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MSYS(丸紅情報システムズ)

京都大学 導入事例

将来、大きな飛躍が期待されている『MEMS』。
京都大学 工学研究科では、そうした時代の流れを受けて、数年前よりMEMS教育に力を入れている。その取り組みはこれまで2回にわたって紹介してきたが、2007年末、新たなステージに突入した。
「以前のような素朴な感動だけでは満足してはいられません。もっと別の何かを手に入れつつあります」確実に進化を遂げる、MEMS教育現場を追った。


MUMPs®について

MUMPs®は、試作から量産に至る幅広いMEMS製造サービスを提供するMEMSCAP社の試作サービスです。標準的なMEMSプロセスを用いる試作として、世界各国のユーザに利用され実績を残しております。複数ユーザからデザインを集め、同じウエハで一括製造しているので、試作コストを抑え、基礎研究段階で手軽にご利用いただけます。標準サービスでは、ユーザは1cm×1cmのデザインスペースにMEMSCAP社のホームページに公開されているデザインルールに従いマスクデータをデザインします。Runスケジュールに合わせて作成されたデザインは、丸紅ソリューション経由でMEMSCAP社のプロセス工程を経て、約2カ月後に最大15個のチップに仕上がります。

Coventor Wareについて

Coventor Wareは、MEMSデバイスを生成、モデリング、解析、インテグレーションを実行する4つの製品、Architect・Designer・Analyzer・Integratorから構成されている、MEMS専用設計解析システムです。開発元であるCoventor社は、1995年に設立され、マサチューセッツ工科大学(米国ボストン)との共同でマイクロマシンの解析シミュレーションを開発し、世界に先駆けてマイクロマシン解析ソフトウエアを商品化しました。Coventor WareはワールドワイドでMEMSとMicro Fluidicsのトップメーカー10社を含む150社以上の企業・研究機関で使われており、注目すべきは大学・教育機関では1700ライセンス以上使われています。

2007年12月8日、香港

京都大学 田畑修教授無数の高層ビルが立ち並ぶ。夜になると「100万ドルの夜景」の異名をもち、世界各国から観光客が押し寄せる都市、香港。2007年12月8日、その大都市の郊外にある香港科学技術大学に、京都大学の大学院生らが集まっていた。
メンバーは修士課程の学生3名、博士課程から1名、社会人1名。その5名を率いているのは、京都大学大学院の田畑修教授である。
京都大学では2005年4月に大学院に「マイクロエンジニアリング専攻」が誕生、MEMS関連の講義を開始し、その年の9月には医学と工学の融合をめざした「ナノメディシン融合教育ユニット」をスタートさせた。
2005年時点のMEMS関連市場規模は約4,400億円といわれている。特筆すべきはその応用分野の広さである。情報通信機器だけでなく、医療福祉機器、自動車、環境、バイオテクノロジー、アミューズメント分野など、ありとあらゆる分野での応用が期待されている。(財)マイクロマシニングセンターでは、2010年には1兆1,743億円、2015年には2兆4,074億円の市場規模に成長すると予測している。このMEMSが秘める可能性、市場ニーズの高さゆえに、京都大学工学研究科ではMEMS関連のカリキュラムを増やしているのだ。MEMSは「ものづくり」であり、教育現場では実際にMEMSデバイスをつくる体験が何よりも効果的である。しかし、それをしたくても、試作コストが高くほとんどできないという状況があった。そこで京都大学が2006年に取り入れたのが『微小電気機械システム創製工学』という講義である。日本国内では珍しいMEMSの“つくる体験”ができるもので、社会人中心に毎年20名が参加。その様子はすでにレポートしたとおりだ。
そして2007年、京都大学では、“つくる体験”ができる大学院の講義に、これまでにない新たな取り組みを加えた。香港科学技術大学との共同講義である。受講生たちが香港に来たのはその一環である。
“つくる体験”に加えて、海外の大学と連携が学生たちに何をもたらすのか。そこには、田畑教授のある思いが宿っていた。


