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東京理科大学 導入事例

Dimension

コンピュータ上の3次元データを、自動的に立体造形するシステム。ABS樹脂を造形材として使用し、その特性を活かしてさまざまな機能テストにも対応します。
コンパクトな筐体でオフィス環境でも利用できる60dB以下の静寂性を備え、デザイナーや設計者がネットワークプリンタを利用する感覚で、3次元モデルをデスクサイドでも出力できる3Dプリンターです。

Dimension

1985年3月東京工業大学大学院理工学研究科生産機械工学専攻修士課程修了後、日本精工株式会社入社。転がり軸受の研究・開発を経て、2002年4月より東京理科大学理工学部機械工学科助教授(現在に至る)。
転がり軸受、精機製品を対象としたトライボロジー、精密計測が専門。

趣味
ボーリングとスキー。「決して『転がり』や『滑り』だからではありません。たまたまなんです」と野口助教授。

教育理念
研究のための研究ではなく、社会の役に立つ教育を目指している。学生たちにもより実務的な課題を出すことが多い。

東京理科大学・野田キャンパス。
2005年のオープンキャンパスで、ある展示物が来場した高校生たちの高い関心を集めた。継ぎ目のないベアリングである。
「ベアリングはふつう部品を組み立ててつくっていくのですが、組み立てを一切しないでベアリングをつくったのです。『どうやってつくったのですか』との質問が相次ぎました」
つくったのは野口昭治助教授。転がり軸受工学、精密計測、トライボロジーの専門家である。野口助教授はこの“特殊”なベアリングを「3Dプリンター」でつくったが、実は以前から明確な目的をもって導入を図っていた。
「私は17年間企業で研究や開発に携わったのちに2002年に大学に来ましたが、企業時代も大学に来てからもずっとあるジレンマを抱えていました。3Dプリンターによって、それを解決できないかと考えたのです」
野口助教授は3Dプリンターによって何を得て、研究はどう変わったのか。野口助教授に訊いた。


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機械が正常に動くために欠かせないトライボロジー

広大な敷地を有する野田キャンパス。北東側と南西側ではその表情はまったく違う。北東側は2003年に神楽坂から移転してきたばかりの薬学部など近代的で 新しいビルが立ち並ぶ。一方南西側は、1967年に野田キャンパスができた当時の建物が今もって残っている。野口助教授の研究室があるのは、昔ながらの建 物群の1室にある。
「古いでしょ。4階建てで、エレベーターもないんですよ」
野口助教授の語り口は実に気さくで、いわゆる「大学の先生」のイメージはそこにはない。それもそのはず、2002年に東京理科大学に助教授として迎えられる以前は、17年もの間民間企業に勤めていたのだ。
「ベアリングを扱う日本精工株式会社という会社に勤めていました。そこで開発、研究、設計の仕事に携わり、大学に来てからも転がり軸受を中心としたトライボロジーをメインに研究しています」
トライボロジーとは、摩擦、磨耗、潤滑の総合的な技術と学問だ。
「日本にはプラントメンテナンス協会といって、機械はどのように壊れ、どの部分が故障しやすいのかいったことを調べているところがあるのですが、そこによ ると、問題が発生する箇所のほとんどは動く部分にあるそうです。つまり、モノとモノが触るところは機械が問題なく動くためにとても重要な部分なんですね。 そこを扱うのがトライボロジーなわけです」
野 口助教授の研究は多岐に渡っている。もともと、ベアリングは中の構造が見えないようになっているため、問題が生じてもその原因を正確に把握することは難し かった。そこで、ベアリングの中が見える形にし、中に入っているボールの挙動を研究したり、油やグリースといった潤滑剤がどのような影響を及ぼしているか といったことについても調べている。
そうした研究の中で野口助教授が力を入れているのがリニアガイドである。
「リニアガイドは半導体産業でよく見かけるもので、ウエアの搬送などに使われています。テレビなどで、半導体の製造で何百本という金属の線をものすごい勢 いで張っていくのを観たことがあると思いますが、あの動きを実現するためにもリニアガイドが使われているんです」
しかしリニアガイドの研究で、野口助教授は一つの壁を感じていた。それは企業にいたときからずっと変わらない、積年の課題でもあったのだ。


