しまうまプリントシステム株式会社様

ロボットによる電話通知で夜中のアラート対応が改善。初動対応の迅速化、ストレスの軽減、コストも1/3に削減。

写真、年賀状、フォトブックの3本柱でネットプリント分野を牽引する「しまうまプリントシステム」。同社の急成長を支えるITインフラを担っているのがインフラ部だ。少数精鋭でサーバ運用しているため、平日夜間と休日のアラート発生時はメール通知に加え、メールを読む手間を省くべく電話通知も行っている。従来のオペレーターによる電話通知は、スキルの差や会話によるストレスなど様々な課題があった。ロボットによる電話通知サービス(SaaS型)を導入することで読み飛ばしなどのミスをなくし、夜間に会話する煩わしさも解消。初動対応の迅速化とともに、従来比でコストを1/3に削減し、月額定額制によりキャッシュフローの平準化にも寄与している。

  • アラート発生時の電話通知において、オペレーターのスキルの差が課題になっていた
  • 夜中にオペレーターから電話がかかってくることに運用担当者がストレスを感じていた
  • 平日夜間と休日の電話通知に要するコストを削減したい

少人数でいかに24時間365日の運用体制を実現するか

登録会員数250万人以上(2019年3月時点)を誇り、ネットプリント分野を牽引する「しまうまプリントシステム」。同社が多くの人々から支持を受けるのは、経営理念「写真をもっと楽しく、想い出をもっと身近に」の実践にあるといえるだろう。2010年に設立された同社は、業界における後発組ながらも写真、年賀状、フォトブックの3本柱で事業を展開し快進撃を続けている。

同社の強みは、国内最大級のプリントラボ設備や自社システムにより効率化・自動化を徹底することで、低価格・高品質・スピード出荷を実現している点だ。1枚6円からの写真プリントは最短当日発送、1冊198円から作成できるフォトブックは最短当日出荷、コストパフォーマンスに優れた年賀状は投函代行を含む宛名印刷サービスも無料提供など、あらゆる面で満足度が高い。

同社では、スマートフォンを使うサービス利用者の増加に伴い、表示速度やユーザビリティの向上にも力を入れていると、しまうまプリントシステム インフラ部 部長 小林徹聡氏は話す。「最近、運動会や旅行、結婚式など自分で撮影した写真を使ってオリジナルの本を作成できるフォトブックサービスが人気を集めています。想い出をそのまま記録できるフォトブックは、大切な人へのプレゼントにもぴったりです。当社のフォトブックサービスは、写真選別からレイアウト、表紙デザイン、入稿までスマートフォンで行えるため、いつでもどこでも手軽に利用できます」

ネット通販の仕組みを活用する同社のビジネスではITインフラが生命線となる。インターネットによる受注から工場での生産、出荷まで自社システムを運用しているのは、わずか5名のインフラ部だ。同部では24時間365日の安定稼働に向けて、CPUやメモリ、ディスクなどの状態を把握するために監視ツールを導入しており、パフォーマンス低下の可能性が高くなる閾値を超えた場合にアラートがあがる。問題は、平日・休日の夜間に発生するアラートへの対応だった。「平日や休日の夜にゆっくりと寛ぎながら写真を選び、フォトブックや年賀状を作成するお客様が多くいらっしゃいます。当社では夜間に受注したものは深夜にシステム処理を行い、場合によっては夜の間に工場での生産となるため、夜中にアラートが集中する傾向があります。少人数で24時間365日の運用体制を実現するために、いかに夜間のアラートに対応するかは重要な課題でした」(小林氏)

有人オペレーターによる電話通知ではスキルの差が課題に

もともと対障害性の高いシステム構成にはしていたが、それでも少なからず発生するアラートに対して少人数メンバーで通常生活を確保しながら、夜間や休日のアラート対応を効率的かつ低コストで行う方法として行き着いたのが、電話通知とメール通知の併用だったと小林氏は話す。「メール通知は寝ている時に気がつかなかったらどうしようといった不安を伴います。またメールを開いて見るまでの時間が非効率です。そこでベンダーに依頼し、平日夜間と休日に関してアラートを検知した場合に、輪番で運用担当者に電話で通知してもらうことにしました。電話を受けた担当者はすぐに対応が必要か、翌日以降の対応かをその場で判断することにより初動対応の迅速化とともに、メールを開いて読む時間を省き、その分を睡眠時間に当てることも可能です」

有人オペレーターによる電話通知は品質に課題があったと小林氏は指摘する。「オペレーターによってスキルに差がありました。言わなくてもいいことを言って、伝えてほしいことを伝えてくれない。また通常トラブル発生時や対応作業時にはアラートが連続するのですが、同じオペレーターから何度もすでに聞いている内容を繰り返されたため、その後に記載されている数字が知りたいといった話もしました。オペレーターとのやりとりに時間をとられ、初動対応が遅れる懸念があったことから、メール通知を優先して確認したこともありました。このような状態ではスムーズに対応が進まず、対人でのアラートコールに限界を感じていました」

