業でもあった。
2007年8月、暑い夏が始まる。


STRATASYS社 Maxum

Maxum(マクサム)はStratasys社の製品で最大のモデルを作るシステムです。造形サイズは600(W)×500(D)×600(H)mm。 いままでのラビッド・プロトタイピングシステム(RPシステム)の概念変えた新世代のRPシステムです。また、ABS樹脂は接着性がよいため、接着剤を使用し、組み合わせることにより、更に大きな造形サイズのモデルも簡単に作成できます。

Maxum
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フランソワ・ロッシュ

「特定の到達点や方向性をもたない」作品群

2007年4月10日、丸紅情報システムズ(旧丸紅ソリューション)に1本の電話がかかってきた。
「秋に企画している展覧会に出展する作家が、御社の製品で作品をつくってほしいといっておりまして」
東京都現代美術館のキュレーターからだった。作家の名は「フランソワ・ロッシュ」。この時点でスタッフの多くは「まずは話を聞こう」程度に楽観視していた。
「私は建築家です」
ロッシュ氏は自身の仕事をそう説明する。
活動の中心はパリ。ここに『R&Sie(アール・アンド・ジー)(n)+D』という名の建築事務所を構え、商業施設や住宅などの設計を手がける。また、一方でアメリカのコロンビア大学で教鞭をとる。
それだけ聞くと「国際的な建築家」という印象だが、ロッシュ氏がロッシュ氏たる所以は、そのユニークかつ斬新な作品群にある。
「NASAから依頼されている火星での建築」「太陽と風力の発電機をもつファサード」「都市の埃を建物の表面に集めるバンコク現代美術館コンペ案」……。
いずれも建築物ではあるが、商業施設や住宅など一般的な「建築」の枠組みを大きく超えた作品が並ぶ。
「新潟県十日町には『アスファルト・スポット』という作品があります。これは、アスファルトが地面からめくれ上がったような形をしている建築作品で、最大斜度が25度もある屋上が駐車場となっています。当然傾斜が強くなるほど駐車するのは難しいが、ドライバーはリスクを承知の上で停めてもらう。自己責任でね。」
世界中のラディカルな建築プロジェクトに参加し、数々の展覧会に出展。そして「私たちが提供したいのは単なるファンタジーではなく、現実を踏まえた上でのファンタジーを考えています」
ロッシュ氏の作品や思想には、芸術という表現を超えた「何か」、そう一貫した「思い」が通徹している。
「私はスタイルとかテーマをできるだけもたないようにしています。1つのスタイルを確立してしまうとその時点で変化が止まってしまう。つまり死を迎えることになる。そうではなく、特定の到達点や方向性をもたずに姿を変え続け、見る人や使う人によってさまざまな意味をもつツールを創造したい。そのことをもっとも大事にしています」
この思想を突き詰めた結果生まれたのが、2006年にパリで発表された『「聞いた話」平坦で過剰な成長するアーバニズム/"I've heard about" a flat,fat,growing urbanism』というタイトルの作品だ。このアイデアはあまりに奇抜であり、その奇抜さゆえ、これまでと全く違う方法で具象化を模索しなければならなかった。


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フランソワ・ロッシュ

「2次元だけでなく立体化を──」というアーティストの願い

細かい枝のような突起物が複雑に絡み合い、全体として見ると1つの幹のような形をしている。地球に生命が誕生した頃の原始的な生命体のようにも見える作品『聞いた話』。あまりに不定形な形をしているため、手づくりのように思えるが、意外にも数学的な計算結果によってできたものだという。
「これは『Real Flow(リアルフロー)』という流体シミュレーションソフトで製作し、スクリプトの中でさまざまな変数値を定義しています。すなわち数式の中に不確実性を入れ、その計算結果に基づいてできているわけです。スクリプトは永遠に計算を行うのでプロセスに終わりはない。そのプロセスの1点を抽出して形にしたものがこの作品で、構造体が3次元に発展していろいろな動きをしていきます」
自己増殖する不定形な都市をイメージしたというこの作品の製作は、2人がかりで1ヶ月半の時間を費やした。
2006年、最初はパリの展覧会で発表されたが、展示されたものはCG映像と紙の出力だった。いずれも2次元であり、立体的な造形物にはなっていない。その後、中国など展示場所を移していく中で、ロッシュ氏は、立体造形で具象化することを望むようになる。
しかし作品があまりに複雑かつ細かいため、これまでロッシュ氏が使ってきたコンクリートなどの素材でつくることは不可能だった。そこで、芸術作品としては極めて珍しい方法を採用することになる。
「3次元造形機です。幸い、我々の世代には3次元データを立体化できる3次元造形機がある。これを使えばできるはずだと」
2007年秋、『聞いた話』は東京都現代美術館で開催される『SPACE FOR YOUR FUTURE──アートとデザインの遺伝子を組み替える』に出展することになった。
そして2007年4月10日、東京都現代美術館のキュレーターからの電話が丸紅情報システムズにかけられる。
1ヶ月後の5月10日、丸紅情報システムズ本社に3人の人物が訪ねてくる。ロッシュ氏と東京都現代美術館のキュレーターである。
「これです」
ロッシュ氏は作品をプリントアウトしたものを示し、ノートパソコンを開いて映像を見せた。丸紅情報システムズは、これまでさまざまな造形依頼を受けてきたが、目にしたものはこれまでとはまったく違った種類のものだ。即答はできない。社内で検討に検討を重ね、2ヶ月後の7月、キュレーターに返事を入れる。
「やってみましょう」