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世界を相手にするために

世界を相手にするために

「そもそものきっかけは2006年7月に、私の研究室に香港科学技術大学のウォン教授が滞在したことです。ウォン教授とは15年ほど前の国際会議で出会ってからのつき合いで、滞在期間中にいろいろと研究・教育談義をしている中で、香港科学技術大学と京大でジョイント講義をしようという話になったのです」
田畑教授は海外との連携には、大きな教育的意義があると感じていた。
「日本の学生は、働く場を日本国内と想定しがちです。しかしこの国際化の時代では世界を相手にしなければなりません。そのためにはまず英語でコミュニケーションするだけでなく,議論するスキルを身につける必要がある。そこで海外の大学と手を組むことが重要と考えました」
香港の大学では、授業がすべて英語でおこなわれており、日本との時差も1時間と少なくコミュニケーションもとりやすい。優秀な京都大学の学生といえども、講義や日常会話はもちろん日本語で行われており、全員が英語での講義や議論を楽にこなせるというわけではない。しかし田畑教授にはある光景が頭から離れなかった。
「以前、研究室の学生たちとのゼミに留学生を加え,ミーティング資料も議論も英語でおこなったことがあったのですが、結構しっかりやるんですね。色々考えず、その環境に放り込んでしまうことも必要ではないかと思うのです。」
田畑教授とウォン教授が意識したのは、両大学の学生が同じ内容の講義を受けられる環境を整備することだった。講義は大きく2つに分かれ、1つは、MEMSデバイスをつくるためのマスクを設計し形にすること、すなわち与えられた課題の達成を目的とする。もう1つが、課題に関連する内容で、MEMSのシステム設計論や基本原理など周辺知識の講義だ。
この講義は双方の大学で分担され、講義のすべてが英語でおこなわれる。
そして2007年秋、田畑教授とウォン教授が1年以上もかけて練った講義が始まったのである。


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英語の3ヶ月間

英語の3ヶ月間

当初、講義はインターネットを使った遠隔講義システムを用いておこなう予定だったが、香港の大学院は社会人が通えるように夜間に開かれるため、講義が昼間に実施される京都大学とは時間が合わなかった。そこで、田畑教授やウォン教授など講師陣が、お互いに現地にできる限り足を運び合い、それで補えない部分は講義をビデオ撮影し、学生たちはそれを見て、質問はそれぞれの担当教授が受けるというスタイルとなった。
その講義と平行して進められたのがMEMSの設計である。香港にデバイスをつくる実習科目があったことから試作過程は香港側が担当。設計・解析ソフトは、両大学とも所有していた『Coventor Ware(コベンタウェア)』が選ばれた。
与えられた課題は、領域が0.5mm×0.5mm四方、最大電圧は10Vで、決められたプロセスルールに従って製作される断面構造をもたなければならない。その条件の中で、先端がなるべく大きく動くマイクロレバーをつくる、というものである。
そして、2007年10月6日にネット上で両大学がお互いに最初の顔合わせをした。今回の講義は京都大学側が社会人2名を含む6名、香港科学技術大学側が6名の計12名が受講したが、この日、双方の大学の受講生それぞれ1名ずつでペアを組み、計6チームがMEMSの設計を共同で進めていくことになったのである。
京都大学の受講生たちは忙しい講義や研究の合間を縫い、メールやメッセンジャーなどを使い、アイデアを出し、コンセプトを煮詰め、具体的な設計へと進んでいった。もちろんすべて英語での議論である。
1ヶ月後の11月3日には設計のプレゼンテーションをおこない、さらに1ヶ月後の12月8日、遂に設計したデバイスが完成し、田畑教授と受講生の面々は評価のために香港へと向かったのである。
その香港で、田畑教授はMEMS教育の確かな一歩を感じることになる。


