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産業技術総合研究所 導入事例

ナノインプリント

研究開発用途に特化した、デスクトップサイズの超小型熱ナノインプリント装置です。高性能セラミクスヒータと高精度サーボモータを搭載したインプリントヘッド、そして使い易いユーザインターフェースを備えた装置で、熱ナノインプリントプロセスが効率よく高精度に行えます。

1982-2000年 オムロン 中央研究所
                       微細加工技術、MEMS、微小光学素子の研究開発
2000-2001年 サムスン総合技術院
                       光MEMS、微細成形技術の研究開発
2001-2002年 日立ハイテクノロジーズ
                       ウエーハ検査装置の開発
2002-2003年 デバイス・ナノテク・リサーチ・インスティチュート(現 物産ナノテク研究所)
                       MEMS、ナノインプリントの研究開発
2004年-現在 (独)産業技術総合研究所 先進製造プロセス研究部門(招聘研究員)
                       ナノインプリントの研究開発
2005年-現在 ナノクラフトテクノロジーズ(産総研技術移転ベンチャー)取締役
                       ナノインプリント技術の事業化

未来の技術である。
未完成の技術でもある。
しかし、10年後20年後に、我々の生活を大きく変える可能性を秘めた技術でもある。
「今話題の次世代DVDの『Blue-ray DISC』や『HD DVD』はもう古い技術です。我々が取り組んでいるこの技術を使えば、容量が飛躍的に増える可能性がある。それだけでなく、さまざまな分野への応用が期待できるんです」
「ナノインプリント」──。
ナノ、つまり0.000001mm単位という途方もなく微細なものをつくることができる夢の技術だ。
そして産業総合技術研究所の後藤研究員は、ナノインプリントの将来を占うことになる装置を開発した。小型冷蔵庫ほどのコンパクトなボディに液晶画面──。
後藤研究員が、まだ見ぬ未来を語った。


電子線描画装置では不可能だったものを実現

「未来を創る」にふさわしい建物だった。産業技術総合研究所の臨海副都心センター。全面ガラス張り。壁の中を白い鉄柱が何百本も組まれ、エントランス部分は20メートル以上はある鉄骨が緩やかな曲線を描いている。遠くから見るとまるで巨大な宇宙船のようですらある。
産業技術総合研究所は独立行政法人で、通称「産総研」と呼ばれる。その使命は産総研独自、あるいは大学などと連携して新たな技術を開発し、それを民間企業などに技術移転することで日本の発展を目ざすことである。
後藤研究員は民間企業に勤めたのち、2004年1月から産総研に勤務。ここで研究しているのがナノインプリントである。
「私はずっと微細加工装置の研究をしていました。その中で一時期携わっていたのが電子線描画装置です」
半導体回路などの微細パターンをつくる場合、一般的には「光露光法」と呼ばれる露光装置を使う。レジストと呼ばれる感光剤を塗ったシリコン基板に、フォトマスクを介して光を当てることで形をつくっていくというものだ。しかし光露光法は主に光の波長によって最小線幅が制限されてしまうため、より微細なものをつくりたい場合どうしても限界があった。そこで登場したのが電子線描画装置である。
「電子線は光と比べると波長が非常に短いので、光露光と比べると圧倒的に微細なものをつくることができる。それこそ、数10ナノメートルレベルのものを作り出すことができるようになったのです」
だが、その電子線にも欠点があった。そこで、後藤研究員が目をつけたのがナノインプリントだったのである。


