Extreme Campus Fabric 導入事例
松戸市立総合医療センター 様

Aug.2018

3カ月間でトラブルなく着実に病院を移転せよ!
―医療サービスの生命線を担う先進のネットワーク技術―

病院の移転は、入院患者はもとよりシステムや医療機器などを、医療サービスを停止することなく移動させなければならない一大プロジェクトだ。50年以上、地域の中核病院として住民の健康に寄り添ってきた国保松戸市立病院は建物の老朽化に伴い、1.5キロメートル離れた場所に移転し、松戸市立総合医療センターとして開院することになった。課題は旧病院で診療を継続しながら、電子カルテシステムや医療機器を移設する必要があったことだ。期間はわずか3カ月。移転中も医療サービスを支え続けた先進のネットワーク仮想化技術とは?システムや医療機器をトラブルなく着実に移設した病院移転プロジェクトの舞台裏に迫る。

01わずか3カ月間で新病院への着実な移転を目指す

2017年12月27日、地域医療の中核病院として千葉県松戸市が建設を進めていた松戸市立総合医療センターが開院した。9階建て・600床の急性期病床を有し、32科の診療科を備える同センターは、救命救急センターや災害拠点病院、地域がん診療連携拠点病院、地域周産期母子医療センターなど高度総合医療サービスを提供する。患者の利便性や医療スタッフの働きやすさを考慮した設計も特徴だ。救急外来、手術室、検査室などを効率的な動線上に配置し、救急診療の迅速化を実現。産科病棟、新生児科病棟、小児科病棟を同じフロアにすることで診療科間の連携強化も図っている。また、屋上にヘリポートを完備し、災害時や緊急時には広範囲から重症患者を搬送し、高度な救急医療に対応する。
「すべての人に『来てよかった』と思われる病院を目指します」という理念を掲げる同センターには、訪れる人が心地よく感じ、気持ちが休まる空間が広がっている。今は静かな時間が流れているが、開院3カ月前は医療システムの移設や機器の搬入で忙しく人々が行き交っていた。50年以上にわたり地域医療を担ってきた国保松戸市立病院が建物の老朽化に伴い、1.5キロメートル離れた場所に移転し、開院したのが同センターだ。病院の移転は、入院患者はもとよりシステムや医療機器などを、医療サービスを停止することなく移動させなければならず、同じ敷地内でも大変だが、離れた場所への移転となれば様々な難題に立ち向かわなければならない。また大きな課題となったのは、新病院にサーバ群を移設している間も、旧病院で医療サービスを継続して提供する必要があったことだ。

松戸市総合医療センター 高橋 雅敏 氏

02病院移転では医療サービスを担う生命線となるネットワークを重視

病院移転は、人々の健康や生命に関わるため失敗は絶対に許されない。着実な病院移転のためのプロジェクト体制は、新病院開設課とに旧病院でシステムの運用に携わっていた松戸市病事業管理局 経営企画課 情報システム係が中心となった。医療サービスを支えるシステムを担う情報システム係が最も重視したのがネットワークだった。「ネットワークが止まってしまうと、電子カルテシステムも医療機器も使用できなくなります。ネットワークは医療サービスを支える生命線なのです」と情報システム係 高橋雅敏氏は話す。 今回、ネットワーク構築ベンダーの選定において、情報システム係では3つのポイントを強く要望したという。

  1. ネットワークが止まらない高可用性
  2. 新病院への電子カルテシテムのサーバ移設後もネットワーク経由で旧病院から電子カルテシステムの継続利用が可能
  3. サーバ、パソコン、医療機器などの着実な移設

この3つのポイントに加え、コスト、サポートなどの様々な要件を満たした上で、一般競争入札により配線工事を含めて丸紅情報システムズの提案が採用された。 2017年4月、新病院のネットワーク配線工事が着工され、同年9月には配線も含めて建設工事が完了した。2017年12月27日の開院に向け、最初に移設したのは医療サービスの基幹となる電子カルテシステムのサーバだった。移設後も旧病院での医療サービスを継続するために、ネットワークを利用し新旧病院で電子カルテシステムを並行稼働させた。旧病院で電子カルテシステムを利用している中で、新病院に次々と移設・新設される医療機器をネットワーク構成に組み込むということは、ネットワーク設定の複雑化を招き、設定不備などによる障害発生のリスクも高くなる。

