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株式会社東洋シート 導入事例

Dimension

3次元CADなどのデザインデータを、自動的に立体造形するシステム。ABS樹脂を造形材として使用し、その特性を活かしてさまざまな機能テストにも対応します。
コンパクトな筐体でオフィス環境でも利用できる60dB以下の静寂性を備え、デザイナーや設計者がネットワークプリンタを利用する感覚で、3次元モデルをデスクサイドでも出力できる3Dプリンターです。

Dimension

▼モックアップ作品例

車に乗る。
その際、高級感や居心地のよさを大きく左右しているのがシートだ。いくら“箱”が美しくても、シートに高級感がなかったり取り付けに安定感がないと途端に 興が削がれてしまう。車にとってシートは非常に重要な役目を果たしている。そのシート製作を主な事業としているのが、広島県に本社を構える株式会社東洋 シートである。
創業から60年以上と長い歴史を誇り、先代たちが苦労を乗り越えてここまで続いてきたが、1年前、同社はある大きな課題を抱えていた。
「あんなことは私が入社してから始めてでした」
根井副本部長は振り返る。それが起こったのは、2004年から2005年にかけてだった。

企業歴60年。事業はシートアセンブリが柱

川は静かに、そしてゆったりと流れていた。
東広島市の山中を源流とし、山あいを流れやがて瀬戸内海へと注ぐ瀬野川。その川を河口からのぼっていくと、数キロ先の川沿いに白壁の大きな建物群がある。株式会社東洋シートである。
戦後すぐ、1946年に大阪で創業。東洋工業(現マツダ)の自動三輪車の販売を開始し、翌年には三輪トラックの補助席の試作品を製造。1965年広島に組 み立て工場と溶接工場を建設し、現在に至る。企業歴は実に60年以上を数え、複数の工場を日本国内にもち、アメリカ・中国・ハンガリ-・フィリピンにも工 場を構えるなど、グローバルな展開をしている企業だ。
製造しているのは、シートの“骨組み”に当たる機構部品、オープンカー用の幌。さらに新幹線用シート、自社開発した家具や福祉器具なども製造しているが、メインとなっているものは自動車用シートのアセンブリである。
「機構部分だけでなくシートそのものに完成したものがアセンブリです。アセンブリとしては今のところすべてマツダ株式会社からの受注品で、『CX-7』や 『アクセラ』、『MPV』『ROADSTER』などのシートをすべて当社が開発から製造までしています」
根井副本部長。同社は本部制を採用しており、技術本部の中に常務、取締役、根井副本部長がいる。その下にシートを開発する「シート開発部」、幌の開発を 担っている「Cトップ開発部」、開発支援および製品を試作・評価する「開発業務部」の3つの部署がある。技術本部はいわば開発関係の部署全体を見回す位置 にあり、その一翼を担っているのが根井副本部長である。
「仕事の流れは次のようなものです。まず自動車メーカーで企画後、自動車メーカーのデザイナーがデザインをした段階で、当社がプロジェクトチームの一員と して参加し、設計を担当していきます。そして、何回か試作品を製作して機能評価・テストなどを繰り返した後に、金型をつくり製造ラインに乗せていくわけで す」
自動車用シートは一見、金属・パッドや布地だけで構成されているように思えるが、意外にも樹脂部品が多い。フロアにシートを固定している金属部品を隠すた めのカバー、シートのサイド部分のデコレ-ションカバ-・操作レバ-類や、ヘッドレストの中にも樹脂が使われることもある。
「樹脂部品はすべて設計者たちが3D CADで3次元データをつくり、その後、試作品を作ります。動かしてみる、または目で見ることでわかる干渉や不具合などがないかを確認します。形にするこ とでCADではわからなかった問題点が必ず出てくるため、この作業は欠かせません」
同社では長い間試作品をすべて外注によって対応していた。ところが時代の流れとともに、開発スタッフたちはあるジレンマを抱えるようになっていくのである。

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年々高まる要求レベル。そして「短納期」という波

「当社の絶対的な使命は、車のユ-ザや自動車メ-カ-の多様なニーズ・仕様を満足させることです。そしてそれ以上の配慮ができてこそ、当社の存在意義があ るわけです。求められるレベルは以前から高かったものの、当社の長い歴史の中で培ってきた経験と技術を軸にクリアしてきました。しかし、そのレベルも年々 高くなってきたのです」
その1つが安全性と高機能である。クリアしなければならないスペックが高くなり、試作とテストなど検証に時間がかかるようになった。もう1つがデザイン 性。デザイン重視の傾向が強まる中、シートにおいても高いデザイン性が要求され、最終形状を決めるのにさらに時間を費やすことになる。
「時間がかかるようになっても、納期に余裕があればさほど問題ではありません。ところが短納期の波が押し寄せてきたのです。以前は開発チームに加わってか ら約3年間の時間が与えられていたのですが、それが今では約2年。時間や手間をかける必要性が高くなったにもかかわらず、今までの3分の2の時間でこなさ なければならない。これが当社にとって大きな課題としてのしかかってきたのです」
同社の開発スタッフはすべてCADを使いこなし、衝突実験設備やその他テスト用の機器もすべて社内に揃っている。「設計」と「検証」の部分で、これ以上の 時間短縮はを望むのは難しい。他に時間短縮につながるものとは──。そこで出てきたのがモックアップ樹脂部品の製作だった。
「樹脂の試作品は外注で光造形によって製作していましたが、出来上がってくるのは2~3週間後でした。一発でOKが出ることはありませんから、修正が入る とまた外注する。それが戻ってくるまでさらに2~3週間の時間を費やしてしまいます。この時間をどうにかして解消できないかと考えたわけです。その中で注 目したのが3次元造形機でした」
現場からも3次元造形機の必要性が叫ばれ出し、一度は検討するものの導入費用などの面から「時期尚早」と見送ることになる。
しかしその後すぐに、同社はこれまで経験したことのない時間との闘いに遭遇することになるのである。