2017年、有人オペレーターの電話通知に伴う様々な課題について、データセンタービジネスをトータルに展開するイーツに相談したところ、「ロボットによる電話通知」の提案があったと小林氏は振り返る。

ロボットによる電話通知の採用は読み上げ精度と簡単導入が決め手に

2017年11月、丸紅グループのイーツはオペレータースタッフに代わりオートマタ(Automata)と呼ばれるロボットにより24時間365日運用監視、障害対応を行うオートマネージドサービスの提供をスタートした。同サービスのメニューの1つ、企業の要望に応じて自動運用の作成と実施を行うオートカスタムサービスを利用し、しまうまプリントシステムのニーズに応えている。その仕組みは、監視ツールからアラートメールを受け取ったロボットが電話通知を行うというものだ。「ロボットがアラートメールを読み上げるデモを実施してもらいました。有人オペレーターよりも聞きやすく、『これはいける!』と直感しました。日本語の発音に課題はあったのですが、改善していただき、漢字を含む日本語を正確に読むことができるようになり、違和感も解消されました」(小林氏)

ソフトウェアをサービスとして利用するSaaS(Software as a Service)型のオートマネージドサービスは、ソフトウェアのインストールやサーバの導入、運用管理も必要ない。小林氏も、既存のシステム環境を変えることなく簡単に利用できる点を高く評価した。「監視ツールによるメールの送り先リストにイーツ宛を追加しただけです。このシンプルさは、読み上げ精度とともに採用の大きなポイントとなりました」

同社は採用決定から半月でサービスの利用を開始。当初は有人オペレーターとロボットの二系統で運用し、両者を比較した結果、ロボットによる電話通知を本導入した。電話通知に関して、人とロボットの違いについて小林氏は説明する。「ロボットは読み間違えたり、読み飛ばしたりといったミスをしません。また運用担当者は、夜中に人が電話をかけてくるという行為そのものにストレスを感じていました。深刻なトラブルの場合、有人オペレーターとのやりとりがスムーズにできないと、感情的になったりもします。機械音声は淡々としており、冷静に聞くことができるのもメリットです。さらに会話して確認し判断するといった煩わしさもなくなり、初動対応を迅速化できました。アラート発生から電話通知までのスピードも有人に比べて早くなりました」

アラート対応の効率化では、すぐに対応せずに見守る「静観」が重要なポイントになるという。「安定稼働のために、しきい値は余裕をもって設定しており、すぐに対応する必要のないアラートの場合は静観することになります。静観するかどうかは、電話通知を受けた運用担当者が判断します。オペレーターに静観を伝えると、確認のための会話が発生し、そのやりとりが面倒でした。今は、通話機のボタンを押すだけで静観する時間を選択できます。インフラ部のメンバーも、夜中に人と会話をしなくて済むのは非常に楽だと高く評価しています」(小林氏)

アラートメール送付先を追加するだけでロボットによる電話通知を実現

有人オペレーターと比べてコストを1/3に削減、夜中のアラート対応も劇的に改善

ロボットによる電話通知の導入により、既存の有人オペレーターと比べてコストを1/3に削減できたと小林氏は話す。「これまで利用していた有人オペレーターのサービスは、監視対象となるサーバ台数に応じた料金体系となっており、事業拡大に伴いサーバ台数を増やすほどに料金も上がっていきます。また年賀状に対応するために年末にサーバ台数を増やすと、ベンダーの営業から料金に関する話が必ずありました。今は、電話通知の件数をベースとする料金体系となっています。しきい値の変更や性能の増強などによりアラートの最適化を図ることで、コストを抑制できる点も大きな魅力です。また月額定額制によりピーク時に経費が集中することもなくキャッシュフローの平準化に寄与し、予算も立てやすくなりました」

従来、煩雑化していた運用もシンプルになったと小林氏は指摘する。「有人オぺレーターの対応能力には限界があるため、電話対応を効率的に行うべく当社で決めた基準に則り、 電話通知の対象となるアラートをベンダーに選別してもらっていました。今は、ロボットがすべてのアラートを電話で通知しており、問題把握の漏れの回避にもつながっています」 年賀状は、同社もお客様も短期決戦となる。12月の第一週がピークとなり、1時間当たり何千件という注文が夜中まで続くという。「迅速かつ的確なアラート対応が求められるピーク時において、ロボットによる電話通知は初動をどうするかを考え、行動するといった本来業務への集中力を高めることにとても役立っています」。

しまうまが写真をくわえる同社のロゴマークには、大切な人に思いを伝える写真を、丁寧かつスピーディーに届けていくという決意が込められている。丸紅情報システムズはイーツと密に連携しロボットによる電話通知サービスを提供することで、「想い出」を通じて暮らしに笑顔を届ける同社の基盤を支えていく。

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