山本 紘平 氏

03ネットワークの仮想化で病院移転から距離の壁をなくす

移設作業中も旧病院で電子カルテシステムを利用して診療を継続するため、仮に障害が発生した場合も電子カルテシステムに影響することのない「止まらないネットワーク」の構築が求められた。
「旧病院では以前にネットワークの中核を担うコアスイッチが故障しても副系に切り替わらないトラブルが発生したことがありました。冗長化していたのですが、ネットワーク全体が停止するリスクとは常に隣り合わせでした」と高橋氏は話す。そうしたリスクを回避するために、丸紅情報システムズはネットワーク製品にExtreme Campus Fabricの採用を提案した。同製品の先進的なネットワーク仮想化技術を高く評価していたからだ。常に最短の経路を自律的に見つけることができることから、障害が発生した場合も迂回路が自動的に確保され、ネットワークが止まることはない。「仮にコアスイッチが2台故障してもネットワークは動き続けます。またネットワークの部分的な障害がネットワーク全体に影響を及ぼすことはありません。止まらないネットワークが電子カルテシステムや医療機器のスムーズな移設に果たした役割は大きく、開院後の安心・安全な医療サービスの実現に貢献しています」(高橋氏)
ネットワークの仮想化は新旧病院間の1.5キロメートルという物理的な距離による制約もなくした。新旧病院間をダークファイバー※を使って物理ネットワークで結び、その上で仮想ネットワークを延伸することで、旧病院でも新病院でも同じ場所にいるかのようにシステムの利用やネットワークの柔軟な設定を可能にした。1本のダークファイバーでは回線が切れた場合の影響が計り知れないため、丸紅情報システムズはバックアップ回線にインターネットVPN(Virtual Private Network)※を採用し、信頼性を高めた。
「3カ月間、旧病院でも普段と変わりなく電子カルテシステムを使って診療することができました。お医者さんや看護師さんは新病院にサーバがあると聞いてびっくりされていました。並行稼働期間があったので、医療現場と相談しながら医療機器を段階的に移設することができました。電子カルテシステムを止めたのはサーバを移設した2017年10月の3連休だけでした。その3日間は旧病院に仮のサーバを立てて電子カルテシステムを閲覧できるようにしました」(高橋氏)
今回、ネットワークの設定は膨大なピースで複雑なパズルをつくるかのようだった。電子カルテシステムのサーバを新病院に移設した際、電子カルテシステムと旧病院のパソコンや医療機器との連携のための設定を行った。その後、旧病院のパソコンや医療機器を新病院に移設した時にネットワークの設定を変更し、さらに新規医療機器への対応も求められた。いかに度重なる設定変更に柔軟に対応し、設定不備などのリスクを回避するか。課題解決のポイントとなったのが自動化だ。
「Extreme Campus Fabricはコアスイッチからネットワークの末端で端末の接続に使うエッジスイッチまですべてが仮想化されているため、設定変更が発生した場合も末端のエッジスイッチの変更のみで、接続経路は自動的につないでくれます」と情報システム係 山本紘平氏は説明する。パズルに例えるなら、両端にピースを置くとその間のピースが自動的に動き出し形を成していくようなもの。「簡単に設定できるためリスクも最小化できます。仮に設定の不備があっても、自律的に違う経路を利用するためネットワーク全体に影響を及ぼしません」(山本氏)
3カ月という短期間、1.5キロメートルの距離といった高いハードルがあったにも関わらず、医療サービスの継続を実現しながらトラブルなく移設できた理由は、先進的なネットワーク仮想化技術の活用に加え、プロジェクトチーム内の密な連携にあった。

※ダークファイバー:予備扱いなどで使われていない光回線(光ファイバー)のこと。
※インターネットVPN(Virtual Private Network):仮想的に専用線のような接続を可能にし、インターネットで独自のネットワーク(プライベートネットワーク)を構築すること。

04高度な専門知識がなくてもネットワークの設定が簡単にできる

移転プロジェクトでは毎週、新病院開設課と情報システム係、丸紅情報システムズの3者で定例会を開き、進捗の確認や課題の共有を行った。病院スタッフと各ベンターの間に入って具体化していく役割を担った高橋氏は、「電子カルテシステムと医療機器の連携では、丸紅情報システムズにメーカーとの調整をお願いしました。また新規の医療機器についてネットワークに関する技術的な相談にものっていただきました」と振り返る。 新病院開院後、実際に医療活動を行う中で、電子カルテシステムの新規利用や、パソコンの位置を変えるレイアウト変更への対応など次々と要望が寄せられているという。それらのネットワークの設定や変更を行っているのは山本氏だ。「高度な専門知識を持った技術者でなくても、ネットワークの設定が簡単にできるため、業者に頼むことなく情報システム係で対応が可能です」と山本氏。そして、様々な要望にコストを抑えながら対応できているのは予備の線を設置してあったからだと付け加えた。「当初、新病院に約2,200本のネットワークを設置する計画でしたが、各部門からの要望もあって約3,300本に増やしました。各部屋にネットワークの線を必ず1本は設置しており、必要になったときにケーブルをつないで、設定するだけですぐに電子カルテシステムを使うことができます。会議室を診療室に変更するといったニーズにも柔軟な対応が可能です。情報システム係でネットワークの設定を行うことでコスト削減はもとより、各部門からの要望への迅速な対応により医療サービスの向上に貢献できます」
2017年12月27日、新病院の開院以来、ネットワークを起因とするトラブルは一切起きていない。目に見えないネットワークが、地域住民の健康的な暮らしに欠かせない安心・安全な医療サービスを支えている。

Solution

Extreme Campus Fabricについて

Extreme Campus FabricはシンプルなプロトコルShortest Path Bridging(SPB)を採用しています。SPBは、Extremeと主要なネットワークベンダーが中心となり標準化された仕組みです。従来の仮想技術はデータセンター利用のみをターゲットにしていたため、コアスイッチしか仮想化に対応していませんでした。Campus Fabricはコアスイッチからエッジスイッチまで仮想化に対応しており、エンタープライズでの利用ニーズに応えます。
Extreme

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