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一時期に3車種開発。安全、品質、コスト、納期を全てクリアする

「短納期」という時代の流れが押し寄せてきたものの、それでもどうにかこなすことができたのは自動車の開発時期がズレていたからだった。ところが2004年から2005年にかけて同社は思いもよらぬことに遭遇する。
「ほとんど同時期に3車種分のシートを開発しなければならなくなったのです。それまでそうした経験はほとんどありませんでした。それでいて開発期間はそれ ぞれ2年。その間に3車種分のシートを設計し、同時に高い安全性を確保するために何度も検証をおこなわなければならない。安全、品質、コスト、納期を全て クリアするという時間との闘い。現場の負荷は想像以上でした」
「間に合うのか」
「まだ試作品が来ていません」
「え?まだ来てないのか」
試作品到着を待つ現場。その間にも刻々と迫る納期。現場の焦りはピークだった。
「この状況を打開するため、現場からは『なんとかしたい』という声が続出しました。これ以上、試作品を外注するだけでは限界だろうと判断し、即決して3次元造形機導入を決めたのです」
2006年春のことである。
根井副本部長を中心に5人のメンバーで具体的な検討を開始した。しかし、3次元造形機といっても世の中には種々の商品が出回っている。そこで根井副本部長らは資料を取り寄せて比較検討。その数は実に10種類にものぼった。
「光造形も候補の1つでしたが、光造形は紫外線が出るため、安全性の問題で却下となりました。静寂性、さらにプリンタのような感覚で使える手軽さから、Dimensionを最終候補として挙げました」
根井副本部長らはDimensionを導入している広島県内の企業に足を運ぶ。営業マンがいうメリットが本当かどうか確かめるためだ。
「想像したよりもやや大きかったものの、造形中はほとんど音もせずとても静かでした。価格的にも満足いくものだったので、Dimensionを購入することに決めました」
納品されたのはその年の10月。そしてそこから、同社はそれまでの満たされなかった思いを埋めるかのように、怒涛の勢いでDimensionを使うことになるのである。


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Dimensionがもたらしたもの

根井副本部長は1枚の紙を差し出した。そこにはDimensionの月ごとの使用回数がすべて記されていた。
12月「52」、1月「60」──。なんと1日平均2個のモックアップをDimensionでつくっている計算だ。
「組み付けの検討や機構部位の動きをみたりと、形状と機能の確認に使うのがメインですが、中には試作車両の納品用として大量につくることもあり、そのとき は一気に使用頻度が高くなります。納品時に材料を大量に購入したのですが、わずか2か月後にはすべて消費してしまったほどです」
現場で設計を担当する太田雅弘氏はこう語る。
「CADのデータを簡単にDimensionに送ることができますし、操作もシンプルなので使いやすい。設計を手がけるスタッフは60人くらいですが、わずか数か月の間にすでに20人以上が使っています」
どの3次元造形機でも造形サイズには限りがあるが、高い技術力をもつ同社は、造形サイズより大きくなる場合は、いくつかに分割して設計。それを組み立てることで造形サイズ以上のものをつくっている。
「予想外だったのは自動車メーカーから『Dimensionで造形してほしい』と言われることです。自動車メーカーのデザイナーの方はCADデータを当社 に渡してきますが、それが形になることでデザインの検証がしやすくなったというのです」
そして、日々開発に追われる設計者たちが「感動」を覚えたのがスピードだった。
「そ れまで2~3週間かかっていたものが、帰るときに出力指示を出しておけば、翌朝にはできてしまう。小さいものならわずか半日。修正してもすぐに手に入る。 もう突発的な開発でも納期に悩まされる心配がなくなったわけです。ただ逆に、設計者同士でDimensionの取り合いになっているという新たな悩みが生 まれていますが」
技術本部のスタッフたちは今も開発の日々が続いている。しかし根井副本部長、太田氏の顔には、かつて抱えていたであろう緊張や緊迫の色はなく、今はある種のゆとりすら感じられた。
技術本部のスタッフたちが得たもの。
それは、目の前を流れる瀬野川にも似た、「平穏さ」だったのかもしれない。


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