確実なデータ保護と高速なリストアにより
ランサムウェア感染時も迅速な復旧を実現
自社の業務継続性向上とともに
国内大手自動車メーカーとの信頼関係を強化
杉浦製作所
山田 佳弘 氏
3Dものづくりに意欲的な三洋電機は、デスクサイドで手軽かつ迅速に3Dモデルを造形できる「3Dプリンター」を24時間フル活用。ABS樹脂製の3Dモデルは、設計段階で性能や動きの評価を可能にし、開発期間短縮やコスト削減を実現している。
3Dプリンターを導入しているのは、兵庫県加西市にある三洋電機のライフソリューションズカンパ ニーリビングビジネスユニット(リビングBU)。リビングBUは掃除機やマッサージャー、空気清浄機、除湿機などの生産拠点で、主力の掃除機を中心に多く の製品で3Dプリンターを活用している。
リビングBUは三洋電機の創業の地にあり、3Dものづくりでも先進的な事業所。1992年に3D CAD導入プロジェクトをスタートし、1997年にコンカレントエンジニアリングに着手。造形装置は1999年に検討を開始し、2002年にSTRATASYS社の3Dプリンター「Dimension 3D Printer」を導入した。
実は3Dプリンター導入以前から、三洋電機は全社的な3Dものづくり推進のために大型の造形装置を導入している。リビングBUでもこれを利用し、3D CADで設計して金型製作工程に図面を出す前に、思い通りのデータができているかを検証していた。
「だが造形装置はコストがかかる上、全社的に利用するので他部門と製品開発時期が重なった時など、思うように使えない。そこで各部署で3Dモデル造形がで きるようにしたいと考えましたが、造形装置は高額で、各部署で導入するにはコストが見合いませんでした。しかし、3DプリンターのDimensionが出て それが可能になったのです」
こう語るのは、リビングBUを初めとする各部門のIT活用を支援するコンシューマ企業グループコンシューマ戦略本部IT・BPR推進BU技術システムグ ループ担当課長の山口和之氏。それまで造形装置は金型を設計する直前の段階で使い、出来上った造形モデルで性能検証などを行っていた。
「Dimensionを導入したことで、金型設計をする前の製品構想段階から3Dモデルの造形ができるようになりました。つまり3Dモデルを実際に掃除機 に装着し、使用感や性能、あるいは駆動部分が正常に機能するかなど、製品として必要な要素は一通り見ることができる。問題点を早期にチェックできるので非 常に有効です」と、掃除機の設計開発を担当しているリビングBUフロアケア技術部技術課主任の山口征史氏は指摘する。
ものづくりに取り組んだ結果、三洋電機は2ヵ月以上の開発期間短縮を実現した。「その3Dものづくりの代表格が「Dimension」と同社では語る。
「実際の製品に近い形を早めに作成できるので品質は向上し、開発費用も削減された。操作が非常に簡単なのでシステム部門、設計部門を問わず誰でも使う。夜間や休日も含めて24時間フル稼動状態です」(山口課長)という。
3Dものづくりはもともと、試作をせずに画面上であ る程度の検証ができるという効果がある。だが三洋電機が3Dプリンターを導入したのは「プロトタイプモデルをタイムリーに素早く作り、営業部門など設計以外 の担当者に対し3Dモデルを提示することにより、多くの情報や意見が収集できる効果もある」(山口主任)と判断したため。つまりビジネスチャンスを逃さな いものづくりへの取り組みだ。
「競合他社の動向も探りながらギリギリのタイミングを見計らって製品を企画し、企画から量産までを可能な限り期簡短縮しながらコストパフォーマンスに優れ た製品を作るために、3Dプリンターは非常に有効」と評価は高い。
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