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奈良県立橿原考古学研究所 導入事例

奈良県立橿原考古学研究所 Mar.2005

デジタルアーカイブ

デジタルアーカイブとは、有形・無形の文化資産をデジタル信号処理やマルチメディア・データベース等の最新技術を活用することにより、記録精度が高く、再現性に優れたデジタル情報の形で記録する取り組みです。

三角緑神獣鏡

三角縁神獣鏡とは、鏡の縁が三角形で、「神様」と「獣」の神獣模様が描かれている古代鏡である。「魏志倭人 伝」の中に、邪馬台国の女王卑弥呼が中国の魏の王朝から賜った100枚の鏡の中の一部と言われている。また一方で、三角縁神獣鏡は国産品で卑弥呼の鏡では ない、という説もあり、大きな論争を呼んでいる。

奈良県立橿原考古学研究所は、奈良県教育委員会に属する機関です。奈良県内の埋蔵文化財の調査研究を行い、その成果を広く公開するとともに、国民共有の財産である埋蔵文化財を保護し後世に伝えるためにさまざまな活動を行っています。

二個のCCDカメラで物体の形を測定し、コンピュータ上に物体の正確な形を再現する。
光と二個のCCDによる測定方式により、高い精度とを高速な再現を両立した。
製造業におけるデザイン、設計、製造の各工程で使われる。

ATOSのページはこちら

生年月日:

1955年5月5日

学  歴:

1985年 青山学院大学大学院文学研究科 博士課程後期単位取得(考古学)
1994年 京都工芸繊維大学大学院 工学研究科学術博士号取得

研究内容:

文化財保存科学(特に遺跡・遺物の保存)に関する研究を実施

主な職歴:

1985年4月 福島県立博物館学芸員
1987年7月 奈良県立橿原考古学研究所 主任研究員
1989年4月 奈良県立橿原考古学研究所 保存科学研究室長
2000年4月 同研究所 資料室総括研究員を兼務
2000年4月 現職に至る

デジタル技術の進歩は、意外な分野にも画期的な進展を
もたらしています。

奈良県立橿原考古学研究所の今津節生博士を中心とする研究グループは、三角縁神獣鏡の電子データ化に取り組みまし た。歴史的な文献や有形物などの電子データ化(デジタルアーカイブ)は、永久保存手法として近年推進されています。この活動に、ドイツ製高精度3次元形状 計測装置(デジタイザ)「ATOS(エイトス)」が活用されました。ATOSは、通常自動車や家電などの設計・製造向けに販売されているシステムです。こ の一見無縁に思えるハイテク機器を考古学研究へ活用した今津節生博士にお話を伺いました。

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デジタル技術の進歩は、意外な分野にも画期的な進展を
もたらしています。

橿原考古学研究所は、奈良県下の遺跡発掘のための県立機関で、昭和13年設立の日本で一番古い研究所です。例えば高 松塚古墳など、社会現象を起こすような大発掘が起こりうる機会に恵まれた研究所だと思います。また、銅鏡研究の契機となったのは黒塚古墳の発掘で、当時随 分話題になりました。

保存科学について

保存科学には二つの役割があると思います。ひとつは病院の役割です。遺跡で発見されたものは、壊れそうだったり、あ るいは壊れていたりします。一番重症患者は木材で、だいたい木は腐っている。また、金属は錆びています。これらは、文化財として対策を講じ保存しなくては いけません。もうひとつは科学警察の役割です。考古学者は、事件で犯人を捕まえるかのごとく、実際の証拠を見つけ、つなぎあわせながら歴史の謎を解いてい きます。私達は顕微鏡やさまざまなハイテクを使い、科学の眼で発掘した証拠の科学調査を行い、結果を学術界へフィードバックしています。


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三角縁神獣鏡の発掘について教えてください

古代鏡がたくさん出土した黒塚古墳の発掘では、三角縁神獣鏡が33枚も出てきて大発見と騒がれました。三角縁神獣鏡 は、卑弥呼の鏡とも言われています。中国の史書「魏志(ぎし)」倭人(わじん)伝には、三世紀に邪馬台国の女王卑弥呼が中国に使いを送り、魏の皇帝から銅 鏡百枚を贈られたと記されています。鏡がたくさん出てきた所が邪馬台国の場所で、それによれば近畿地方だという話になり(畿内説)、逆に九州の人は、中国 で発見されていない三角縁神獣鏡は日本で作られたと言う(九州説)。これが邪馬台国論争に発展していきます。黒塚古墳の発掘は、邪馬台国畿内説を唱える人 にとっては、好材料と言えるでしょう。


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なぜ三角縁神獣鏡の測定をしようと考えたのですか?