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総動員体制で「難題」に挑むフランソワ・ロッシュ

総動員体制で「難題」に挑む

ロッシュ氏の依頼は明確だった。
「使う機械はFDM。素材はABS樹脂」
世界中の展覧会で展示することを考えると、強度のあるABS樹脂が最適だと考えたこと。また、作品が非常に細かいため、積層ピッチが小さいFDMシリーズを望んだ。
FDMシリーズは造形サイズなどによって5種類あるが、丸紅情報システムズでは造形物の大きさや複雑な作品の形状を考えて最上位機種の『Maxum(マクサム)』で対応することにした。
8月、ロッシュ氏から3Dデータをもらい、さっそく作業に取りかかる。ところが造形に当たり、いくつかの問題点が浮かび上がってきた。
1つは社内にあるMaxumが常に使えるわけではないこと。多くの企業から「ベンチマークテストをしたい」といった依頼が舞い込むため、その合間を縫って製作しなければならなかった。
そしてもう1つが、無数の曲面があるデザインなためデータが想像以上に大きかったことだ。そのため、計算途中にパソコンがフリーズしてしまう。そこで、1回当たりのデータ量を小さくするために当初の予定より分割数を多くし、それを強力な接着剤で貼り合わせるという方法がとられることになった。
機械が空いているすきに製作し、サポート剤を除去してそれを1つ1つ接着剤で貼り付ける。細かい部分も多く、折らないように慎重に扱わなければならず、接着するだけでも想像以上の時間を要した。そしてなにより、造形物には日本有数の美術展に出しても恥ずかしくない、高いクオリティが求められた。1人だけでなく手の空いているスタッフもサポート。まさに総動員体制で製作がおこなわれた。
9月、約1ヶ月の作業期間を経て作品は完成する。3Dデータや2次元の世界でしかなかった作品が、実際に手に触れることのできる立体物に生まれ変わっていた。


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示されたアーティストたちの「突破口」示されたアーティストたちの「突破口」

示されたアーティストたちの「突破口」

2007年10月、Maxumで造形された作品は東京都現代美術館に慎重に納品された。ロッシュ氏の作品が展示されるブースに置かれ、スポットライトのスイッチがつけられると、ほの暗い空間に不思議な魅力を持つ構造物がすっと浮かび上がった。
「私は、非常にレベルの高い日本のテクノロジに注目しています。日本のテクノロジに私たちの考えや研究を組み合わせれば、もっと大きなプロジェクトができる可能性がある。それを、これから模索していきたいと考えています」
ロッシュ氏は作品『聞いた話』と同じ工程で、実際の都市を建築したいと思っているという。
10月27日、『SPACE FOR YOUR FUTURE──アートとデザインの遺伝子を組み替える』が開催され、美術館にはひっきりなしに人が訪れている。来館者は、ロッシュ氏の作品の前で足を止め、その不思議な造形物に見入っている。
その前日、ロッシュ氏は丸紅情報システムズのスタッフたちと作品の前で再会していた。ロッシュ氏はスタッフ1人ひとりに握手を求め、こう言った。
「Thank you my friend」
東京都現代美術館での展示は2008年1月20日まで続き、その後ABS樹脂の『聞いた話』は、ニューヨーク、パリ、イスラエルと世界中の展覧会を回る予定だ。
 芸術家たちは日々斬新なアイデアを生み出し、その具象化を模索している。2007年、「突破口」の1つが示されたのかもしれない。


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