人と音楽の新しい関係をデザイン 眠らない巨大音楽ビジネスを支える【レコチョク/山崎 明男/島上 伊知朗】

レコチョクの「着うた®」と「着うたフル®」の累計有料ダウンロード数が
10億ダウンロードを突破したのは2008年のことだ。
日本の音楽配信市場は1990年代にパソコンを中心に黎明期を迎え、
携帯電話向けを中心に急速に発展、成長を続けてきた。
ここ数年、スマートフォンの台頭により音楽の視聴環境や人々の視聴行動が大きく変化する中、市場を牽引してきたレコチョクは音楽を届けるだけではなく、音楽が持つ付加価値を見つけ、さらなるサービス創造に取り組んでいくことこそ、今、果たすべき役割であると捉え、2014年に新しいCIを定め音楽市場の最大活性化に向けて進む方向を明らかにした。
「人と音楽の新しい関係をデザインする。」、
新CIのスローガンに基づいた音楽との新たな出会いや楽しみ方の創出は、
既に月額制聴き放題サービス「レコチョク Best」やゲーム機である
ニンテンドー3DS™向け音楽配信サービスの展開等が実現している。

レコチョク社員の皆さん

ターニングポイントを迎えた国内の音楽配信市場

1877年にエジソンが発明した円筒型蓄音機はレコードとして発展したが、1980年代に普及したCD(コンパクトディスク)に置き換わっていった。音楽を記録するメディアの主役がレコードからCDへと交代するまでには1世紀を要したが、音楽のデジタル配信サービスは、新たな音楽の楽しみ方を提案し、今なお進化を続けている。
日本国内の音楽配信サービスにとってエポックメイキングな出来事は、2002年に世界初の携帯電話向けサービスとして開始された「着うた®」と、2004 年の1曲フルにダウンロードできる「着うたフル®」の登場だろう。2008年にはレコチョクにおける両サービスの累計有料ダウンロード数は10億ダウンロードを突破。世界の音楽配信ビジネスでも記録的な数字となった。しかし国内主要レコード会社の共同出資で設立、運営されている同社にとってビジネスの成功はもちろん、音楽市場の最大活性化も重要なミッションだ。
携帯電話の普及とともに成長した国内の音楽配信市場だが、スマートフォンの登場によりターニングポイントを迎えている。2014年、同社は次代の音楽配信サービスの方向性を示す新CIを定めた。新CIのスローガン「人と音楽の新しい関係をデザインする。」には「今まで思いもつかなかった、誰もやらなかったことを、新しい価値として提供し、音楽市場の最大活性化を目指す」という決意が込められている。
新CIの考え方を具現化したのが「音楽は、記憶だ」というコンセプトのもとで展開されている聴き放題サービス「レコチョクBest」だ。

音楽との出会いを大切にするサービス

「レコチョクBest」に登録するとすぐに「あなたにぴったりの音楽プレイリストを追加しました」というメールが届く。リストには10代の頃に流行っていた楽曲が並んでいる。「部活の帰りに友達と一緒によく口ずさんだな」など聴くほどに思い出も再生されていく。懐かしいメロディとの再会だけではなく、新たな音楽との出会いも用意されている。元気がでる歌、季節にちなんだ曲、テレビでよく聴く音楽、想い出のCM曲、アーティストが選ぶ曲などプレイリストは1,000に及ぶ。近頃の大学生がカラオケで選ぶ歌もわかってしまう。
音楽を聴くという行為の背景にある個人的な体験や経験を音楽ビジネスの鍵とする。スマートフォンやパソコン経由で家族や友だち、恋人などにメッセージ付きの楽曲をプレゼントできる「うたギフト」も個人の思いに応えるものだ。音楽との出会いを大切にするのはレコチョクのすべてのサービスに共通する特徴といえるだろう。
現在、同社の事業は会費無料で1曲単位で楽曲を購入するダウンロードサービス(アラカルトダウンロード)と、月額制で音楽が聴き放題となるストリーミングサービスの大きく2本の柱がある。
ダウンロードサービスは、一度購入した楽曲は携帯電話、スマートフォン、ニンテンドー 3DS、パソコンなど複数の端末でダウンロードできる。暮らしの様々なシーンで異なったデバイスでも好きな音楽を聴くことができるので利便性が高い。またストリーミングサービスには好きな楽曲を選べる聴き放題型サービスの「レコチョクBest」と、編成された多彩なチャンネル(プレイリスト)を楽しめるラジオ型サービスの「dヒッツ powered byレコチョク」「うたパス」がある。
社会人となった、家庭を持った、子供が生まれたなど生活環境が変わるのに伴い、音楽への向き合い方や楽しみ方も変わっていく。その変化に合わせて音楽の聴き方を提供していく。人と音楽の新しい関係づくりにシステムの果たす役割は大きい。
「人それぞれのライフスタイルに合った音楽配信サービスを提供するためにICTインフラには24時間365日の安定稼働はもとより高いパフォーマンスが求められます」と、事業システム推進部 基盤運用グループ マネージャー 山﨑明男氏は話す。
システムの信頼性とパフォーマンスに大きく影響する要素にデータ量がある。2013年、事業システム推進部は収蔵楽曲数を拡大する経営戦略に応えるためのシステム刷新に取り組んでいた。