デジタルアーカイブのための測定対象は、見る機会が少ない貴重なものを取り上げますが、数があまり多いと大変です。 ある程度の数、希少価値、歴史的意義があるものがターゲットで、三角縁神獣鏡は適切な条件を備えています。また、今までされてきたさまざまな研究と違っ た、新しいこととは何があるのかを考えたときに、ほぼ100年間続く論争を、原点に返すことを思いついたのです。鏡の姿を正確に測り、真実の姿を見なおす ことで、議論をもう一度原点に戻したいと。三角縁神獣鏡は全国各地で計400枚ほど出土しており、違う場所で出てきたものを正確に測り、測定データを比べ れば差は明確になります。そのため、違う条件下、違う人、違う日時でも常に正確に測れ、比較できる技術が必要です。そこで精密に三次元で計測する「デジタ イジング」技術にたどりつきました。まず、黒塚古墳の33枚の鏡から始め、さらに同じ種類の鏡だけを測り、同じ時代の違う種類の鏡も測り、さらに中国から 出たものも測りたいなど、研究の幅は広がりました。現在は、各地に協力を願い、たくさんの鏡を計測する方向で、三角縁神獣鏡230枚を含む、計 540~550枚も測っています。


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三角縁神獣鏡に
刻まれた獣の顔の
三次元データ

大変意義ある取り組みだと思います

三次元の計測器を使って正確に測ったデータは、実物の文化財を調べる際の、もしかしたら八割、九割の情報を持ってい ます。正確に測定し、コンピュータの中で擬似的に光の条件を変えるなど、実際の観察と同じ環境を作り出せば、今までの謎が解けてくるかもしれません。この ような基礎作業の積み重ねが、考古学の新しい研究の基盤を築くことになると思います。我々は今、鏡をやっていますが、鏡だけではなく、さまざまな文化財に 適応可能です。博物館へ行かなきゃ見られない、博物館の中でも暗闇の中にしまっていて見えない、そういう貴重な文化財がヴァーチャルであるけれども、その 情報の百に近い相当な割合を自由に見ることができれば、例えば日本の鏡がある場所でしかできなかったような研究を、イギリスの研究者がイギリスでする時代 が来るかもしれない。さらにヴァーチャルデータのコレクションを持っている博物館が、コレクションを交換するなど、薄暗い場所に保存してある貴重な文化財 を、研究の発展や情報交換などに活用できる時代が来るかもしれない。そのときには、デジタル技術による三次元計測が基礎的なツールとなるでしょう。


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3次元デジタイザの中でATOSを選択された理由を教えてください

ATOSを選んだ理由は2つです。ATOSの前に、レーザー式の三次元計測装置を使っていました。ただこれはちょっ と重い(約80kg)。持ち運びが不便ということで、可搬性のATOSを選びました。神社や個人の所有物など、さまざまな場所に出かけていって撮影しなけ ればならないケースが多いからです。文化財は、ワンチャンスが多いです。様々な交渉事が上手くいって、そのときしか撮れないことがありますので失敗は許さ れません。もう1つは、ATOSはレンズさえ換えれば、計測範囲を自由に変えられるところです。それが発掘現場であれ、神社であれ、どこでも正確に測れな ければなりません。しかも、測る時間が短いに越したことはないです。精度高く撮りたい時もあれば、ラフだけども、短い時間で撮りたい時も両方あります。ま た、文化財というのは、本当に小さいものから、大きなものまでさまざまです。測定範囲を限定するシステムが多い中で、ATOSは、レンズなどの部品を換え れば対応可能です。


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測定の精度はどの程度必要なのですか?