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「感動」から「Why」、そして「More」へ。

「感動」から「Why」、そして「More」へ。

香港科学技術大学の建物の1室。そこに両大学の若者たちが集まった。
プロジェクターでパソコンの画面が教室正面に映し出され、チームごとに順番に登場し、設計コンセプトや結果、課題などを英語で説明していく。京都大学の学生は慣れない英語のため、みな緊張気味だ。英語によるコミュニケーションはこの日、終日続いたが、それは若者たちにさまざまな思いを残したようだ。
「設計段階まではメールを使ってやりとりをしていましたが、そのときはさほど問題は感じていませんでした。しかし、実際に対面すると緊張してしまい思ったように表現できませんでした」(内田雄喜さん、修士課程)
「私もメールでのやりとりは苦ではなかったのですが、直接対面したときは自分の思いを伝えるのに苦労しました」(浦靖武さん、修士課程)
その一方で自信をつけた学生もいる。修士課程の種村友貴さんである。
「香港に行く数ヶ月前にアメリカに1ヶ月ほど滞在していたこともあり、コミュニケーションはスムーズにいきました。逆にメールのやりとりのほうに難しさを感じたほどです」
受講生たちが設計したデバイスは実際にプローブが当てられ電圧が加えられた。マイクロレバーの動きは最も小さかったチームで7ミクロン、最も大きかったチームはなんと45ミクロンにも達した。優勝したのは修士課程の浦靖武さんのチームだった。
「Coventor Wareの解析結果では大きく動いたものの、まさか解析通りにはいかないだろうと思っていました。ところが解析通りの結果が出て、当事者ながら少し驚きました。」
今回特筆すべきことがある。6組ともすべて動いた点だ。1年半前の『微小電気機械システム創製工学』のとき動いたのは14組中8組と約半数だったのである。
「これまでの講義の経験から、学生が犯しやすい失敗例がわかってきたため、受講生たちにあらかじめポイントを伝えてありました。もちろん、失敗することも大事なのであくまでも最低限のことだけですが」
今回は動くことを確認したあとでプレゼンテーションをおこなったこともあり、前回のようにプレゼンの時に動くだけで不思議な感動に包まれるといった雰囲気はなかったという。
「ただ、逆に『なぜ設計通りにいかなかったのか』といった議論を重ねることができました。その意味で確実に深みが出ています」
香港科学技術大学との連携は今後も続く予定で、学生たちの英語によるコミュニケーションもさらに積み重ねられることになる。
若者たちは貪欲だ。かつてのような素朴な感動では満足できなくなった。彼らは、将来の夢を力強くこう語る。
「大きいものを小さくして『小さくできました』ではなく、大きいものではなし得なかったものを、小さくすることで実現してみたい」──。
「感動」から「Why」、そして「More」へ。
京都大学のMEMS教育は、第二章に入っている。

「感動」から「Why」、そして「More」へ。

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1956年9月21日生
1981年3月 名古屋工業大学大学院修士課程修了
1981年4月 (株)豊田中央研究所入社
1996年4月 立命館大学理工学部機械工学科助教授
2000年4月 同教授
2003年9月 京都大学大学院工学研究科機械工学専攻教授
2005年4月 京都大学大学院工学研究科マイクロエンジニアリング専攻教授
この間
2000年9月~12月 ドイツ、フライブルグ大学客員教授
2001年1月~3月  スイス、連邦工科大学客員教授
主として、シリコンマイクロマシニング、三次元微細加工技術、薄膜の機械的物性計測、シリコンマイクロセンサ、MEMS、マイクロシステムの研究に従事。京大では機械・電気・化学・光・バイオなどの機能要素をマイクロメータからナノメータの微小領域において統合することによって、新規でユニークな機能を発現させるマイクロ・ナノシステムを構築するためのナノシステム統合工学の確立を目標とし、三次元微細加工、ナノアセンブル、薄膜機械物性評価、マイクロ・ナノシステムなどに関する研究に取り組んでいる。
Journal of Micro Electro Mechanical Systems およびSensors and Actuatorsのeditorを務めると共に、International Conference of Micro Electro Mechanical Systems(MEMS)をはじめ多くの国際会議の組織委員,論文委員を務める。
1987年 日本ME学会研究奨励賞受賞
1991年 電気学会論文発表賞受賞
1993年・1998年 R&D100Award受賞
2002年 センサ・マイクロマシンと応用システムシンポジウム最優秀ポスタ賞受賞
2004年 立命館大学渡辺三彦発明賞受賞
電気学会、日本機械学会、IEEE Seniorメンバ
工学博士  
・趣味 4年前よりボイストレーニングを開始。その理由は「思う存分声を出すのが気持ちよさそうだったから」。京都市内の音楽教室に通い、最初は発声練習が中心だったが、今では田畑教授のレパートリーは「Bridge Over Troubled Water」、 「The Rose」、「さくら」、「涙そうそう」など洋楽、邦楽合わせて10曲近くになった。「講義のときに、後ろまで声が届くようになったと思う」と副産物も生まれている。

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