山﨑 明男 氏

データベースの高速化ではストレージの性能が重要

同社の音楽配信ビジネスは複数の重要なシステムによって支えられている。その中に各レコード会社に音楽データのダウンロードやストリーミングの実績をレポートする集計システムがある。目的に沿ってデータを収集・管理し、容易に検索・抽出して利用できるようにする集計システムは事業活動に必要不可欠だ。
同社は2014年に音楽データベース及び集計システムを刷新した。レコード会社のビジネスにも関わる売り上げ分配などの集計システムは重要であり、パフォーマンスとともにコストの抑制も重要な課題となっていた。
「データ量の増加に対応していくことでソフトウェアのライセンス費やメンテナンスコストが上昇していくことは大きな問題でした。そこで、パフォーマンスを向上しながらも運用コストを最小化できる構成を考えました。鍵となったのはオールフラッシュストレージの活用です」と、事業システム推進部 基盤運用グループ 島上伊知郎氏は話す。
従来のハードディスクを主体としたストレージは高速回転する磁気ディスクや磁気ヘッドの移動を伴うためI/O(データの入出力)に遅延が発生してしまう。半導体のフラッシュメモリを用いるフラッシュストレージは動作上の無駄がなく高速なI/Oを実現できる。
「データベースはストレージにデータを格納するため、パフォーマンスの向上ではサーバの性能よりもストレージの性能が重要なポイントとなります。ストレージの性能を向上するためにディスクを増設していては投資対効果の面で問題があり、当初からオールフラッシュストレージしか考えていませんでした」(島上氏)
オールフラッシュストレージの選定では運用面とコストに加え、本番データで検証することにこだわったという。「フラッシュストレージは利用したことがなかったため本番データを使って細かく検証し挙動を把握しておくことが不可欠でした。失敗は許されませんから徹底的に検証するためにも当社のデータセンターで本番に近い検証環境を構築し、可用性やパフォーマンスを細部にわたって作業を行う必要がありました。そんな当社の思いを理解し、すぐに機器を貸し出して検証環境の構築をサポートしてくれたのが丸紅情報システムズさんとピュア・ストレージさんでした」(山﨑氏)
検証では冗長化された部品を1つずつ抜き差しして問題がないことを確認。切り替わる時間は1分以内を条件とした。また今後増加するデータ量に対応できるか、仮想的に負荷をかけてパフォーマンスもチェックしたが、処理スピードはほとんど低下することがなかった。
2014年1月、同社は検証結果を受けてピュア・ストレージの採用を決定。その理由について「最終的にはサポート力が決め手となりました。検証の際も丸紅情報システムズさんの技術支援に助けられました。またピュア・ストレージの専門技術者のアドバイスを受けられる機会もつくっていただき、当社がピュア・ストレージさんとも良好な関係を築き導入へむけ環境を整えてくれました」と山﨑氏は話す。
2014年4月、新システムは本稼働後、安定稼働を続けパフォーマンスも向上した。

音楽との出会いを創造する同社の歩みは止まらない。2014年、新CIに基づく活動の一環として次世代の音楽ビジネスやサービスを研究する「レコチョク・ラボ」を設立。海外の先進ビジネスモデルの調査・分析、国内音楽ファンのリサーチ、大学との産学連携プロジェクトなど人と音楽の関係やその可能性を広げる役割を担う。レコチョク・ラボと米国発の音楽認識検索アプリ「SoundHound」等とのコラボレーションによる新たな音楽の楽しみ方の提案も成果の1つだ。「SoundHound」アプリをAndroidスマホにダウンロードし、鼻歌やスピーカーから流れる音楽を聞かせるだけで楽曲を自動的に検索、その楽曲をレコチョクで購入することも可能だ。また、音楽配信のノハウを活かし協業サービスの展開にも積極的だ。
「スマートフォンで音楽を聴いている人を見かけると自身の仕事の役割や重要性を改めて感じます。24時間365日、何かトラブルがあったときにはすぐに対応するために居酒屋や寝室などでも携帯電話は手放せませんが(笑)、苦労というより大きなやりがいを感じています」(山﨑氏)
音楽を聴く人の喜びが音楽配信サービスを担っている人のモチベーションを支えている。

島上 伊知郎 氏

導入された製品情報

ピュア・ストレージについて

これまでオールフラッシュストレージはコストや信頼性などに課題があったため特定分野での利用に限られていました。Pure Storage社が目指す「すべてのストレージをフラッシュに」というビジョンを実現するべく、「ピュア・ストレージ」はコモディティのハードウェアを使用しコストを抑え、エンタープライズのニーズにソフトウェアによる制御で応えます。独自のインラインでの重複排除、圧縮機能による高いパフォーマンスをハードディスクストレージと同等の価格で提供します。

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