データというゲームの命を守るのが、コンピュータで処理した情報を記憶するストレージの役割だ。バンダイナムコスタジオでは、キャラクターのデザインからプログラミングのデータまで、すべてストレージを活用したファイルサーバで一元管理している。プロジェクト側に負担をかけない配慮と、データの保全性を高めるためだ。
ストレージは、10数年来、NetAppを利用し続けているという。当初はプロジェクト単位で利用していたが、全社規模に拡大していった。
2013年7月、NetApp社はストレージOSの新版「clustered Data ONTAP 8.2」を日本国内でリリース。システムサポート課はすぐに導入を決断した。背景には、ゲーム開発におけるデータ量の増大があった。
「ブルーレイなどのメディアに対応するためにデータ量が急増し、ボリューム※1はテラバイト単位で必要となっています。当初、設定したボリュームの上限値にとどいてしまうプロジェクトもでてくるようになり、今後も増え続けるデータ量を考えると、柔軟に拡張できるストレージが必要でした」と、株式会社バンダイナムコスタジオ ET開発本部 未来開発部 システムサポート課 石田和之氏は話す。
「clustered Data ONTAP」は、テラバイトから数十ペタバイトまでシームレスに拡張が行えるため、開発者のニーズに迅速に応えることができる。ボリューム不足のときにやりくりを考える必要もない。ボリュームが不足しそうなときは、システムが判断し自動的に余裕のあるボリュームに切り替えてくれる。
時間と闘うゲーム開発にとって、止まらないストレージを実現できるというメリットも大きい。従来のOSはメンテナンスのときにファイルサーバを止めなければならずスケジュール調整が大変だったが、ストレージのコントローラ単位でクラスタリング※2機能を搭載することで1つのコントローラが止まっても、もう1つのコントローラで業務を継続できる。
NetAppは当初より丸紅情報システムズから購入している。購入を続けている理由の1つは
手厚いサポートにある。「今回、NetAppさんに入ってもらい、clustered Data ONTAPのワークショップを開きました。丸紅情報システムズさんのサポートも受けながら、みっちりとトレーニングを行い、これから本格的に運用するための準備を整えることができました」(石田氏)
新システムの本稼働は2013年9月。止まらないストレージシステムが1,000名のゲーム開発者の創造性を支えていく。
※1ボリューム : 外部記憶装置の管理単位
※2クラスタリング : 複数のコンピュータを1台のコンピュータであるかのように利用できる技術。1台に障害などが発生して停止してもシステム全体が止まることはない