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大量に、より小さなものを生産できる技術

電子線描画装置の致命的な欠点、それは「描画時間が長い」ということである。
「電子線描画装置は細い線を1点1点照射していくので、小さいものでも数時間、大きいものだと数日から1週間以上もかかってしまう。量産を考えた場合、あまりに非現実的なんですね。そこで微細なものを量産できるものとしてナノインプリントが出てきたのです」
ナノインプリントの仕組みはこうだ。原版(型)をつくり、あとはハンコのように材料に型を押しつけて転写していくだけ。型さえできれば、あとは印刷機のように大量に複製をつくることができるのが特長だ。
「実際にはこれまでも微小なものを大量に生産する技術はありました。その代表例がコンパクトディスク(CD)です。CDの表面にはピットと呼ばれる非常に細かい凹凸があり、溶かした樹脂を型に流し込んで押さえて固めるのですが、薄くなればなるほど樹脂が入っていかないという問題がありました。そこでそうした欠点を克服し、より微細なものを大量生産できるようにしたものがナノインプリントなのです」
CDは最小でも1.2~1.3ミクロンの単位だが、ナノインプリントはサブミクロンレベルのサイズまで対応できる。それにより、CDやDVD、さらにはハードディスクなどの記憶容量を圧倒的に増やすことが可能になる。
「しかし、ナノインプリントはまだ黎明期で、ナノインプリントで製造された商品はまだ世の中にはさほど多く出回っていません。というのは、スループットの向上や製造コストがいくらになるのかなど未知な部分がまだ多いからです。そこで量産化の前段階、つまり研究開発用に私が開発したナノインプリント装置が『NI-273』です」


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夢は「一家に一台ナノインプリント」

その小ささはナノインプリントの装置を一度でも見たことがある人にとっては、ちょっとした驚きである。小型冷蔵庫ほどのコンパクトなボディ。体積は従来の装置の8分の1ほど。コンセントがあれば研究室の一角などにそのまま設置できる。
 成型方法は「熱型」。熱で溶かした樹脂基盤に型を押しつけ、冷却して固める方式だ。紫外線を使う方法もあるが、紫外線の場合、材料として紫外線硬化樹脂しか使えないことから、さまざまな材料が使える熱型を選んでいる。
そして、「NI-273」の最大の特長といえるのが650℃(最大温度700℃)という温度の高さである。
「ふつうは300~400℃だと思うのですが、その範囲では使える材料が限られてしまう。そこで独自にセラミックヒーターを開発することで650℃まで上げられるようにし、これにより樹脂材料だけでなく種々のガラス材料にも対応できるようになったのです」
加熱と冷却のサイクルは従来のナノインプリントの6分の1ほどに短縮。650℃まで温度を上げるのにもわずかに30秒ほどしかかからないため、短い時間に効率よく実験ができる。また、型を押しつける圧力の制御性も高いため、0.1ミクロン単位という、より微細な加工を可能にしているのが特長だ。
「企業により、ナノインプリントの用途として、光デバイスやバイオチップなど、ある程度方向性は決まっていると思いますが、デバイスに用いる材料や製造プロセスの課題は実際に試作研究することで初めて見えてくる。そうした試作研究開発用としてこのナノインプリント装置が使えるわけです。大学の研究室であれば、プロセス研究や材料研究にも有効です」
後藤研究員はナノクラフトテクノロジーズ株式会社という産総研技術移転ベンチャー企業を立ち上げ、装置の販売を開始した。
「ただ、この装置を導入したからといってすぐに夢の商品がつくれるほど単純ではありません。材料や金型などの問題はなかなかわかりにくい。そこで、装置の販売だけでなく、これまで私が培ってきたノウハウを提供することで、量産システムの実現を図っていきたいと考えています」
後藤研究員はすでに、技術面・コスト面でハードルが高い型製作を、産総研技術移転ベンチャーの特質を活かして、比較的手軽に供給できる体制を構築。また、技術的なコンサルティングサービスも同時に提供する。さらに量産化向けの実験用ナノインプリント装置として、円筒形の型を押していくローラー型装置の開発にも着手している。
「将来的には、『デスクトップナノファクトリー』という構想もあります。これはナノインプリントのデバイスを製造するための小型の装置群が、デスクの上に揃っており、手軽に研究・開発ができるというものです。そして、私の夢ですが、10年後20年後には一家に一台ナノインプリント装置があれば、超大容量のDVDやCDの複製も家庭内で簡単にできる、健康をモニタするためのチップを買ってきて唾液検査などを行い、自分で健康診断もできるなど、さまざまな可能性が広がります。」
「このように生産現場だけでなく、印刷機、プリンタが時代と共にパーソナルユース化してきたのと同じように、家庭など身近なところにナノインプリントが普及していけばもっと面白いはずです」と後藤研究員。「未来の日本を創る試み」を、今日も続けている。


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