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最適な設計を阻む、コスト高という難題

リニアガイドは、金属レール上をスライダーがスーっと滑るように動く。その滑らかな動きを実現しているのがボールによる転がり案内だ。長方形の形の中に、陸上競技のトラックの形と同じようにボールが循環し、それによりスムーズな動きを可能にしているのだ。
「ボールが入っている器具は金属がメインですが、ボールが曲がる部分には樹脂が使われています。この部分は、ボールが方向を変える部分でもあり、どのくらいの径で作ればいいかなど、研究の大きなポイントなります。」
樹脂の部分はボールを循環させるための曲線部分であり、スムーズにボールを行き来させるためにはどのような構造が最適か、を模索しなければならない。その ためには、つくっては試すトライ&エラーが欠かせない。ところが、このトライ&エラーが簡単にはできない現状があった。その原因はコストである。樹脂でも のをつくる場合は金型が必要になるが、金型製造は大変コストがかかり、修正のたびにまた金型が必要になるため、膨大なコストがかかってしまう。必要なだけ 樹脂で作る曲線部分を製造し、トライ&エラーをくりかえすことは、金型のコストの問題で事実上不可能だったのである。
「トライ&エラーができないからといって商品をつくらないわけにはいきません。そこで技術者や研究者たちは『経験』と『実績』を頼りにしてきました。ここ でいう実績とは『このようにつくれば壊れない』という事実をもとに積み上げてきたものです。しかし、例えば「実はその構造はオーバースペックではないの か」、という検証はされていません。壊れないという事実はもちろん大事ですが、いかに『最適な設計』ができているかも製品を開発・改良する上で非常に重要 です」
機能を満たし、さらに量産コストを抑えるにはどうしたらいいのか。ボールの循環抵抗を減らすにはどうしたらいいのか。ボールが曲がる際の衝突衝撃はどうしたら小さくできるのか。研究しなければいけないことは山のようにあった。
「最適な設計のためにはトライ&エラーが不可欠にもかかわらずそれができない。研究者にとって大きなジレンマでした」


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樹脂なのに金型が要らないDimension

2004年、野口助教授は1冊の専門誌を見ていた。そこで目にしたのは3Dプリンター「Dimension」の記事。3DCADを使ってデザイン・設計したものが、そのまま樹脂モデルとして形になるという。
「それは何を意味するかというと、『金型が要らない』ということなんです。つまり、樹脂部品をつくるのに大幅なコスト削減ができるわけです」
野口助教授はさっそく展示会に足を運び現物を確認。さらに、販売元まで出かけて質問をしていった。
「私がぜひやりたいと考えていたのは「一体造形」でした。単に部品ひとつひとつの形をつくり、組み立てるということではなく、リニアガイドを構成する全 て、転がり軸受けもボールも、一体型で造形できればより幅の広い研究ができるのではないかと。Dimensionのサポート材を溶かすタイプならそれがで きます。」
もう1つ大きかったのはABS樹脂という点だ。
「ABS樹脂はそれなりに強度もあるため、ちょっとした動的な実験ならばDimensionでつくったものがそのまま使えてしまうのです。つまり最短の工 程でトライ&エラーができてしまう。それも、3DCAD上でパラメーターの値を変えれば40分後には修正した形ができあがる。スピードも飛躍的に向上しま す。これは、使いようによっては大きな可能性があるなと思いました」
2005年6月、野口助教授はDimensionを導入。こうして長年の課題だった樹脂部分のトライ&エラーの実験を可能とする環境が、ようやく整ったのである。


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広がるDimensionの可能性

今、野田キャンパスにある野口研究室にはDimensionでつくった樹脂部品がところ狭しと並べてある。野口助教授だけでなく、学生たちもDimensionを操作して次々と部品をつくっている。
「使ってみてわかったのが、Dimensionは操作が非常に簡単なことです。私自身が習得できたのはもちろん、学生もすぐに使いこなせています」
Dimension導入以後、野口助教授のところにはあらゆる方面から相談がもちかけられている。
「1つは私と同じ機械工学科の先生からです。強度を維持したまま軽量化を図るということを研究しているのですが、非常にユニークな形になってしまい、通常 の機械加工では実現できない形状です。しかし、3DCAD上では実現できますので、まずはDimensionで形をつくれないだろうかという相談でした」
また、建築学科からは、建物や街並みなどのモデルをつくるときに、Dimensionが使えるのではないかと問い合わせがあった。曲がり穴加工もできるため、内部もつくりこめるとかなり興味を示しているという。
「熱力学関係の先生は、内部に小さな貫通穴を持たせることができるので、新たな熱交換器の開発に使えるのではないかという話もありました。私が当初思っていたよりDimensionにはさまざまな可能性があることがわかりました」
Dimensionを導入してすぐ、野口助教授はリニアガイドの樹脂部分の製作にとりかかり、トライ&エラーを実施している。これを繰り返して「最適な設計」に到達したら、それをベアリングメーカーに投げようと考えている。
「うちの研究室でトライ&エラーの部分を代行すれば、企業がつくる金型は量産用だけで済みます。そうすることで企業の研究開発費が抑えられ、ベアリングの価格低下にもつながるはずです」
「経験と実績」からトライ&エラーによる「最適な設計」へ。野口研究室は今、大きく舵を切っている。


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