測定精度は重要な問題です。まず本当にその鏡の技法が分る程度の精度が必要で、一枚直径20センチの鏡に400万点 位落としています。わかりやすく言うと、撮影時のデータ量がCD一枚分で、それに加工を加えるとDVD一枚分位になりますので、映画一本2時間分が鏡一枚 分ということです。ATOSのような三次元測定装置は、もともと自動車などのデザインに使うことが目的です。この場合、いかにデータを減らして処理をして いくかというのが、見せ所だそうです。我々は、まっすぐだったらまっすぐ、でこぼこだったらでこぼこの形状そのものに意味がある訳で、データは極力減らし たくない。本当に車一台が入る位のデータ量で、鏡一枚分ですが、この情報量というのは、とても大事になる。撮影したデータは、第三者の考えによって省略さ れたものではなく、非常に正確で、考古学者がこれから行うであろう様々な分析に、十分耐えうるレベルのものでなければならないと思っています。


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デジタルアーカイブの具体的な将来像をお聞かせください

我々がおこなっている活動は、今年が3ケ年計画の最終年度なので、成果を出さなければなりません。成果は、今ちょう どデータ処理の最終段階に入っているところですが、来年度一冊の本にまとめます。これは研究者向けですが、その先には複製を作ることも検討中です。複製を 作れば、研究者もより使いやすくなり、例えば博物館で実際に見て触れる資料に使えます。100分の何ミリ単位で精巧に作った鏡は、金属でできていますの で、触ったときに素材のぬくもりや重さなどを実感するなど、実物に大変近いものを体験できます。もちろん複製も可能なので、各博物館に一枚ずつ配ることも できます。教育上、実際の物に触れることは重要です。私がよく言うことですが、「学校の美術教室には石膏像が並び、理科室には人骨標本があるけれど、なぜ 社会には何もないのか?」。研究を社会科の教材として社会に還元できたらいいですね。それから、全国の博物館、東京の国立博物館、宮内庁、大学などのデー タベースが連携し、全国で出土した鏡がすべて見ることができるシステムを作りたいと思っています。それが、バーチャルミュージアムの一つの形になるでしょ う。


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今変革のタイミングを迎えている?

そうです。ターニングポイントにきています。しかしそれは3次元計測システムを道具に、モノを正確に測っていくことが基本なのです。現在私たちは、モノを地道に正確に測ることに力を注ぎ、歴史の謎を解くための基盤を作っているところです。


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将来的にはバーチャルアーカイブを博物館だけでなく、インターネットで研究者や一般の方々に公開することもあるのでしょうか?

まだ夢物語ですが、パソコンやインターネットの進歩は著しく、そういう可能性もあるでしょう。今はデータ量が莫大 で、インターネットで送ることは不可能です。将来は、画像圧縮技術も進歩し、通信速度も格段に速くなり、実現できる時代がくるかもしれません。しかし、デ ジタルデータですから、無断複製には注意しなければならないでしょう。私たちも大変慎重にデータを扱っています。実物に近い情報があり、それを誰もが使え るようになるとすると、鏡型の饅頭ができたりして(笑)。だから、その点は心配しているところで、むやみに出せないかもしれません。セキュリティが確保さ れれば、ネットでだれもが見られるという時代がきて・・・と、段階的に変わっていくのでしょう。
もっと夢を語らせてもらうならば、セキュリティや環境の進化によって、家庭の中に博物館が飛び込んでくる時代がくるかもしれません。今もテレビで世界遺産 を紹介する歴史番組などがありますよね。もっと身近にルーブル美術館の彫刻や名画、また古代鏡なども目の前に現れてくるという時代がくるかもしれない。


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三角縁神獣鏡のデジタルアーカイブの成果は?

今回の三角縁神獣鏡では、邪馬台国論争を解き明かしていくときの材料として使える可能性はあります。デジタルアーカ イブで完全決着ができるといいのですが、また謎が謎を呼ぶかもしれません(笑)。確かなのは今回の試みが、文化財に対する見方を変えていく一つの契機にな るということです。


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世界的に、他にこのような例はあるのでしょうか

これだけ大量のアーカイブスを蓄積しているという例は、世界的にも非常にユニークなことです。今後デジタルアーカイブを通じ、文化財を共有する時代が来るでしょう。


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